7日
月曜日
ぬしさんは わちき迷わし らびりんす
タイトルは意味がない。朝8時半起床。寝坊したのは二本立てで夢をみたためで、5時ころ一旦目が覚めて、もいちど寝たらその続きを見た。どちらも某評論家と論争する夢(ちゃんと勝つところがすごい)。朝食はアップルパイ一ケ、果物。
朝、荷物いろいろ届いたりしてドタバタ。雑原稿からやりはじめる。某製薬会社のPR誌のエッセイで、“肩の凝らないエッセイ”とか注文にあるのだが、肩が凝らない、などと敢えて言われると(肩の凝るエッセイってどんなのかね?)、何を書いても、まだこれでは肩が凝るか、と気になってくる。こういう薬品関係雑誌が私に依頼してくる文句というのは決っていて、
「なにしろ雑誌の性質が性質で、どうしても内容が固くなりがちなので、ひとつくだけたものを」
というもので、現在書いている薬業関係誌全てに、これは言われている。しかしながら、そう言われたからといってソノ気になって、本当にくだけたものを書いたりすると“ふざけすぎる”などと言われて没になることもあるのだ、こういうところではえてして。
K子の弁当はタイの味噌漬け焼きと青海苔ご飯。さて、自分は何を食べようか、と思っているうち、1時のインタビューを忘れていたことに気がつく。あわてて東武ホテルロビーへ。30分遅れでも待っていてくれた。スミマセンスミマセンとペコペコしながら、いつもの喫茶店へ。春に出る薬局・薬店用のパンフレットで、“薬と上手につきあう方法”という記事。薬局関係の雑誌で特集しようとすると、だいたい、このタグイの、ありがちなテーマになってしまうんだよな。その中でどれだけ新味なことを言えるかに気を配って、女性編集者と女性ライター相手に2時間ほど、話す。こういう薬局評論家の仕事、昔食えないでいたときにバイトではじめたもので、もう手を引いてもいい時期なんだけど、確かに回りを見渡して、私の代替になる書き手がいないのですね。などと考えつつ、ふと気がついたら昼飯を食いそこねてしまってた。
帰って、仕事続き。G書房の単行本について、掲載誌の編集長と電話。以前にも書いた、原稿の取合いである。どちらにも不義理したくはないが、出来ればこれまでの流れから、G書房で出したいんだよな。発行部数の話をちょっとして、結論は後。その他、仕事関係の電話数本。久しぶりに山咲“タコ少女”トオルくんから電話。彼のL社から出る新しい単行本の解説を依頼される。〆切がやたらタイト。L社の編集からあらためて電話があったが、何か、バラエティに富ませすぎてアチャラカな本になりそうなので、少し固めの評論を最後に載せて締めたいのでお願いします、というようなことだった。“あまり固いのでくだけたものを”と頼んでくるところもあれば、“あまりくだけているので固いものを”と頼んでくるところもある。正反対の方向から評価されているというのがオモシロイ。要するに中立地点にいる、ってことか?
リニューアル以来、ここのHPに入れないという声が頻々。存在しないファイルが指定されているらしい。急いで平塚くんに電話、指定を正しいものに修正。土曜日に設定が変わっていたのに気がつかなかった。
資料に百目鬼恭三郎『奇談の時代』(朝日新聞社)を再読。実際には三十六読くらいになるか。奇人の奇行談の項で、今昔物語の増賀上人の逸話をあげて、“並外れた奇行より、何ということのない奇行の方がかえって不気味”と分析しているあたりに改めて感心。裏モノもトンデモも、派手な殺人事件やUFOばなしばかりでなく、極意は日常感覚の、ちょっとしたゆがみやブレの部分にそれを見出すことにある。侘び寂びというヤツとも違うが分かる人には分かるだろう。マニアやコレクターという連中にしても、オレは生活をギセイにしてそれに全身全霊をかけているのだあ、などと豪語する奴にかぎって、中味が薄っぺらだったりするものであります。
夜8時、NHK前の焼鳥屋で夕食。焼鳥とジャガバタ、和風ワンタン。旅行の話で主人と盛り上り、ビール2ハイに梅割り焼酎3バイいきながら、K子と騎虎の勢いで下のソバ屋に入ってさらに冷酒とオロシソバ。飲み過ぎ。