裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

12日

火曜日

学生街の吉祥天

♪君とよくこの寺に来たものさわけもなく像を見ておがんだね

※打ち合せ二件 

朝7時起床。
小さな映画館のある街の住人たちがみんなで朗読劇をやる、というドラマを朗読劇でやる、という複雑な夢をみた。なぜか台本が陶器のマグカップに書いてあって、最後の台詞、陶器が欠けていてよく読めない。

スイカとクロワッサンで朝食。窓を開けると、“夏休みの匂い”。うーん、こりゃ暑くなりそうだな、と。汗染みが目立たないシャツで出かけなきゃ。

入浴、日記のみアップして出かける。地下鉄日比谷線で神谷町の某事務所にて打ち合わせ。私の大抵の打ち合わせは出版社とやるわけだが、今回は出版業みたいなヤクザ稼業ではないところなので緊張。てっきり、白髪の温厚そうな(しかし目は切れ者ぽく鋭い)紳士が出てくるもの、と事務所の感じから想像していたら、黒いスーツ姿の美女(まあ、年齢はそれなりだが、歳の割から言っても美人)が軽やかに現れたので驚く。しかも、その助手の若い女性も黒スーツ。WIB(ウイメン・イン・ブラック)か、と。

打ち合わせ、大変参考になる部分多し。一回、その女性が、私も含むあるコーホート(世代集団)のことを
「あれはカソウシャカイにいる人たちで」
と口にし、下層社会とはまた厳しいことを言うなと思って、しばらく話を聞いているうちに
「ああ、“仮想社会”か」
と気がついて苦笑する。どうも卑屈でいけませんな。

ちなみに、会議室のテーブルの上に、NITENDO64のコントローラをちょっと大型化させたような機械があり、なんだろうと思ったら、電話会議を行うためのものだった。非常にカッコいい。やり手の女性がこれを使って会議するシーン、伊丹十三なら絶対映画に入れたろう。

出て、渋谷に戻って11時。ちょっと早いが、打ち合わせで気を入れたもので空腹になり、東武ホテルで1380円のステーキランチ食べてエネルギーを補う。やはりテンション上げるには肉也。ステーキソースがシャツに飛び散ってしまい、このあとまた打ち合わせもあるので、急遽近くの若者向けのショップに行き、一番オジサンぽいシャツを買って(ちょうど前のシャツでは今日は暑いな、と思っていたところだったし)着る。会員になれなれと勧められる。

一旦事務所に帰り、メールなどやりとり、するうち極端に眠くなってくる。
ダイエット中に安いとはいえ肉など食ったので、血が胃袋の方に行ってしまったのかもしれない。30分ほど、抱き枕を枕にして事務所の床で昼寝。これくらいの短時間の昼寝はいいですね。気力が復活するような思いがした。

ラジオライフTくんからメール、ゲラチェック、必要な資料、ついこないだ見たものなのに行方不明、しばらく探す。オノからメール、某ラジオ局から出演依頼。台湾旅行幹事K川さんからメール、スケジュールをこちらの都合に合わせて変更していただく。これで札幌オタクアミーゴスの前日は前田隣先生との対談をキャンセルしなくてすむことになり、不義理しないですんだ。有難し。その変わり、7日成田から東京へ入ってすぐ対談、8日の朝に羽田から千歳入りでその夕方ライブ、という強行軍になる。

2時、東武ホテルでテレビ東京の番組打ち合せ。以前『メレンゲの気持ち』に出たときの製作会社のスタッフ。あのときはまだ“おさる”だったもんきっきーを、今はなき文昌堂に連れていったのだったな。あのとき、アイドル写真集の山に、アイドルマニアの彼が“うわーっ、すごい、懐かしい!”と叫んで、端から見まくっていたが、やがて、おとなしくなってしまい、しみじみと
「……この子たち、僕らの高校生の頃とか大人気でしたけど、いま、どこにいるんですかね。こういう商売ってはかないものですね」
とつぶやいた。細木数子の改名命令に素直に従ったのも、藁にもすがって、業界での寿命をのばそうと思ったのかもしれない。……それは効果あったのか? 相方だったコアラ(同じく細木に従い“ハッピーハッピー。”に改名)の三原じゅん子との離婚は、アンチ細木数子にとっては快事だったろうが。

打ち合せ中にオノから電話、某所に電話してほしいとのこと、すぐ事務所に帰って電話。ちょっと、某事にからめての迷惑な話。アスペクトからメール、原稿催促。それと隣先生の件。

報告メール出したり、旅行の件で打ち合せメール出したり。雑用で本日後半は費やされる。いつのまにか6時半。しかし外は明るい。東急本店で買い物して帰宅、佳声自伝の原稿ちょっとやるが急激に眠くなる。別に天候が崩れたわけではないのだが、ラニーニャが発生したとか聞くがそのせいか?

8時過ぎまで1時間ほど寝る。こういうことが出来る暮しは便利でありがたい。起きて、夕食。今日は買ってきたタイカレーとナンで。やはり紀ノ国屋のものといえど、ナンはただのナンの形をしたパンであり、美味くなし。それと焼きトウモロコシと里芋の蒸したの。いずれも総菜屋で。戦争物ビデオ数本、DVDとっかえひっかえ、見たいシーンだけ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa