裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

13日

日曜日

草原のかばやき

 いーまー、うなぎをー、かくしてー、かーぜーのーなーかー。朝、8時起床。朝食は味付け卵(これで終わり)、ヒラタケのスープ。タモギタケは香りはいいがあまり味がなく、食べるにはこのヒラタケの方がおいしいかも。果物は二十世紀梨。新聞一面にやっと田中さんの顔が出なくなったと思ったら今度はザ・サンデーが“たっぷり見せます”と田中さん特集。こう言っては何だが、あまり見て楽しくなるタイプの顔の人ではないように思うのだが。

 ネットでいろいろ調べもの。一行知識掲示板にいろいろためになる書き込みあり。ウツセさん(元裏モノ会議室常連さん)からは私がハンニバルで飲んだワイン“マシニッサ”の名前の由来は第二次ポエニ戦争でカルタゴに味方したヌミディアの王子の名前である、との指摘。しかし、そのマシニッサは後にカルタゴ側からローマ側に鞍替えして、ローマ側の重要戦力となり、ハンニバルをドド、痛い目にあわせたとか。そういう人物の名前を自国のワインにつけてしまうとは、チュニジアという国は鷹揚 な。大阪に『小早川』という酒があるようなもんか。

 さらにハチスさん(美好沖野さんの旦那さん、蜂巣敦氏)からはこないだの一名の話につき、平家琵琶の門流は、名前の下に“一・都(いち)”をつける一方(坂東)流と名前の上に“城”をつける城(八坂)流があるとの指摘。“城一”という師匠がいて、弟子のうち、城の字にこだわった一派と一の字にこだわった一派がいて分裂したのだそうな。座頭や検校という盲人の位は室町時代から彼等が職業としていた琵琶法師のそれと同一だったのですな。しかし、勉強になることである。

 午前中は冬コミ用の資料あさり。ひさしぶりに古い海外マンガに目を通す。いや、面白い。阿部能丸くんと15日のことで連絡、ベギちゃんにもメール。昼食は青山に出て舌郎で牛タンネギ焼き定食。それから紀ノ国屋で買い物。イタリアンフェスタをやっており、豚の背脂の塩漬(ラルド。ラードで、そのまんまの名称)が売っていたので即、買い。

 帰宅してしばらくメール書きなど。連休の中日にも仕事をしているらしい幻冬舎Sくんから、10日に送った『わしズム』の原稿、面白かった、とメール。小林よしのり氏も“こういうのが読みたかった、すばらしい!”と絶賛している、とある。褒めてくれるのはありがたいし、いい気持ちのもんだが、と学会員として小林氏に絶賛されるというのは多少の苦笑ものではある。

 5時、体内に水分が滞留している感じなので新宿へ出てサウナへ。汗がドボドボという感じで出て、1時間で2キロ分、出た。そのあとマッサージ(ご贔屓だったM先生は退職してしまったそうな)。浅野ゆう子が体重を倍にしたような先生が力いっぱい揉んでくれる。今日は特には疲れていないから……と始める前に言ったが、揉まれてみると背中のあちこちに腫れたようなシコリが出来ている。やはりオーバーワークの疲れが溜まっているのかな。特に後頭部にコブみたいなグリグリの感じられるのが不気味である。ここを揉まれるとダジャレが出る、というスイッチなのか、今日も揉まれながら、表題になっているダジャレが浮かび、揉まれながらニヤニヤしてしまった。気味の悪い客だ、と思われたことであろう。

 帰宅して夕食づくり。鶏スープなべ。キノコ類をどっさり入れるが、やはりこの鍋はシンプルな方が堪能できるような気がする。事件記者コルチャックのLDなど。K子は食って腹一杯になって寝てしまったが、しばらく私は居残り、ラルドを薄切りにしてクラッカーに乗せて食べる。ダイエットの大敵だな。ラルドは豚脂に岩塩と香辛料をスリ込んで熟成させたもので、“貧乏人の生ハム”と昔は言われたものらしいが最近ではイタリア各地が当地名産のラルドを競って売り出しているらしい。今日買ったのはダルナード村のラルドとのこと。塩と香辛料と豚脂の旨みがブレンドされて、これは確かにそんじょそこらの生ハムよりもうまい。ただし、食った分だけ、そのままダイレクトに腹の脂肪に染み込んで体重に加算されていくような感じ。

 八海山の小ボトルを飲りながらNHKの伊福部昭の番組を見る。およそ日本に作曲家数あれど、これほど楽譜一節々々に個性が刻み込まれている人はおるまい。どの曲のどこを聞いても伊福部昭とわかる。まあ、言葉を変えれば何を聞いても同じ、ということでもあるが。途中で酔いが回り、ビデオに録画して(後で確認したら失敗していた)寝室へ。寝る前にメール確認、ベギちゃんから15日了解との返答。ところでそのメールに書いてあったが、沙村広明氏のところに、だいぶ前から私宛の郵便物が誤配されているようである。ソフトマジックからのものだということだが、現在私はソフトマジックでは仕事をしていないので、連絡の取りようがないから、この日記を読んでいたらソフトマジックの人、連絡ください。それにしても沙村氏と私は近くに住んでいたこともないし、業種も違うし、一度下北沢で飲んで、一度ロフトプラスワンで一緒にトークしただけで、接点もあまりない。ベギラマを通じてのみの関係である。なんで誤配されるか? あまりこの誤配からは面白い結果もうまれないと思うの だが。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa