裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

6日

月曜日

箱根八里のシャンブロウ

 字句的には昨日の方が元語に近いが、語呂ではこっちの方がはるかにいい。どちらを選ぶか、迷うところである。迷ったにしろ所詮ダジャレなのであるが。朝3時に目が覚めてしまい、起き出してしばらく読書などしてしまい、再び寝たのが5時。呼吸が荒くなるくらい怖い夢を見たが、どんな夢だったかは忘れた。7時半起床、朝食は雑穀パンにハムとチーズ。果物はポンカン。宇多田ヒカル卵巣腫瘍摘出で手術、ホルモン治療の副作用で再入院とか。各局のレポーター、いつも事件背後の複雑な人間関係などをスラスラと解説することに長けた彼ら彼女らだが、医学的説明にしどろもどろなのが可笑しい。

 さて連休も今日一日、明日〆切の原稿などを片付けようと思い、まずアスペクトの村崎さんとの対談にチェック入れようと思ったら、カン違いでこれは連休前〆切だった。内容に明らかな事実誤認があることもあり、すっかり腐る。シャワー浴びていたら電話、と学会の藤倉珊氏。と学会会誌用原稿に使う図版を手渡ししたいので(氏は渋谷から一本のところに住んでいるので、宅急便を出すより持ってきた方がはるかに安上がりになる)持って行こうと思うのだが、いいだろうかとの電話。“それに久しぶりにカラサワさんの顔を見たいと思いまして”。お互い顔を合わせるのは前回の例会以来なので、こちらも同感。どうぞどうぞと招く。2時半に来るというので、それまでにと学会誌原稿だけでも片付けてしまおうとはりきるが、やはりどんどん長くなり、完成出来ず。

 12時にセンター街へ出て、江戸一で昼飯。月曜はやはりネタにまだ仕込み中のものが多い。エンガワ、サーモン、甘エビなど7皿。それから西武デパートでお茶請けの菓子など買って帰る。2時半ちょっと前に福島氏来。図版用の本を受け取る(レイアウトはK子と平塚くんがやっているので、要するに取り次ぎだが)。ペットボトルのお茶を飲みながら、まさにオタクの茶飲み話。“こういうの最近手に入れたんですが、このたぐいを自慢できる人はカラサワさんしかいないんで”と、興津要のエッセイ本を取りだして見せてくれる。サイン入りで、“興津要 夢楽さま”とある。夢楽師匠も売るなよな。

 それから昨今のレーザー事情、と学会十周年のついて、山本会長の『こんなにヘンだぞ〜』ばなし、SF業界のうわさ話から向精神薬のこと、互いの結婚観まで話が及んで、気がついたら5時半を過ぎていた。名残惜しいが原稿〆切もあるので、今度植木さん永瀬さんなども誘って酒でも飲みながら、と約し、別れる。来客と無駄話して一日を過ごすなどというのは私にしてはずいぶんと人並みな休日の過ごし方をするものである。

 さて、その後で原稿、と学会誌のもの、どんどん長くなって400字詰め換算15枚を越す。書いていて楽しくて延びるのは結構なことである。あとは結尾を残すのみというところで一休みしていたら鶴岡から電話。テレビの仕事の話。またまた雑談。最近、吉田豪、大塚ギチとよく名前が並べられるが、いまいち実感がわかない様子。一番近くにいて競わなくてはいけないはずの伊藤剛が出てこないので、あぐねている感じもある。昨日の私の日記を見てかなり感ずるところはあった由。人気を取れる仕事と認められる仕事の違いなどを話す。たとえて言えば寄席では“小話その一、小話その二”でウケがとれるが、それでは独演会は開けない。

 8時、センター街『駒形どぜう』渋谷店にてK子と夕食。夏と冬でここのタレはあきらかに味を変えている。鯉あらい、ウド酢味噌など。生ジョッキ2ハイに水割り。早めに寝て、早起きして原稿片付けるつもり。夜に明後日出演の『やる気マンマン』の構成台本がFAXされるはずだったが来ず。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa