裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

22日

月曜日

花粉症、花粉症で半年暮らす

 春はスギ、秋はブタクサ。朝3時ころ目が醒めてしまいウツラウツラ。エロ小説を書いている夢を見て、その中で男がいたしながら女に“俺のイチモツは嘘をつかん。天声チンコというくらいなもんだ”というセリフを吐いていて、あまりのくだらなさに自分で吹き出して目が覚めた。夢、というより“今朝の日記のタイトル、どうしようかなあ”と、寝ぼけ頭の無意識に浮かんだ妄想かもしれない。

 7時起床。朝食、ケンタッキーの残りとクレソン。果物はスイカ。目が覚めたときからそうだったが、今朝は何かずっと、目の周囲がヒリヒリする。なにかと思ったら昨夜の食材に買った甘唐辛子を触った手で、目の縁などをいじったためらしい。今朝のK子の食事にも、ピーマン代わりに炒めていた。甘唐辛子などと言ってもやはりいくばくかの辛み成分はあり、それがこのところずっと汗をかき続けで、軽いアセモ状態になっていた目の周囲の柔らかい皮膚に反応したのであろう。

 食後すぐパソコンに向かい、書評原稿一本(400字詰3枚)書き上げてメール。テンションがスイスイ上がるのはうれしい。それから日記、さらにメールチェック。美好沖野さんと私のコラボ企画に某社が興味を示しているという。ちょっと持ち込んで見るか。資料が必要になり、六本木まで出る。ABCを回るが見つからず。トツゲキラーメンを食べ、明治屋で買い物して帰る。

 帰宅、コミケに出すジャック・チック本の校正ゲラがポプルスから届く。デザインが同人誌とは思えぬ凝り様。値段設定をちと高めかな? と心配していた(案外元値がかかっているのだ)が、この装丁デザインならお客も納得してくれよう。赤入れ。二カ所ほど大きなミスがあるので、平塚くんの事務所に電話、今日の夕方、直接行って打ち合わせすることにする。石原伸司さんから電話。こないだ写真送ってきて、何とか売り出せないかと言ってきた女性、ちょっと現在仲違い中なので棚上げしておいてくれとのこと。この人も小野伯父的な部分あり。『異常なラブレター』版元が全く誠意示さず、縁を切ろうと思っているとのこと。少しサジェスチョンする。それにしてもここ、第三者として見ていても全く営業努力した跡なく、あれだけ取材も入り話題になりかけた本を売り込もうとしないというのは、いったいどういうつもりなのか理解に苦しむ。

 原稿、廣済堂。前に見本で送っていた4本にIくんの案を加え、少し形式を変えたもので見本用原稿、一本。書き上げてプリントアウトし、時間割へ。内容については問題なし。スケジュールの点のみ相談。10月アタマ、ということになったらしく、それならかなり余裕もって仕上げることが出来る。逆に言うと拍子抜けでもある。

 また帰宅。少ない時間でも、一旦家に出るたびにTシャツが汗でグショグショであり、着替えることになる。『マニア蔵』の編プロから電話、宇宙戦艦ヤマトのムックを出すそうで、コメント原稿依頼。この次の日曜にボックス東中野でヤマトについて語るんですよ、と言ったら驚いていた。時代はまたヤマトか? 平塚くんに、ゲラで抜けていた図版キャプションを書いて先にメールしておき、それから家を出、新宿から丸の内線で新中野。平塚くんの事務所に行く。マンションの向かいの部屋に張り紙があって、“マンションの廊下は共有部分ですので、ここへの献花はお断りします”と。何があったのか。ここに来るたび『仄暗い水の底から』を思い出すので、ちょっとブキミである。

 大ミス部分は電話での打ち合わせですでに直されていた。キャプションも無事入稿されている。あと、数点、こちらの要望を伝えて、誤字脱字に赤入れをしたものを渡す。『堪能倶楽部』の色校も見せてもらう。無茶苦茶にオシャレな装丁で、『花椿』みたいだ、と感想を漏らす。飛行機の機内パンフだと言ってもおかしくない。おまけに、食となると執筆者全員ハリキルのか、安達瑶さんも植木不等式さんもいつも以上に凝った名文。開田あやさんのソバたぐり案内も実用と非実用の合間を縫った内容と文章で実によろしく、睦月さんも内藤みかさんもひえださんも、いかにもそれらしい内容。クリクリは黒田絵里さん自身が書いているが、ここのケンさんの写真、K子の最高傑作ではないかと思う。談之助さんは1986年の旅行のときの写真を載せてい るが、いやその顔が若い若い。破門された前座かと思った。

 帰る間際に、コミケの宣伝をうちのパティオの告知欄に載せるので、私の同人誌の宣伝キャプションが欲しい、というので、思いつきに口で伝える。よくそうすぐ出てくるものだ、と平塚くんの奥さんに感心された。地下鉄で新宿まで戻り、伊勢丹会館へ。途中でK子とバッタリ出会って一緒に行く。講談社から好美のぼる本を出すにつき、シズエ未亡人と会食兼インタビュー。Yくん同席。K子が(好美のぼる伝をマンガにする関係上)主に質問し、私とYくんでサポート。シズエ夫人はいま、俳句の会 に入っているそうで、この間の作が“黴”という季題で
「黴ぬぐふ 夫(つま)の忌あけの 初版本」
 というものだったそうな。これはこの単行本に載せさせていただくことにする。何ともふさわしい句をちょうどよんでくれていたものだ。

 いろいろ話はずんで、9時半、解散。Yくんに『くもとちゅうりっぷ』のビデオを渡し、見ておくようにと言う。この作品の動画部分をちょっとWebにとりこんで、イラスト代わりに使えないかYくんと話していたのだが、今日、松竹の版権部にケンもホロロに断られたそうだ。仕方ないなあ。ケンもホロロと言えば、帰宅してメールチェックしたらベギちゃんからで、例のロフトでのエロ小説朗読、Dちゃんからキッパリ断られたとか。まあ、彼女はすでにプロダクションに所属しており、歌手としてのデビューも間近いというのにエロ小説朗読でもあるまい。私も断られるんじゃねえかな、と思っており、代打として宇多まろんを考えていたのだが、ベギちゃんも同じこと考えていたとみえ、もう速攻で依頼して、OKとったとか。逆に言うと、ヒネリがなくなっちゃったが、まあ、その代わりエロ度に遠慮ももコソもなくなったということでもある。深夜企画にはふさわしからん。あ、そう言えば山咲トオルから単行本が送られてきていた。彼でもよかったか、と思うが、アレも一応太田プロ所属の芸能人だし、やはりエロはダメか?

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