22日
月曜日
ブルーデイレコーダー
生理日の記録を克明に!
※番宣番組収録
国外追放処分を受けた男の夢。
追放先で恋人のことを思い出すと帰ってきて、
空港の窓越しに恋人の顔を見、またとって返す。
一日に二度も三度もトンボ返りでやってくる。
8時に目が覚めて、ちょっとパソコントラブル。
大過なく解決できてホッと。
書評用読書、読み終わりと読みはじめ各一冊。
9時半朝食、バナナリンゴジュースにトマトセロリスープ。
日記つけ、メール連絡多々。
予定が二転三転するものもあり。
昼はまた8番ラーメンにしようと思ったが時間なくなる。
入浴して、急いで家を出、渋谷の仕事場。
あわただしかったせいか、車中息苦しくなってゼイゼイ。
2時から『世界一受けたい授業』の番宣番組収録。
ちょっと時間あったので、ベラミに飛び込み、ポークジンジャー
ランチを。食べてる最中に、店内で流していたテレビがいきなり
映らなくなる。マンションの共用設備点検で電気が止まっている
らしい、と客たちが話している最中にオノからメール、
「停電しているのでエレベーターが使えません。歩いて上って
きてください」
と。あちゃあ。
暗い階段をエッチラオッチラ上っていく。
私は4階だからまだいいが、それ以上上の階の住民は
たまったものではなかろう。廊下も真っ暗。
準備する間もなくクルー来て(クルーも大変だったろう)、
撮影はじめ。
昨日、と学会例会で購入したジェニー・ハニヴァーなどを
紹介。舞台の宣伝もしたが、果たして流れるか……。
しかしわれながら、少しよどみなくべらべらしゃべり過ぎ。
収録自体はすぐ終り、クルーたちはひと足先に神保町へと
向かう。時間まで待つ間、書庫整理ちまちま。
電話あり、オノによれば来年5月あたりのお仕事。
このご時世になんと景気のいい、と驚くセリフあったそうな。
しかし出版も何も、もう来年半ばまでスケジュール入り始めている。
とはいえ、“来るときはいきなり”が基本であることに
変わりはないけど。
3時半、制作プロダクションの人とタクシーで神保町まで。
車中、つげ義春の話などで盛り上がる(その人の家の近くに
住んでいるそうな)。
市ケ谷を過ぎるあたりから、急に道が混みはじめ、進まなくなる。
しかも空が急に暗くなり、風が強くなり、雨もポツポツ降りはじめる。
30分遅れで神保町、岩波ホールの前で開田夫妻を拾い、
カスミ書房さんへ。“いきつけ古書店での様子”を録る。
なんだかんだここでもしゃべって、嵐のようにクルー、去っていく。
そのあとで、カスミさん、開田さん夫妻とちょっと話す。
カスミさんにお願いごとあり、頼まれごとあり。
そこを出ると、かなりの雨量。
開田さんと食事でも、と思っていたのだが次の用事あるとの
ことで、別れて新宿へ、都営新宿線。
車中読書、保阪正康『華族たちの昭和史』だったが、鹿鳴館の
記述のところを読んでいて、ふと顔を上げると、駅名表示に
“内幸町”と。あれ、なんで新宿へ帰るのに内幸町? と
思ったら、間違えて都営三田線に乗ってしまっていたのだった。
あわてて飛び降り、神保町へ戻って乗り直す。
しかし、もう何百回も乗っていて間違えっこない三田線と新宿線を
なぜ間違えたか、ということも不思議、さらには鹿鳴館の記述を
読んでいて、降りたのが鹿鳴館所在地であった内幸町だった
というのもこれまた不思議。
新宿にたどり着き、駅の方まで地下街を歩いていたら、
物産展をやっていて、沖縄の食材をいろいろ。
ジーマミ豆腐とナカミ汁のパック、スクガラスなどを
衝動的に買い込む。それから駅の方に行ったら、まだ早いのに
タクシー待ちの列がずらり。JRがこの雨と風で止まったのか。
後で聞くと、神保町近辺は嵐のような感じであったとか。
早めに帰ってよかったか。
中野近辺はそれほどでもなし。
サントクで買い物し帰宅。気圧の関係だろうが、眠くなったので
30分ほどベッドで寝る。D社からの打ち合わせ電話で起きる。
夕食、刻み油揚と大根、それにハマグリの煮物。
ハマグリを茹で、そのダシに昆布醤油を加え、千六本にした大根と
刻んだ油揚を煮て、七味を薬味にして食べるだけの単純な小鍋。
いつもはアサリの剥き身でやるのだが、ハマグリで試みてみる。
ハマグリは高いので、小さ目の二個のみ。
ところが、これが流石はハマグリ、アサリでやると澄んでいる
ダシ汁が白く濁って、たった二個で実に濃厚なダシが出る。
熱々のダシを吸った油揚を口に含んでうなる。
こうなると、もうアサリなんぞは食えなくなってしまうな。
あとは買ったジーマミ豆腐(濃厚)、それにヤリイカの刺身に辛子明太子を
まぶし、煮切った酒とダシ醤油、刻んだミョウガと和えた“イカ明太”。
これも旨くて旨くて、酒がすすむことであった。
白黒映画を字幕つき字幕なし取り混ぜて、何本かDVDで見る。
中にヒッチコックの『バルカン超特急』があった。
やはりダントツに面白し。マーガレット・ロックウッドがもう、
可愛くて。金髪ではないがそこは助平なヒッチコック、生足を
見せたり、胸の谷間をのぞかせたり。マイケル・レッドグレーブと
イタリア人奇術師との格闘のとき、回りをぴょんぴょん跳んで
回っているだけ、というのもいわゆる“萌え”。
舞台の名優、マイケル・レッドグレーブ(娘のバネッサも女優に
なり、後年同じく東ヨーロッパを走る汽車の映画『オリエント急行
殺人事件』に出演している)がヒーローだけにセリフがみな
しゃれている。上記のイタリア人との格闘のあと、ふう、と大げさに
息をつき、ロックウッドが“大丈夫?”と聞くと、
「いや、(相手がイタリア人なんで)ニンニク臭くてね」
とか、列車に乗り込んだ兵士が非常に折り目正しい英語を使うのに
乗客の英国人が驚いて
「英語がうまいな」
「オクスフォード出身なので」
と話しているとき、この兵士が自分たちを欺いて列車から連れ出そうと
していることに気づいたレッドグレーブが、後ろから椅子で
殴って気絶させ、驚いた英国人が
「なぜこんなことをするんだ」
と訊くと
「僕はケンブリッジなんでね」
……この、アクションのあと、とぼけたセリフを言うというのは
イギリス映画の伝統で、後の007シリーズなどに続いていく。
役者では、不倫している女性を演じたリンデン・トラバースが
印象的。何というか、実に“不倫顔”なんである。戦後、女優を引退して
心理学を学び、催眠治療師になったというヘンな経歴を持つ。
ハーツ医師を演じるポール・ルーカスも晩年までテレビや映画で
おなじみの顔だったが、1963年には『北京の55日』に出演、
さらに1965年には『ロード・ジム』に出演と、その両作品で
伊丹十三(一三時代)と共演している。
1時就寝。ベッド読書しばし。
*マーガレット・ロックウッド(真ん中)とリンデン・トラバース