裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

27日

土曜日

古池や蛙飛び込むデスノート

このノート名前が書かれるとみんな池に飛び込んで死んじゃうんだ。

朝8時起床。寝床で雨音を聞いて憂鬱。入浴、9時朝食。セロリとポテトのスープ、アメリカンチェリー、オレンジ小一顆。体動かず頭動かず。原稿催促多々。いかんいかん。

午前中は無為に過ぎる。少し運動をしたら全身汗びっしょり。シャワー浴びる。トイレ読書『ウォーホル日記』、本日(78年2月17日)のセレブは大物、ジョン・レノン。ウォーホルのスタジオに訪れたときに、スタッフにサインを求められ、手近の雑誌の表紙にポール・マッカートニーの写真が載っていたので、それにヒゲを描き加えてジョン・レノンとサインして渡したとか。レノンは2年後に自分のファンに撃たれて死に(40歳)、10年前の68年にやはり自分のファンに撃たれてかろうじて助かったウォーホルも、9年後の87年2月に胆嚢手術のあと心臓発作を起こして死ぬ(58歳)。日記の中の記述という亡霊を残して。

2時、事務所。途中参宮橋でノリミソラーメン。渋谷近辺、デモで大混雑。事務所で印税振り込み通知などチェック。3時、時間割で村崎百郎氏、アスペクトK田氏と社会派くん対談。今月はなぜかとにかく子供の殺害・事故死のニュースが多かった。村崎さん曰く
「子供の日(のある月)だからじゃないか」
と。

5時、仕事場に戻りメールなど。西六郷少年合唱団、ひばりケ丘少年少女合唱団などのCDを聞く。いいなあ、この透き通った響き。5時半、家を出て阿佐ケ谷へ。あぁルナティックシアターの7月公演『コムテツ』に友情出演するため。本日はその顔合わせで阿佐ケ谷地域区民センターに集合。阿佐ケ谷はやはり懐かしい。細かくはいろいろ変わっているのだが、大まかな町の作りはまったく大学時代と同じ。

主役の佐々木輝之さん、座長の橋沢さん、女優の乾さん、樋口さん、客演の劇団ブサイコロジカルの人、ダンサーの女性たち、製作会社シャララ・カンパニーのYAGIさん、舞台監督の早坂さんなど20人ほど。公演資料などが配られ基本的なことの説明が橋沢さんから。私は(友情出演)と書かれていて、これは橋沢さんが一回、友情出演とチラシに書いてみたかったためだとか。紀伊國屋でうわの空の公演に出演したとき、橋沢さんの凄さに驚き、その夏に『猫三味線』の実写部分撮影に起用して、大いに意気投合した。友情出演という名目は私にも嬉しい。

あぁルナの公演の特長はダンスを話に大きく取り入れていることである。乾恭子ちゃんがダンス振付けのUCCHYさんに、“私も踊りますし”と売り込んで、橋沢さんにその度に阻止されていたのが笑えた。稽古日程なども出るが、6月はDVDの関連作業が大詰めでもあり、どれだけ参加できるかが不安材料。だいたい、まだどんな役を演じるかが決まってない。ちなみに『コムテツ』は、『ダ・ヴィンチ・コード』と『ルパン三世』を足してミュージカルにしたコメディであります。

プロデューサーの中曽根さんからの挨拶があって、顔合わせ終わり、北口近くの居酒屋『かまどか』で飲み会。ブタカンの早坂さん、乾ちゃんなどと食い物ばなし、それから若手の助川くん、ブサイコロジカルのマネージャーさんなども加え、いかにして劇団というものを“マスコミに売っていくか”という話など。早坂さんの
「公演が充実するということと売れるということは全く違う次元の話」
という意見には大賛成。インターネットで劇団を立ち上げて公演を満杯の客にしていくブサイコロジカル、彼らに芝居を教えている橋沢さんのあぁルナ、この組み合わせからどういうものが生まれるか。

お開きのあと、橋沢さんに誘われてもう一軒、橋沢さんの行きつけの店へ。ここで仕事終わって駆けつけた渡辺克巳さんと少し話す。渡辺さんはナレーション仕事をしている俳優さんで声がとにかくやたらいい。聞いているだけでいい気分になる。私もよく声は褒められるし、橋沢さんも美声。“無駄に声のいいおじさんトリオ”でも結成しようか、などと思う。1時半、タクシーで帰宅。酒の酔いが6割、気圧酔いが4割。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa