29日
金曜日
バアルのようなもの
「その姿は、人のような、猫のような、カエルのような……」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%A2%E3%83%AB
※ミリオン原作 『アサヒ芸能エンタメ』取材 トンデモ本大賞前日祭
朝、やたら豪華(しかも完全オートマティック)な屋敷に何故か住んでいる貧乏人一家の夢。8時起床、入浴して母の室で朝食。ブドー、コーンスープ。
日記つけ、ミリオン『泣ける猟奇』原作、最後の一本を書く。書くのも気が重い事件が元ネタ。人間というのは暴力を基礎にすればどんなことでも出来てしまうものなのだなあ、と思う。実例も知っているので何とも。
メールで報告いくつか。チェックなど数件やる。明日の招待席の算段などいくつか。原稿書き上げてメール。今回は原作執筆が非常にコンスタントに行ったので(あくまで当社比だが)K子や編集Yくんの機嫌もすこぶるよし。1時過ぎ、急いで家を出る。雨、篠つく降り。
2時に時間割。アサヒ芸能エンタメ取材。ミステリー・スポットについてインタビュー。一応、数日前に候補はいくつか上げておいたが、どこが、とか、ここが、という話ではなく、日本のミステリー・スポットの特徴について話す。これは次に書き下ろす本のアイデアにもなっているので自分の中で、話すことでいい“まとめ”になった。ライター氏、女性編集者、大変興味持って聞いてくれた。
終って事務所に戻る前に、東急ハンズに寄って、明日の大会、今日の前日祭に必要な小物をいくつか買う。結局、気がついたら昼飯食う時間を逸していた。なんかソバかラーメンでもすすり込むか、と思ったが今日は予定ギッシリ、そんな時間すらとれない。
事務所に山口A二郎さんから、明日のオープニング用の映像見本が届いている。爆笑の出来。すぐお礼メール。それから、明日の進行台本の最終稿をMLにアップ。今年は司会もメインをひえださんや鯉朝くんにまかせて私は一部分だけの担当だし、暇かな、と思ったらいつも以上に雑用とかが多い。アップしたものを十部ほどコピー。これまた、枚数が多いので一大事。オノにまかせて、買いわすれたもの(UFO60周年用の赤いちゃんちゃんこ)買いに、またハンズへ。手間取るようであるが、しかし逆に考えると、歩いて5分の場所で赤いちゃんちゃんこが買える(パーティ用だが)というのは凄い。
紙芝居の巻数をチェックして、太鼓、立て台などの小道具も袋に入れ、大荷物を手に下げて、タクシーで上野。雨の中、痛む足ひきずってこの荷物で地下鉄は無理。広小路亭での『トンデモ本大賞前日祭』。楽屋で談之助さん、談笑さん、IPPANさんなどと話す。イイノホール前売り完売ということでIPPANさんの鼻息荒し。坂本頼光くんに久しぶりに挨拶。
「竜二がよろしくと言ってました」
と。そう言えば山本竜二の弟子としてブラックに彼を紹介されてからもう何年になるだろう。何もしてやってなかったなあ、とちょっと罪悪感を感じる。客席は雨のせいと開演早いせいで五分といった入りだがまず、聞きやすい数だろう。
最初は巻き込まれ前座(危ないので名前は出せない)さんの似顔絵漫談。途中で鯉朝の乱入あり、このフリートークを談笑さんとカーテン裏で聞いたが、鯉朝のフラが無闇におかしい。まきこまれ前座さんが始終
「個人名はやめてください!」
とあせっていたのが笑える。そして、この後、彼の落語がまた凄いもの。芸協の人がよくやる『動物園』というナンセンスもの(昔テレビでよく聞いた)の改作だが、このブラックさはなかなかだった。鯉朝、やっと真打ちとして、また“異端”落語家として一皮剥けたか、と思わせる。
それから坂本頼光の活弁。村田安司の『太郎くんの汽車』という半実写、半アニメの作品。これはまあ、アニドウの人間として面白いものを見た、という程度だったが、次のオリジナル活弁、『サザザさん』というのが……いや、これがアブナイ。
中入り終えて、立川談笑、『道具屋』。客席の植木さん(障害者ボランティアの経験あり)が、
「しかし見事な模写力です」
と感心する出来……と言ったらわかるか。しかも途中から、談志の若い頃の写真とか、私の本とかのオークションになってしまう。楽屋で
「今日の師匠の話、何てネタ帖に書けばいいですか」
「道具屋だよ、決まっているじゃないか」
次が私で、釈台を置いてもらって紙芝居『モンスター』。まあ、漫談のようにやるが、問題は時間によっての切りどころ。笑いもそこそこにとれるが、何しろネタおろしなので緊張。汗がボタボタと釈台の上に落ちた。なんとかオチらしきものをつけて降りる。
最後が談之助の『赤尾敏物語』。楽屋で談笑さん、鯉朝さんと聞いて爆笑。やはりこの人、スゴいよ。
終って、来てくれた渡辺克己さん、『天動説』のお三方、HAL.Tさんなかちんさんご夫妻、などなどにご挨拶。山本会長、偽史学士さん、エロの冒険者さんなどと共に簡単な(なにしろ明日がある)打上げ。某居酒屋だったが、飲み放題コースでビール頼んで、追加、と思ったら、ビールは乾杯用として、人数分÷2という本数しかダメです、と言われる。凄いシステムだなあ。
遅れて上京したぴんでんさんも加わり、11時までなんだかんだオタばなし。ウルトラ怪獣では何が一番うまいか、とか、いい年齢の男たちが話す話題でない話題をここまでおおっぴらに出来る場というのはちょっとないだろう。『道具屋』の話になり
「お、おじさんの商売は頭に“ど”がつくだろう」
「なんだい、……つくよ」
「へへ、やっぱり。同人誌作家だろう!」
というのを思いついて話したらウケた。
荷物つくづく重く、帰りもタクシーにする。もっとも頼光くんもビデオデッキとプロジェクターを抱えてくるという非効率な芸で、打上げも来られなかった。身一つで出来る落語はいいな。雨はすっかり上がり、月、煌々と雲間に照る。家で、ホッピー二杯飲んで酔いを修正、
中江真司氏死去の報に驚く。花を出す算段。就寝は1時ころ。