23日
土曜日
カッツェはいけない
負けそうになるとすぐ、自分一人だけ逃げだしちまうんだもの(ギャラクター戦闘員・談)。朝、7時半起床。朝食、コラーゲンスープなるもの(西武で見つけて買ってきたが、骨髄の臭みがちょっとあってあまりうまくない)、温泉卵一ヶ。
ネット古書店から連絡、『おれはカミカゼ』、注文は受け付けたが店で買われてしまっていたとか。残念。やはりこまめに足で回った方がまだ勝つ。風呂入り、日記をつけて、それから今日のトーク用のビデオ編集の準備。早川書房から『キッチュワールド案内』の校正ゲラが届く。連載をまとめたものというのは、回によっての表記の差がやたら多いし、古書を資料にしたものは現在との人名表記とは異なるものなどがあるので、チェックがやたら入っていてメゲる。ただし、大がかりな書き直しが必要な、内容の致命的ミスはなし。ビートルズがブレイクしたのは何年くらいからか、ということの見解の相違くらい。
ビデオ編集をずっとやる。堪能倶楽部主催グルメ寄席なので、食い物をテーマにしたやつを集める。最初は『食人大統領アミン』だとか、佐川一政の『食べたい』だとか、『最後の晩餐』『野火』『食人族』『世界残酷物語』などを揃えたが、これでは食欲を無くすばかりだと気がついたので、オタク系にシフトして、『2001年宇宙の旅』の宇宙食、ブレードランナーの“二つで十分ですよ!”、レインボーマンのエルバンダの電気食などのシーンを集める。
12時、K子と小田急線特急で相模大野へ。『八起』店内はすでに客が入ってごった返している。ここの店のキャパから言って、30人くらいが限度かと思っていたのだが、なんと60人近い予約が入っているという。誰かキャンセルしてくれないか、などと贅沢なことを談之助と言い合う有様である。そんなわけで店にいるわけにもいかず、ここは楽屋と言っても高座屏風の裏側なので、外で快楽亭親子や加藤礼次朗などと雑談で過ごす。楽屋入り口は調理場なのだが、大鍋でモヤシを茹でている。こん な大量のモヤシは初めてみた、というくらい。
1時半会場、まず談之助が挨拶、そして“今日は古典”と『寄合酒』。みっちりとやる。新作だと自在なのに、こんなどこでも切れる話を30分もやるというのが、新作派がたまに古典をやるときの力の入れどこの違いというか、などと快楽亭と意地の悪い会話。続いて快楽亭、小話をいくつかやった後『タイムヌードル』。途中で水を持ってくる役をおばちゃんが面白がって秀次郎にやらせた。終わって屏風を片付け、私のビデオ上映とトーク。『殺しの烙印』の、米の炊ける匂いに陶然となる宍戸錠、『レッド・サン』の、三船敏郎の食べるいともあやしげな日本食など。最後は『モンティパイソン人生狂想曲(ミーニング・オブ・ライフ)』からミスター・クレオソートの爆発シーンを上映、“では皆様、このあとの焼肉、食べ過ぎにご注意ください”で〆メ。
さて、高座を分解して片付け(誰が作ったか知らないが、ここの組立式高座、うまく出来ているものだ)て机を並べ、焼肉パーティ。50人以上の客相手なので、八起のおばちゃん、店員さん、前座でついてくれた志らべくん、それにこういうときには黙って座ってられない性分の談之助さんも、大忙し。同じ机には快楽亭親子と、礼次朗夫妻、K子、隣りにと学会のHさんと博多のHさん。秀次郎がシュリケンジャーの人形で遊んでいるのに、礼ちゃんがいろいろ教えてやっている。たぶん日本一濃いレクチャーではないかと思う。私は快楽亭と、来月の三島歌舞伎の話など。礼ちゃん夫妻も見たという染五郎のアテルイの話になったので、“若くアテルイ歌声に”とやったら“ベタですねえ〜”と言いながらもウケてくれた。さて肉は厚焼きタンとブラタン、カルビとロース、それにレバ刺し。肉もいいが、ここの自家製キムチは絶品、快楽亭“こないだはこれとご飯だけで肉食わずにすませました”というくらいのもの。レバ刺しは最初はきちんと切って並べて出していたのが、最後はもうメンドくさいというので、皿にどちゃ、という感じで盛られて出てくる。食うわ食うわ。Wさんが、『SMスナイパー』を持ってきて、どれが宇多まろんでどれがベギラマか、と訊いてきた。
5時まで飲んで食っていろいろ話して、入りもよかったので割もかなりよろしくいただいて、いや結構でした。K子とその一巻きは、これから藤沢まで行って、睦月堂でコーヒー飲んでくるという。私は仕事もあるので帰宅。QPハニー大人から烏骨鶏の卵をいただく。大人の田舎で採れたものらしい。帰りの電車で彼とIPPANさんといろいろ話す。
明日はと学会。イベント続きなことである。それ用の弁当を小田急で買って帰宅。寝ころびながら、早川の原稿に赤を入れる。K子から電話、やはりお茶だけではすまず、飲んで帰るということなので、こっちは勝手に買った握り飯を食い、ビール飲みながら、例会用ネタの準備。海外アート・アニメのDVDなどを見る。カナダのマーク・キャバレロとシームス・ウォルシュ作の『グレイブヤード・ジャンボリー・ウィズ・ミステリアス・モス』が、グルーミィなフォークロア・ソングをポップにアレンジした曲にのせて、パペット、人形アニメ、クレイアニメ、切り紙、セルと、様々な手法を詰め込んでオモチャ箱的に仕上げており、大変楽しい。K子は12時ころ帰宅 する。