裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

4日

日曜日

「慎吾さーん、新番組の出演依頼ですよ」「オファー!」

「『こち亀』がコケたので、やはり慎吾ママに戻ろうと……」(事務所・談)

※フィギュア王原稿 シネパトス宣伝文

朝9時半起床。
メールやりとり。

朝食、ソーセージ、ライ麦パン、ミニトマト、キャベツカレー炒め
昨日の日記アップ。
コメント欄が中国詩人名ダジャレ大会の様相を呈してワケがわからなくなる。

しかし自分でも苦笑するほど意気軒高。
原因は某件のせいか。
やはり私はプロデューサー気質なのだな。

レヴィ=ストロース『パロール・ドネ』読みだす。
やはり高校生あたりでハマったものは今読んでも面白い。
私の文化人類学の入り口は小松左京だった。
山本弘氏の『地球移動作戦』は小松氏のハードSF系ジャンルの申し子
だが、誰か小松氏の文化人類学系・民俗学系SFの系譜を継いでくれる
書き手がいないだろうか。

催促が来て、シネパトスの奇想天外シネマテーク用の映画宣伝文を書く。
それからフィギュア王用原稿。
明日打ち合わせ予定だった某さんから、知り合いの父親が亡くなって
葬儀なので日取りをズラして欲しいとメール。
この理由で予定がズレたのはこの数日間で二度目。
季節の変わり目は訃報に接すること多し。
中川昭一がその最たるもの、か。
今朝、ベッドで死去しているのが発見されたとか。

実家の店が道庁近くだったもので、父・一郎の死去の際の騒動は
よく覚えている。
心臓マヒの報が自殺、と切り替わる瞬間も。

昭一氏の酒癖は、それ以来“自分も若くして死ぬのではないか”という
不安に常に襲われたせいだと聞いている。
不幸にも、それは的中してしまった。
親父は57,息子は56歳。

父の死後の選挙において、親父の秘書だった鈴木宗男と泥沼の戦いを
繰り広げ、そのときに鈴木陣営から、“お飾りだけで役に立たないぼんぼん”
のネガティブ・イメージを植え付けられた。
それが例のヨッパ会見のときまで尾を引いていた。

実はぼんぼんどころか、政治の世界に入ってからの政策を見てみると、
これほど短期間に多くの成果を上げた大臣はいないのではないか
というくらいのことをやっている。
中でもこのあいだのG7で国際通貨基金(IMF)に最大1000億ドル
を拠出する決定をなしたことは、世界を恐慌から救い、IMFの理事から
「人類史上最大の貢献」
とさえ絶賛された。

しかし、世間は人を功績で量らない。
醜聞で量る。

某新聞社で聞いた話だと、あの酔態会見、政治部の記者には
「昭ちゃん、まただよ」
程度のことで、それほど問題視されていなかったらしい。
と、いうか、あれほどの業績をあげたあとなんだから、
まあご愛嬌という程度の認識であった。
それが、社会部の記者が“これはネタになる”と食い付いて、
あのような大々的な報道になり、誰に迷惑もかけていないにも
かかわらず、辞任にまで発展した。

およそ今世紀に入っての“最もお気の毒な政治家”コンクールの
優勝筆頭候補であると言えよう。

もちろん、人間的に弱いというのは政治家として決して資質がある
タイプとは言えない。政治家というのは、酒より女より、何より政治が
好きで、政治のためなら腕の一本くらい切って捨てても惜しくない、
という人物でないとまかせられない。どんなに酔っていても、
記者の前ではツラリとした顔を見せる訓練くらいすべきであった。
また、酔ったからといって何だ、俺はやるべき仕事はやってきた、と
開き直るべきでもあった。

二世議員の弱さは、政治家という身分への執着の弱さから来ている。
中川氏も、政治家の息子にさえ生れなかったら、もっと世に賞賛される
一生を送れたかもしれない。

所詮、政治家としてはそういう意味で“二流の人”だったのかもしれない。

冥福をお祈りはしたいが、出来ねえだろうなあ。
どうか、日本、もしくは自分を落とした選挙区の北海道に祟らないで
ほしい。せめて、鈴木宗男を取り殺すくらいにしておいてw

原稿書き続いて、夜8時を過ぎる。腹が減ったので(最近は昼抜き)、
ヅケのカツオの残りで茶漬けを作って立ったまま台所で掻き込み、
そのまま原稿続き。10時半にようやく書き上げてメール。
それから本格的夕食。
オクラおろし和え、ラム肉蒸篭蒸し。
ラム肉蒸篭蒸しは下にもやしを敷き、上にラム肉をかぶせ、
蒸篭で蒸し上げて、好みのタレ(今日は香菜たっぷりのジンギスカンだれ)
で食べるというだけのものだが、もやしはいいものを使った方が
絶対おいしく、昨日、ピーコックで一袋だけ残っていたベストもやしを
買って、それからの逆算で作った料理である。

DVDで『ロッキー・ホラー・ショー』。
もやし(上で言っているもやしではなく、ルナのもやしくん。ややこしい)
はリフ・ラフがそのまま務められるな。
Oプロモーションから、二枚目役の男優を借りようと思っているのだが
いい人がいないのか、まだ返事がない。
そうなると男優不足のわがルナではもやしをそれに当てなくてはならない
のだが、もやしはやはりこういう不気味役の方が絶対味がある。悩むなあ。
2時、就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa