裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

10日

日曜日

七人のザ・フライ

蝿男雇うだ。

※終日原稿書き

朝、目が覚めたらもう8時半だった。まだ5時ころかと思っていたので仰天。昨日1時半ころベッドに入って、7時間半、一回も目も覚まさず眠りこけていた。

急いでシャワー浴びて、9時半、朝食。スイカとバナナ、ヨーグルト。カロリー案外あるような感じだが。

この時まで薄曇りといった天気だったが、まもなくどっと降ってくる。気圧低く、また例の件のことなどあり、気鬱なのは致し方なし。
鬱のときは仕事はかどるので、そっちに気を向けるようにしようと思う。

『トンデモ本の世界』の新作用原稿、書きはじむ。平行して佳声自伝の原稿、こっちであぐねるとあっちを、という感じ。

雨で部屋中がじっとり、床も机もベトつく。昼食べる気にならず、2時。出かけようと思っていたらK子が帰ってきたので、ちょっと話す。一緒に食事に行く話など。すぐ出て丸ノ内線で新宿に出て、空腹で口が乾いてきたのでざるそばのみ腹に入れる。

仕事場でメール数件。『トツゲキ倶楽部』の横森文さんから来たメールに返事。彼女、お父様が“あの”横森良三さんだそうで、驚く。数年前、白山雅一先生の会でお元気に伴奏されていたのを思い出す。しかし、その娘さんとは、初めて聞いたときには驚いた。

横山泰三死去。90歳。兄の隆一の享年が92歳であり、長命の家系なのだろう。目玉が飛び出て口を大きくあけた、ギョッとしたような顔のキャラクターが特徴の絵はヨーロッパのカリカチュアからの大きな影響下にあり、日本では異風だった。小汀利得のような優れたジャーナリストでも、この絵を見て
「なんでこの画家は髪を塗らないんだ」
と怒ったという。劇画家の桜井昌一がこの絵にあこがれ、自分の劇画作品の中に(!)横山泰三タッチを取り入れるという凄い実験をやっている。それだけの影響力、インパクトがあった作家だったと言うことがわかるだろう。冥福をお祈りしたい。

てっきり仕事場にあると思っていた資料、実は家の方だったことに気がつく。では、今日は日曜で仕事関係の電話もなかろう。さてあるべきでもなく、永さんへのお礼状のみ書いて、出し、帰宅。

家でトンデモの方の原稿片づけ、さらに『Memo・男の部屋』コラム書き上げる。書き上げて8時、と思ってテレビつけたら9時だった。没頭していたとみえる。

晩飯を作る。サントクに蒸しタコの頭があったのでこれを使ってタコ飯。要するに和風リゾットである。洗った米と小さく切ったタコの頭、それから京風ネギの白い部分を一緒に鍋で煮る。味付けは薄口醤油、それとおろしショウガ。このおろしショウガをかなりたっぷり入れるのがコツ。煮え上がる寸前に京ネギの青い部分を入れる。

タコの足でなく頭を使うのは、『冠太』の大将から、タコ飯は頭の裏側のぬるぬるした部分の味がないとでけまへん、と聞いたため。蒸しタコでない、生の頭ならもっとよかったのだろう。あと、ショウガを買い忘れてチューブショウガだった。これがホンモノだったら、初めて作った割りにはかなりの出来だったのではないかと思える。60点。また挑戦してみよう。

これでビールやりながら、DVDで、1983年版『ジェダイの復讐』を見る。最後にイウォークの盆踊りシーンのあるバージョンである。主役級はともかく、脇で顔を見せている俳優さんたちのことを、ネットの海外サイトなどでチェックしながら見ると、なかなかしみじみ。

『ジェダイの帰還』でラストをヘイデン・クリステンセンに差し替えられてしまったアナキン役のセバスチャン・ショーはそんなことされるとも知らず1994年に死去。実はこの映画に出たとき、すでに78歳という高齢だった。アレック・ギネスより7つも上だったのだ。奇遇なことに『シスの復讐』公開の2005年はショーの生誕100年だったことになる。

モン・モスマを演じたキャロライン・ブラキストンはその後もテレビなどで地味に活動しているようだが、2006年のテレビドラマではマーガレット・サッチャー役を演じている。なるほど、適役かも。

脇の俳優でその後最もスクリーンで見かけるのはマディン将軍を演じたダーモット・クローリーか。例の、菊池凛子が話題になった『バベル』にも出ているし、その他テレビの『名探偵ポアロ』シリーズにもゲスト出演。面白いのは、バーナード・ショーを二度にわたって演じていることで、最初は1976年のテレビ・シリーズ『ビクトリアン・スキャンダル』、それから2006年に『H・G・ウェルズ ウォー・ウィズ・ザ・ワールド』というテレビでやはりバーナード・ショー役。ちなみに、この番組でH・G・ウェルズを演じていたのは『クイーン』でブレア首相を演じたマイケル・シーン。

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