裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

9日

水曜日

トリュフォートリュフォーラリルレロン

 タイトルに意味はない。アイススケート場の管理人をしている文字フェチの人にインタビューする、というモンティ・パイソンみたいな状況の夢を見た。愛されている文字の回りには他の文字が群がるんですよ、とか、文字のお葬式をこないだ出して、とかいうシュールな話を聞くうち、相手の言葉がだんだんわからなくなってくる。
「このノスコーは要するにバーニンであり、テルチトレクトな立場から言うと」
 などとなって、しまいには日本語でなくなって呆れ果てたあたりで覚める。

 7時45分起き。朝食、バタロールのチーズドッグ一ケ。K子にはブロッコリ入り掻き卵。果物一皿。原稿、シコシコ。

 雑用がいろいろ出来て、原稿不捗。早川書房、光文社、二見書房(伏せ字は意味がないのでやめる)などから催促。はいはいはい。鶴岡からも電話あったのだが、原稿書きながら受け答えする。昼飯はこないだデパートで見つけた伊藤ハムの“牛すじ煮込み”パックを、メシにかけて、牛すじ丼を即席に作り、掻き込む。

 やっと調子あがってきたあたりで時間となり、浜松町に出かける。キオスクの新聞に荒井注死去の報。体が悪いことは知っていたが、今年の正月、ドリフターズの現メンバーと一緒にフジカラーの七福神のCMで毘沙門天を演じており、元気になったんだ、と思っていたところだったので驚く。

 植木不等式、眠田直、立川談之助にK子(これは伏せ字じゃない)といった諸氏引き連れて『アイアン・ジャイアント』試写。浜松町駅で待ち合わせてワーナーまで歩いたんだが、風が寒いさむい。待合室でコーヒー飲みながら暖を取る。

 で、アイジャイ、諸氏にはきわめて不評(笑)。連れてく人選をあやまったね。ただし、不評も非常にわかる。アメリカン・ノスタルジーの世界に入り込むのが好きな人でないと、ツラい話なのだ。私など、冒頭のソ連マークのスプートニク見ただけですぐ世界に溶け込めるんだけどなあ。眠田さんが連れてきていたゲームデザイナーの女性は感動していた。

 一番ひっかかるのは、最後に原爆搭載ミサイルが爆発したあとの放射能のことだろう。アレで、あとからあの町の人々に突然変異が起こって顔が黄色くなり、目玉が肥大し、軍はそのことを隠すためにあの町を湾から埋め立て、放射能が検知されても大丈夫なように原発を建て、町の名も当然変えて、シンプソンズのあの町が出来た、というのはどうか。いや、どうかじゃないか。

 浜松町のくじら居酒屋『百壷』でメシ。くじら刺身、立田揚げ、ベーコン、それにすだち焼酎。これがマイルドでどんどんすすみ、何だかベロベロになった。次のトンデモ本の打ち合わせ、ナチスドイツ論、アニメの話、人体解剖の話、皇室の話、単なる駄ジャレなど、メンツがメンツだけに話題、飛ぶとぶ。眠田さん曰く
「何かおもしろいことを言わないと日記に書いてもらえない」
 個人的に一番ウケた。それから新宿まで出て、いれーぬで飲んだが、もうこのへんになると記憶アイマイである。

 眠田さんが伊藤くんのHPが更新された、と言うので、帰ってから酔眼でのぞく。何か光文社の担当が私の異常性を伊藤くんに話した、とか書いてある。その内容は必要があれば公開するそうだが、これは私も読みたい読みたい。私のファンや鶴岡たちも喜ぶと思うので公開希望。・・・・・・しかし、こういう発言しているときが彼、一番イキイキしている。やはりみんな、人の悪口が好きなんだねえ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa