30日
金曜日
鉄腕ATM
♪コンビニに、ラララ駅の中に、今日もATM、現金おろして〜。
※台本執筆 ノーコンタクツ『ドラゴノクエスト』
このところディープな夢を見続けているが、今朝のは最大限に
ディープ。原宿ヒルズのあたりを歩いていたら、近くで店をやって
いる老婦人に会う。彼女は私が公衆電話を探していると何故か
勘違いして(携帯の時代になっているのが理解できない)、
「あそこの“じゅうに屋”さんで借りればいい」
という。困ったなとは思ったが、その“じゅうに屋”なる店の
ある一角は原宿とは思えないほど古い店舗が固まった一角なので
話のタネにでも、と寄ってみることにする。
見ると薄暗い路地の片隅にある、戦前どころか大正あたりから
あるのではと思える小店で、干菓子を売っている。ふと見ると
焼魚の折り詰めなども売っているが、その焼魚の魚が、種類もよく
わからぬ、奇妙な魚である。興味を覚え、店内に入ると、
怪しげな乾物や菓子がところせましと置かれて、老夫妻が店番を
している。亭主の方が何やらセロファンの袋詰めにしているものを見ると、
“河童の干物”とある。これ、どうするんですと訊くと、焼いて食べる
という。四万十川にこないだ出かけたら、地元の子供たちが河原で
焼いて食べていた、自分も食べたらうまかったので1匹つかまえて、
自家製で干物にした、という。思い切って買い求め、包んでもらい
店を出て、これを食わせたら喜びそうな友人たちにメールを送ろうとして、
あ、この店の電話番号を聞くの忘れた、と振り返るともう、
その店は跡形もなかった……。
朝、例によりベッド中でメール、他の人の日記へのコメントなど。
読書、『日本トンデモ人物伝』続き。
戦前までのこういうオカルト系思想家の続出現象が大変興味深い。
思うに明治維新を経ていきなり“世界の中の日本”の立ち位置を
どうとらえるか、という問題に直面して、日本は大変にとまどっていた。
正当な思想や宗教はそれまでそんな国家のアイデンティティ問題を
取り扱ってなかったのだ。
国家はそのアイデンティティを単純な皇室崇拝で代替しようと
したわけだが、“自分探し”を本能とする人間は、もっと
深い部分での国家アイデンティティを求める。
これらオカルト系思想家たちの言説は、そういうニーズに
応えて出現し、広まったものだろう。
この原田さんの本は、単にトンデモ人物の列記にとどまらず、
日本人のアイデンティティ探求史にもなっている。
起き出してカットフルーツで朝食。
台本書き、佳境。
舞台のものなので、つまると立って、自分で
役者になった気分でセリフを言い、うん、これだなと
言うセリフが出るとあわててパソコンの前に戻る。
監視カメラで見ていたらキチガイにしか見えまい。
登場人物が秘密をあかしたり正体をみせたりという展開の
とき、観客に納得させる視覚効果をそこに付与しないと
セリフがただ流れていってしまう。そこらへんを考えて視覚効果第一
で書き進めると、話のイメージがまるで変わってきたりして。
てこずる分、台本というのは面白い。
などと書いているうちにT誌の依頼原稿、今日までだったのを
忘れていた。明日急いで書かないと。
三遊亭圓楽死去、肺ガン、76歳。
『円楽のプレイボーイ講座12章』なんて傑作レコードがあるが、
若いうちは“星の王子様”“湯上がりの男”などをキャッチフレーズ
にプレイボーイを持ちキャラにしていた。酒も飲まない真面目人で、
実家が寺で、名前も寛海と僧侶っぽい彼がプレイボーイをウリにする
のはだいぶムリがあったと思うが、そのギャップがナンセンスブームに
うまい具合にはまった。中原弓彦脚本の『すすめ! ジャガーズ
敵前上陸』での色男の刑事役など、いっそシュールですらあった。
そうそう、艶笑譚映画ということでビリー・ワイルダーの
『七年目の浮気』の冒頭ナレーションを圓楽がやっていたことがあった。
あの吹替えは局に残っているのかしらん。
なお、円楽については四年ほど前に、追悼みたいに見える
文章を日記に記している。
http://www.tobunken.com/diary/diary20051014000000.html
その中で
「正直言って、今、圓楽さんが亡くなったとして、私に何か
慨が浮かぶかというとあまり期待できそうにない」
とシニカルなことを書いたが、やはりそんなことはない。
自分が最も落語を熱意もって聞いていた時代に、一番人気の
あった人だもの。
『近日息子』ではないが、先回りで追悼文を書いていたのかも
知れない。
と、思ったら立川文都も胃癌で死去、49歳。私より2つも若い。
文都は上方落語では大きな名前である(ただし亭号は桂)が、
私にはその前の談坊のときの方がつきあいが深かった。
とはいえ、あまりお仕事のことは記憶にない。
談春、志らくと同期で、何かと比較されてつらかったのではないか
と思う。私は落語は肩の力を抜いて、または抜くために
聞くものだと思っているので、文都贔屓ではあったのだが。
関西出身で東京で活動している噺家には(弟弟子の志雲もそうだが)
異郷の地にいるという“逆地の利”で、斜に構えた観察眼が
大変に発達している人が多い。彼もそういう鋭い目を持っていながら
それをうまくクッションにくるんで表には出さなかった。
出していればまた、というところもあったろうが。
酒が好きで、おかげで糖尿病になったりしたわけだが、『居酒屋』
など、飲む噺はやはり名演であった。
黙祷。
今夜は劇団ノーコンタクツの『ドラゴノクエスト』初日を
観に行く予定。ここの主催者の麻見拓斗、出演の松原由賀の
お二人は11月には私の芝居に客演してくださる。
と、いうことでてっきり当然のごとくフライヤーのはさみこみは
しているもの、と思ったのだが、ノーコンタクツに問い合わせて
みたら来ていない、とのこと!
あわててルナの担当者に連絡とったら、今回、意識からヌケていた、
というのでちょっと呆れる。客演がここしかないのにここがヌケて
いたのではスッポヌケではないか。少し態度硬化させて叱っておく。
こちらも確認を間際までしなかったのが悪いが、まさかやってないとは
思わなかったのである。
それやこれや、まだ他にも別の件でトラブったりしててんやわんや
の中、出かける。中野から中央線で新宿、そこから埼京線池袋、
西武池袋線で一駅で椎名町の『シアター風姿花伝』。
椎名町から行くのは初めてだったので道順が不安だったが、
エスコートする別府ちゃんが道を知っているというので
安心する。結果、エスコートされてしまった。
受付にいた純子とあゆみにまたフライヤーの件、注意して
客席につく。アオキングが来ていた。他に菊ちゃんも。
で、芝居は……面白いがここの劇団は毎回書いている
ことであるが、完全なパロディで舞台を作っているので、
所々への兼ね合いで(笑)詳しくストーリィが紹介できない。
ただ、これまでのノーコンタクツの芝居に比べ、人間のドラマ
の部分もかなりの比重持って描かれていて、オヤ、と思った。
もちろん笑わせる部分が全体の90%であったし、
何も考えなくていい、というのはこの劇団のウリであるのだが。
由賀ちゃんはアメリカ訛りの関西人(違った、関西訛りのアメリカ人で
あった)なんて役までやって、芸域広がったねえ。
菊、希依ちゃん、別府ちゃん、アオキングと4人で
近くの居酒屋へ。椎名町というところ、池袋から一駅のくせに
何もないところで、とりあえず劇場から一番近いところ、と
いうことで飛び込んだ。夫婦二人でやっているお店のようで、
定食屋と居酒屋の中間みたいなお店。つまみのメニューの中に
炒飯、焼きそば、ナポリタンなんてものがある。
話はずんで、実に楽しい飲み会になった。
希依ちゃんの天然ぶり、ますます好調、まさかこんなキャラに
なるとは、最初『御利益』でご一緒したときからは想像もつかない。
別府ちゃんには11月の舞台のこともちょっと話す。
最中に仕事関係電話二件。T社から原稿依頼、マイミクWさんから
ちょっと頼まれ事。
希依ちゃん別府ちゃんが終電で帰ったあと、菊ちゃんに酔っていろいろ
説教。クドかったな、すまん。彼女は自転車で帰り、私はアオキングと
タクシー乗り合い。すまんと言えば彼の新婚の奥さんにもすまんこと。
1時過ぎ、帰宅。帳簿のことでK子がちょいヒス起していた。