裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

24日

木曜日

マルクス・アンギラス

 資本論の逆襲。最初“巨乳の宿”というのを思いついたが、これはいとうしいな主演のAVにすでにあることに気がついた。こっちの方はてっきり誰かがやっているだろうと思って検索をかけてみたが、意外やまだないようなので。朝8時起床。朝食、キノコ炒めをK子に。こっちはコンソメパスタ小ワンカップ。クリクリから貰った山梨のブドウ。北朝鮮からの一時帰国の人々を戻さない、と日本が方針を固めた模様。ひさびさに、というか実に珍しく日本政府強気である。

 小雨がずっと降り続く。K子にいろいろ留守中の会計のこと。TBSその他に請求書を出させる。きわめて体調悪く、左肩はパンパンに腫れている。日本文芸社Hさんからメール&電話。こないだ出した美好沖野さんとのコラボ企画、まだ不調とのことである。内容的にかなり詰めたもの(私のものにさらにHさんが手を加えて)を出していて、以前ならこれで確実に通ったはずなのだが、やはり出版不況の時代、新人の本で上を説得するにはまだも少し、デコレートの必要があるようである。月末にもう一度打ち合わせすることに。

 と学会MLで、次の例会に参加できない、というメールがいくつか。本来、次の例会は12月1日の予定だったが、その日に会場を取り損ねたため、日の方をずらしたのである。そのため、前から1日を空けていた人で、参加できない人が出た。こういう場合は、会場の方を別にすることで日をずらさない算段をした方がよかったかと思い(別に私が担当じゃないんだが)、ネットで適当な貸し会議室などを検索する。

 貸し会議室は都内にたくさんあるが、場所、値段、使用時間、設備、収容可能人数など、こちらの希望にピッタリ、というところはなかなかないものである。至便性を重視すると値段が青天井になる。こちらがまた、会議室フェチ、ホールフェチといったところがあるもので、熱が入って次々に調べ、これで一時間以上ツブしてしまう。くたびれて、まあ、脇から余計な口出しをすることもあるまい、またグダグダ言う奴 が出てきてもバカを見るし、と放擲。何だったんだ。

 昼はご飯に生卵を温めたものとタラコで。早川書房『キッチュワールド図鑑』の原稿。SFマガジン連載『妄想通』の改稿本で、最初はかなり気楽に考えていたのであるが、やり出してみると、なにしろ連載時のコンセプトが尻取り的にテーマが移ろっていく趣向なので、これを一章読み切りにまとめるのに、えらい手間がかかる。章立て表を脇において、単行本の×章は第○回の後半三分の一と第△回、それに第◇回の冒頭数行……と付け合わせるだけで頭に熱が出る。肩のはり、もう尋常一様でない状 態になる。

 熱中してやっていたら、今日の食事会の待ち合わせを忘れた。4時50分渋谷でK子と落ち合って三ノ輪へ、というのを、なぜか5時50分とカン違いしていたのである。K子から激怒の電話。こっちはもう電車に乗ってしまうから、タクシーで三ノ輪まで来なさい! と厳命。青くなって家を飛び出す。30分しかもう時間がないが、タクシーに高速に乗ってもらって、道も案外空いていたのが幸いし、5分遅れで三ノ輪に到着。すぐK子と開田夫妻もついて、無事。談之助さんとそこからまたタクシーで日本堤へ。快楽亭と落ち合って、こないだのお好み焼き、マニスへ。もともと、この食事会はひえだオンまゆらサンのご両親が関西から上京されるにあたり、東京見学コースをこっちが設定し、快楽亭をホストに浅草名所案内をして、ここでもんじゃをご馳走、という企画を立てたら、むこうのご両親に急に用事が出来て、別口で観光することになってしまい、じゃアこっちは勝手にもんじゃを食おう、と企画したもの。

 われわれ一向に快楽亭親子、談志家元ご贔屓の寿司屋の大将、それに快楽亭私設マネージャーのMさん。マニス特製の角煮風チャーシューからはじまって、生ハム、カルビ焼き、牡蠣バター炒め、キノコバター炒め。大人数で快楽亭とは席が離れているので、もう思うさまにバタを使い、“いやあ、やはりバタはうまい!”と大騒ぎ。Mさん、いつも大木屋の厚切りステーキを、快楽亭とバタ無しで食っていたのが、先日初めて席が離れ、やっとバタ風味で食って“うーん、味が違う”と感動したとか。もんじゃは快楽亭のお勧めマーボもんじゃ。こっちはお好み焼きでギョーザ天と関西ネギ天。それに談之助師匠お好みの極辛マーボ。Mさんはもんじゃ屋のせがれ、開田さんはお好み焼き屋のせがれで、お互い焼きを競っていた。店のテレビで『ゲーム脳の恐怖』を特集。この本、次回トンデモ本大賞の有力候補(笑えないので受賞は出来ないと思うが)になるような本なのだが、世間的にはこれほど待ちこがれられていた本もちょっとあるまい。とにかく世間は、イマノヨノナカを悪くした犯人が欲しい、のである。

 食い終わって快楽亭一行と別れ、こちらは上野に出て、カフェ・ラ・ミルでしばらく雑談。肉食ったあとは甘味が欲しくなるが我慢々々。11月23日の堪能寄席の他にも、各地で出張寄席を企画しようと談之助さんと話す。その他、各関係者のうわさ話、と学会関係の出版ばなし。12時、大江戸線で新宿に出て、そこからタクシーで 帰宅。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa