25日
木曜日
海賊は力なり
大英帝国を見よ。
朝7時起床。入浴して7時45分朝食。ホウレンソウのスープとバナナ一本、アメリカンチェリー。9時12分東京発のMAXときに乗車するので8時には家を出なくてはと思っていたのだが8時20分過ぎまでドタバタ。
タクシーで東京駅八重洲口。そう言えば『ウォーホル日記』、あんな金遣いの荒そうな人間なのに、タクシー代に関してはいちいち、(三ドル)(二ドル)(十四ドルもかかった)などと執拗に記しているのが面白い。税務局の監査のためだそうだが。案外に道が空いていて、9時東京駅到着。
MAXとき乗車口でオノと待ち合わせ。サンドイッチもらって少しつまむ。移動ある日が晴れで本当によかった。雨の日の移動は気分が沈む。もっとも、本来なら原稿をバリバリ書けるこんな天気の日に外仕事とは、ともいえる。それにしても今回の講演は山形の酒田なのだが、遠い。この新幹線で1時間半かけて新潟まで行き、そこから急行に乗り換えて2時間で目的地・酒田。往復都合7時間で、向こうでの講演が1時間半。ううむ。
車中で日記つける。最近の新幹線は一番前の座席にコンセントのある車両があったりするので、つないで、と思ったら装備されておらず。新潟近くで電池がなくなった。文庫本や週刊誌も用意してきたが読む気にならず、ずっと窓外を眺めている。白い巨大UFOが着陸したかと思えるようなドーム式体育館が目立つ。地方振興のためという名目で建設したのだろうがペイしているところがどれだけあるのだろうか。
11時、IPPANさんから電話。大東両先生が急病で入院、トンデモ本大賞出演がNGになってしまったので、その代演をどうするか、という話。代演、杉&鉄や佳声先生に頼めないことはないが、それをするとIPPANさんの手間がさらに大変なことになるから、談之助さんと獅篭の2人で、ビデオ見ながらガンダム紙切りの解説、ということでいいのでは、と話す。
11時半、また電話で、女性セブンからインタビュー。“テレビでやたら見かけるアノ人の正体は?”というような企画。私はそんな“やたら”テレビには出ていないのだけど。まあ、雑学をどこで仕入れるのか、なんてことを話す。他にとりあげられる人の中に、『鈴木タイムラー』で一緒だった金剛地武志さんがいた。エアギター演奏で世界第4位(しかも2年連続……)なのだそうだ。
昼飯は酒田までの車中でと思っていたのだが、乗り換えが10分しかなくて駅では弁当を買えず、しかも酒田行き列車では
「車内販売はございません」
とアナウンス。朝のサンドイッチがあってよかった。あれも食べないでいたら完全空腹で講演をしなければならないところだった。
酒田駅に到着、女性が迎えに来ていた。どうも、こちらで要求していた画像映写設備が思うようでないらしい。やや、先行き不安。学校(かなり大きくて綺麗な校舎。創立108周年を迎えるそうだ)に到着、校長室が控室になっている。
そこでもその女性(教頭先生らしい)の話がどうも要領を得ない。パソコンを使って上映、という仕組みそのものがよくわかっていないらしい。パソコンを操作するためにオノが来た、というのも説明してやっと
「ああー、だからお二人でいらしたんですか、意味がよくわからなくて」
と言う。マネージャーがつくのは当然だろう。他にもこの教頭先生、口調に変に“あきらめ”ぽいものが混じって、会場の設備に関しても
「所詮はただの体育館ですし」
とか言うし、山形の食べ物はおいしいですよね、とか話しても
「そうですね……あ、でも新潟には負けるかな。所詮コシヒカリにはかないませんしねえ」
などと憂鬱になりそうな感じでいう。更年期障害ではないか? 昼飯を食い損ねた、ということをオノが“それとなく”伝えたのだが反応ナシ。昼は抜き、と覚悟する。
講演は700人ほどの生徒の前で。新ネタなのでちょっとダンドリが悪かったが、静かに聞いてはくれた。生徒の室は大変によし。自分では60点。話しながら空腹で目が回りそうになった。画像は無事、映せた。
トンボ返りでタクシーに乗り、酒田駅へ。かなり年配の運転手さんが
「あれ、どっかで見たスとだと思ったら、カラサワセンセでないの」
と喜んでくれた。学校での先生たちの反応が、“果たして本当にオレのことを知っているのか?”というものだったので、やたらホッとして嬉しくなってしまった。人気商売の心理。
その運転手さんの教えてくれたオミヤゲ屋で酒田土産(だだちゃ納豆とか)を買い、あとは行きの道をそのまま逆にたどって帰京。新潟乗り換えで“ひらめ寿司”が食べたかったが品切れ。残念。
帰りの車中で缶ビール、酒田で買った“弁慶弁当”のオカズを肴に飲んで、なんとか一息。mixiなどを見る(モバイルは校長室で充電させてもらった)。オノといろいろ今日の講演の反省点をピックアップ。やはりトークに比べるとまだ講演はこなれてないな。
8時15分、東京着。中央線で中野まで。とらじでお疲れさまの夜食をとる。今年中にはじめる予定の文筆業ワークショップの話、映画の話、その他いろいろ。こないだの酒豪女子の会はトテカワがかなりおごってくれたという報告を今さら聞く。あと、明日の『ポケット』、どうして2回分収録なんだ? 局の都合? と訊いたら、「いえ、トンデモ本大賞の前夜祭があるからですよ」と。こっちの都合でしたか。失礼しました。
やたらバカでかい声で話している若いガテン系の男二人組がいて耳障り。ご飯物は食べずに塩ホルモン、塩カルビなどを中心に。韓国ノリでレバ刺しを巻いて食べるとおいしいことを発見。真露一本。帰宅して、メール何本か。酔いが醒めてしまったので水割り缶小一本。肴がわりに韓国カップ麺を食ってしまった。反省しきりだが、しかしダシが大変にうまかった。