裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

28日

日曜日

千年期最後のヘビ娘

 今日はと学会例会。以前の、例会前日には必ずその夢を見る(たいてい、会場までの道に迷って行き着けない夢)というようなワクワク感はさすがに薄れたが、3ケ月に一回のこの日があるからこそGETする本やグッズも多い。岡崎京子のマンガのセリフに、“中学や高校の体育の授業ってイヤだったけど、あれがあったから一週間に数時間は運動が出来ていたよねー”というのがある。人間、どこかで縛られないとすぐダラけるものですからな。

 朝食、トーストにオイルサーディン、安売りで買ったへしゃげたようなメロン。きのう八重洲で買った資料など整理。札幌の母親から電話。父親とケンカしたんだそうな。半植物人間とよくケンカが出来るものである、と感心する。ヨメの悪口を喜々として話す。こっちも悪口は好きなので喜々として聞く。

 最近と学会は発表者が多くなったので、開会時刻が早まり12時半からになった。雑仕事片付けているうちにすぐ出かける時間になる。あわてて、ゆうべ寿司屋でもらったお稲荷さん5ツほどパクつき、井の頭線駒場東大前。東大では教室使用許可を“読書会”という名目で取っているそうな。会するもの約50人。そのうち30人以上が発表物を持ってきている。学術的なものからアダルトビデオまで、一○○種以上のトンデモ物件が集まるわけである。一種壮観。私の著書のミス指摘もあった。急いで重版で訂正しなくてはなるまい。

 5時半に終了、渋谷に戻って二次会、文化村通りの「×いこんの花」。4000円の宴会コースで、ビールウーロン茶サワーの他、出た料理が冷凍のエダマメ、つけもの、レタスだけのサラダ、牛タタキ、うどんみたいなスパゲッティ、カラアゲ、豚キムチ炒め。それがそれぞれ9皿づつだから、34人の二次会参加者が一皿を3.7人でつつく。2時間のコースを頼んでいたが、1時間弱で全部料理出切って食い切り、あとは何もナシ。バカにしてないか。

 腹が減ったあ、とみんなで新宿に移動し、歌舞伎町の、と学会御用達みたいな感のあるお好み焼き屋。例によって酔っ払ったひえださんと開田あやさんが手近の男に化粧をほどこす。今回は原田実さんがエジキ(?)になっていた。古代史学会ではエラい人なんだが、ウレシそうに女装写真撮られている。頭のいい連中がとにかく徹底してバカになる。これもと学会の持つ“場”の魔力だろう。

 そこから花園神社へ三の酉見物。いつ行っても、ここの異空間、ハレの場の演出は見事である。屋台を冷やかし、開田夫婦がかっこめ(熊手)買うのにつきあい、恒例の見世物小屋。呼び込みのこびとのお爺さん、例によって“もう見られない、今年で最後”と十年前から同じセリフ。今年は“今世紀はこれで最後の蛇娘”って、おい、まだ一年早いぞ。犬娘やクモ娘がいなくなったのは寂しいが、ヘビくいおばさんおキヨさん、ヘビを鼻から入れて口からだすお花ちゃんなど、変わらず健在。司会のおばさんの一瞬たりと途切れぬマイクパフォーマンスにもいつもながら感心。出てから聞いたら、女子大生らしい二人連れが、私の方を指さして
「ねえねえ、あそこにカラサワシュンイチがいるわよ〜!」
 と話していたそうである。なんのこたない、こっちが見物されていた。

 すでに12時回っていたが、最後の仕上げでプリンスホテル前の中華料理屋。老酒と青島ビールで仕上げ。残ったメンツ、私、植木不等式、その友人、立川談之助、奥平広康、原田実という濃いところ。某所のイメクラがオウムの経営らしいという話、そこにロフトの平野店長が行ったそうだという話、『怪物の事典』のジェフ・ロビンの新著の話、あといろんな出版社の編集の月旦。魚ダンゴのスープが美味々々。カンバンまでねばって、2時過ぎ帰宅。これを皮きりに年末はオタクな催しの予定がつまっていてウレシイ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa