裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

20日

土曜日

どどいつ文庫

 朝、スパゲティ小ひと皿、イチゴ数粒。12月の神戸小旅行のホテル、予約。風邪、ゆうべ薬のんで寝たせいか快癒。ここ十年ほど風邪で一日以上寝ついたということ、私も女房も皆無である。三年ばかり前、永瀬唯氏の出版記念パーティと、飯塚昭三さんたちとのソバ食い会を駆け持ちしたことがあるが、パーティで挨拶させられた、その挨拶の途中から声が急にカスレ出し、ソバ食った帰りにはまるで声が出なくなり、その夜40度以上の熱を出してブッ倒れた。あれがこの何年かで最大の大病だったが、それでも半日くらいの寝込みで治ってしまった。風邪には抵抗力があるらしい。

 千葉の悪趣味洋書専門店“どどいつ文庫(成金商会)”からペーパー届く。もっと前に出していたのが住所誤記で戻ってしまい、遅くなったらしい。大型目録を出す、という予告から一年、まだ完成していないという。このペーパーちゅうでも何冊か新入荷書籍を紹介しているが、例によって書名を勝手に悪趣味に訳しているので原書名がわからないし(これは直接個人でアチラに注文されないための知恵か?)、
「つねに時代に鳥の子されていたい当店?でも、ご飯のオカズ代わりにテレビを見ているうちに洗脳されて、呆産矛平次をこさえて三馬した、というところまで、愚痴愚痴しましたが。さて、その結果が木に成る方は不味いないとはおもいますが、とにかくその血価はといいますと」
 などという、ライフスペースばりに読みにくい文章であるが、とにかくまだ目録は鋭意裂く成虫であるらし糸ころが他の模試い。

 駕篭真太郎の『喜劇駅前虐殺』読了。『輝け!大東亜共栄圏』よりはおとなしい作だが、全編どれも、“ある一定のルール”が科せられた社会での人々の不条理なガンバリ様を描いてグロでエロでバカで、大笑い。「駅前発条」のオチがリアルな唐沢なをきのギャグ、という感じで一オシ。

 昼飯食ったあと、F書房の小説の展開をぼんやり考えながら(やってますぜ、Yさん!)青山まで散歩。フリマをのぞいて、60年代のストリップのポスターなど買う。ABC本店の映画コーナーで探していた『ビートルズを撮った男 リチャード・レスター』を見つける。この本、三年前に出版されて以来、どこの書店の映画コーナーを回るも見つからず、一年くらいたって“ひょっとして音楽のコーナーか?”と気がつき、そっち方面も注意していたがなお見つからず、いっそ注文しようかと思ったがいやいや、書店の棚で見つけださずにおかいでか、と意地になって、あちらこちらと探索していたもの。しかも、前回ここの書店の映画コーナーには確かに無かったのである。それからビートルズ関係書籍を充実させたときに、新たに並べたのだろう。こういう、長年かけて目当ての本をハントする楽しみが実は読書の大きな魅力のひとつなのである。

 帰って雑用。8時から夕食作り。鶏モツの味噌焼き、サーモンフライ。LDでアニメ『お兄さまへ・・・・・・』見る。出崎統の大傑作なのだが、声優たちが下手、特に三人の先輩役が貫禄なくて台無し。武藤礼子や北原晴子の声は美しくてドスが聞いてて、よかったなあ、などと爺いの繰り言。見ながらバーボン飲んだらやたら酔っ払ってしまった。

・今日のお料理「鶏モツの味噌焼き」
 鶏モツの下ごしらえをする。水でざっと洗い、腸はブツ切り、レバは小口切り、砂ギモは薄切り。味噌・酒・砂糖少量・醤油・生姜絞り汁をあわせ、モツにからめて、耐熱容器に入れ、オーブンへ。オーブンがない場合は、まずタレをからめてフライパンでざっと炒め、その後耐熱皿に入れてオーブンレンジまたはガスレンジへ。味噌がちょっと焦げたあたりが食べ頃。

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