裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

20日

火曜日

パストラミの暴君

「ロバは飢えて死ぬ ハムが食えないから」

※T社原稿 『ルナティック演劇祭』

朝ぐずぐずと10時近くまで。
夜中に目を覚して本を一冊読み通すという悪い癖のおかげ。
とはいえ、深夜は読書が進むのである。
ゆうべの読書は酒井明夫『逸脱の精神史』(日本評論社)。

日記つけ、メールやりとり。
昼は母の室でカツ丼。
薄切り肉のカツで、あふあふと掻き込んでしまう。
薄味が嬉しい。

安閑としているうちに、もう10月も半ば過ぎ、時間がますます
無くなってくる。焦るとかえって何も出来なくなるので
焦らないようにしているが。

mixiでよく行くコミュニティがある。
内容的にも私の書くものと相似のテーマを扱っており興味深いが、
それより管理人チームのおひとりに私のマイミクさんがおり、
へえ、あの人がこんなコミュを、という興味で入って、それから
ずっとそこを読ませてもらっている。
しかし、このマイミクさん本人の日記などを見ると、やはり、
どうしてもこんなテーマに関心があってそのコミュを主催するとは
思えない。気になって確かめたところ、同ハンドルネームの
全くの別人であった。うかつさに呆れるが、まあ、それで
結果的に面白いコミュには入ったわけだし。

遅れに遅れたT社原稿にかかる。
資料脇に置いてバリバリカリカリ。
途中で電話、S社から。連載の刷新、以前から考えていたネタを提案。
ほぼそのままの形での賛同を得る。
そうなるとこれはこれでまた忙しい。

原稿書き上げ、それやこれやで遅れて、Sくんと下北沢で打ち合わせ
の予定を30分遅らせてもらう。
やっとこさっとこ書き上げてメール、下北沢に急ぐ。駅前で落ち合い
近くのいかにもシモキタ風なイタリアンのカフェで
打ち合わせ。某社の単行本の図版撮影に協力のお願い。
その他もろもろ。

それから韓国飯屋でスンドゥブチゲ食べて、劇場入り。
本日より『ルナティック演劇祭2』。
ハッシー、ちょっと眩暈がひどくて病院行ったら、なんだか
MRIをとれとか、大変なことを言われたそう。
おいおい、NCに続き病気劇団かよ、と驚くが、意気は軒昂、
昨日もかなり飲んだらしい。まあ、芝居者というのに
身体をいとえ、と言って無理なのはわかっているが、しかし。

本多さんもいらして、三人で雑談。
ウィキペディアの“あぁルナティックシアター”の
項目が、私とルナの関係がよくわからずとまどった書き方を
しているという話で笑う。

簡単な開演祭の挨拶をしてその後、トップバッター『集団as if……』
の公演『幸せの刻』。ネガティブコメディだそうで、何やらパンフには
「笑いと感動は他の劇団にまかせて」
と、チャレンジャブルなことが書かれている。
かなりの自身ありげな企画と見た。
開演前に小さな用紙を配って、ここに書き込んだ言葉やものの名が
芝居の中でアドリブで使われる、という設定。

まだ公演中故にくわしいことは書けないが、見終わったあと、
ずしーんとゆさぶられてしまった。
演劇的にはかなり粗削りなのだが、そのショックはかえって大きいかも。
この内容でこのオチで、後味悪くないというのはどういうことなのか。
いやあ、ここ、はっきり言ってノーマークであったが凄いよ。
野に遺賢あり、というが小劇場界などというのは全て野みたいな
ものであって、そこらじゅう遺賢だらけなのかもしれない。
これは他の劇団も楽しみだ!

そのことを話したくてハッシーと飲みに行く(いや、彼の健康を
気づかっちゃいるのだが)。てっぺんという店が新オープン。
呼び込みをしていた女の子のノリが気に入ったのでそこに。
魚の串焼きが売り物の店であった。

後から本多さん、岡っち、琴ちゃん、じゅんじゅんも来て
いろんな話になるが、つい事務的なことが先に立って、
話したかった芝居の話があまりできず。
12時過ぎ、タクシー乗り合って帰るが、ちょっと欲求不満。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa