裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

25日

金曜日

白昼の仁鶴

 お昼はボンカレーでっせ(かなり古い)。朝8時起床。朝食、キノコと青トマトの温サラダ風。これはK子用で、私は豆スープのみ。果物は山梨ブドウ。日記つけなどやっていたら早川書房A氏からどーなってますか、と電話。平身低頭。北海道新聞Y 嬢からもどーなってますか、とメール。平身低頭。

 メディアミックスY氏からは、平身低頭してくれているメール。例の沙村広明氏のところへ私への寄贈本が間違って送られていた件。それから、もう忘れていたが、児島都ちゃんの本に書いたオビ文の原稿料の件も。宇多まろんからもメール。こないだ はごちそうさまでしたの件だが、他にもオモシロイ業界情報。

 午前中はメディアファクトリーのと学会本のネタ出し。ひとつ、取り上げようかどうしようか迷っていた本の件につき、会員MLで情報を求めてみた。書き上げて、銀座に出る。雑用少し。昼はどうしようかと思い、以前見つけた蕎麦居酒屋『蕎の蔵』のランチを試みてみる。中落ち丼セットを頼んだが、蕎麦が田舎蕎麦の黒々としたやつで嬉しい。最近のしゃれた蕎麦屋がみんな上品すぎて口に合わないのである。中落ち丼の中落ちもとろける舌触りで、ネタもいいのを仕込んでいる、といった感じ。今 度酒を飲みに来てみよう。

 地下鉄で帰宅。途中キオスクで“石井議員刺殺”の見出し。あわてて夕刊フジを買う。石井紘基氏と言えば深作欣二の『バトルロワイヤル』に文句をつけ、“こんな映画を上映すれば世の中が暴力的になる”と言った人。うーむ、身をもって証明したような。もっとも、計画的犯行らしいが。夕刊フジ、見出しの大きさの割にはまだ何も 情報がないらしく、記事はホンのちょっと。

 車中、仕方なく夕刊フジを隅まで読むが、私は競馬をやらない、株をやらない、風俗にも行かないので、夕刊紙というやつはほとんど読むところがない。ロイター通信でポルトガルのファッションショーに出た、シースルーでほとんど胸が丸見えのドレスの写真が載っていた。それはいいが、その見出しが“だいたーん、カム・ヒア!”である。こないだの『中国「野人」騒動記』の著者ではないが、オタク的知識がすでに日本のある世代以下では共通文化となっているという感、さらに。とはいえ、ちと 元ネタがマニアックすぎるような気も。

 帰宅、ネットを見ると、朝、MLに出していた質問に、解答ではないが参考になる情報がもう書き込まれている。こういうところがと学会の強みである。そこに名が挙がっていた洋書をすぐ、ネットで注文。このスピーディさはネット時代なるかな、で ある。

 4時、時間割にて村崎百郎氏と例の社会派鬼畜対談。いろいろと小ネタはあるのだが、まあ、今月は拉致家族の帰国であろう。村崎さんは海洋堂に拉致家族のフィギュアを作らせてボトルキャップにしろと言う。私はハリケンジャーの後番で『ラチレンジャー』を作ったらと言う。“やっぱレッドは蓮池さんだよな”とか。村崎さん、朝日新聞に載った某女流マンガ家の写真を見せて、その首筋、目尻のシワの、年齢に比しての凄さに、“やっぱアメリカいってドラッグ三昧しちゃうとこうなるのかねえ” と変に感心している。細胞の代謝がうまくいかなくなるのだろう。

 言い忘れたネタ(まあ、原稿に書き足すが)が“石井議員刺殺は『バトルロワイヤル2』の宣伝だったんじゃないか”というやつ。以前、ダスティン・ホフマン主演の『アウトブレイク』が公開されたとき、“エイズはこの映画の宣伝に映画会社が菌をバラまいたんじゃないか”というジョークがあった。“まあ、それくらい宣伝しないと見たくもない出来の映画だったからな”と。この対談、またまとめて来年、単行本になる。一年一冊、クロニクルになるか。日記本も進めなくては。終わってタクシーで新宿に行き、紀伊國屋。書評用の本を探すが、なかなか見つからない。上から下とグルグル回るが結局見つからず、他のものに変更。やれやれである。それもあって、歩き回っているうち鬱っぽい気分になってしまった。

 ローソンで買い物、神山町『華暦』へ。美人女将に“お久しぶりですね。2ケ月ぶりくらいじゃありませんか? お噂してたんですよ”と言われる。そうだったっけ。久しぶりだから、と言うわけでもないが、酒が進んでしまった。エビとアスパラとインゲンの塩炒めがおいしい。鬱も散じた。K子はレディースパズル誌での新連載も決まって意気軒昂である。帰宅したら講談社第一出版局から、海外アニメ本の執筆について問い合わせのFAX。留守録をしそこなっていたので、FAXしたらしい。申し訳ないことであった。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa