裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

18日

月曜日

春のうららのシミュラクラ

 眺めを何に例うべき。朝5時に目が覚め、また寝て7時半起き。どちらも夢で起こされる。最初のは、マッド・サイエンティストが私(まだ幼い子供)の父で、彼が若い女を作っていちゃつき、母親を泣かす。私が怒ると、このマッド・サイエンティストの父親は私を新薬の実験台に使おうとする。私が“そんなことするとバチがあたって心臓麻痺になるぞ”と言うと、彼は馬鹿にしてアハハハと笑うが、次の瞬間、本当に心臓麻痺になって倒れる。すると、そこにいずくからともなく中山仁が現れ(昨日の『サインはV!』の影響)、心臓発作のクスリを父に飲ませようとするが、動きがスローで見ていてイライラする、というもの。次の夢は、私(これは実際の私)の前に女性が現れ、私が実家の薬局の伝票をごまかしていることを知っている、と言う。東京に住んでいて札幌の薬局の伝票をごまかせるわけがない、と言ってもなおも、そのことを言い立ててやまない、というもの。起きてイヤーな気分。

 朝食、K子に野菜炒め、私は菜の花とモヤシを蒸したものに塩をかけて。ダイエット食である。あと、豆のスープ。送られた『だめんずうぉ〜か〜』をパラパラ見る。ゲストマンガ家でベギラマが載っていた(一人だけ表紙に名前出してもらえてない)のはともかく、かたおかみさおが結婚しているというのに驚いた。こう言っちゃなんだが、美人だけに幸せとは縁遠い女性だと思っていたのだが、いい亭主らしい。まずめでたいことである。

 日記つけ。昨日の『サインはV!』のDVDを確認したら、解説にまで三宅邦子がオロナインの広告に……と書いてあった。……あれは浪花千栄子! 三宅邦子はサラリン! と憤慨する。することもないが。アップして、その後、早川書房の初稿ゲラのチェックをもう一度。大きな直しが一ヶ所、中どころ二、三ヶ書、書き足しを数ヶ所、あとはちまちまとした字句修正など。最後の最後で入手した情報などがあるのでそれも書き込む。昨日寝床でたまたま読んでいたフォーティアン・タイムスのカコミ記事から。こういうのが直前に見つかるというのは気分がいい。仕事場を少し整理して、パソコンと書き物机を移動するのをやめ、椅子を回転して後ろ向きになると書き物が出来るように模様替えした。なかなか便利。書き物机の上が本や紙類の山になら ぬ限りは、だが。

 昼は昨日の残りのご飯。一・五杯分残っていたやつを、梅干し、焼き味噌で半分、みぞれ鍋の残り汁をぶっかけて半分。2時、チェック縞を持って東武ホテル、早川書房A氏に渡す。来週再校が出て、12月17日書店並び、の予定だそうな。タイトルは『キッチュワールド案内』になる筈。部数も聞くが、今日びにおいてはなかなかの数字で、感謝。

 そこでAさんと別れ、パルコブックセンターへ。コミックの新刊で何がなと思うが読みたくなるものなし。タワレコへ行き、書籍売場で『BIZARRE』新刊買う。さらに歩いて青山へ。紀ノ国屋で夕食の材料を買い込む。本を買うのも楽しいが、食料を買い込むのも楽しい。帰宅したら、Aさんから電話。以前から勧めていた、現代教養文庫の『奇妙な論理』、早川で引き取りなよという話、実現したそうな。山本会長に解説をお願いしたいとのこと。良著は受け継がれるべき。あと、フィギュア王からコメント依頼。

 朝、電話のあったモノマガジン用原稿。5枚半は大したこともないが、図版用ブツに面白いものがなくて苦労する。また香港にでも行っていろいろあさってきたい。バイク便を先に頼んでブツのみ送り、その後で原稿書き上げ、メールのつもりが、何度やっても返ってきてしまう。電話して、別のアドレスを教えてもらい、そっちの方にメール。

 8時半、メシの支度。今日は以前の古い米を炊いてみた。炊き方に気を配って、二時間以上水につけ、少し酒を加えて炊く。要は対照実験で、果たして本当に新米というのはウマイのか、気分でさすが、と喜んでいるだけではないのか、ということの検証である。オカズは鶏のミンチ鍋と、寒サバの一夜干し。食ってみると、古米と言っても、舌触り、味わいには、炊き方さえ丁寧にすればほとんど変化なし。ただし、香りがほとんどない。食べながら恍惚としてくるあのうまさは、新米のかぐわしい香りによるものだ、と結論。オカズではサバがオイル漬けかと思うほど脂が乗って、もう芸術品と言っていいうまさ。ノルウェー産なるかな、である。『サインはV』見ながら焼酎スダチ割り、三杯。1時ころ就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa