裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

7日

日曜日

家畜の人

『火宅の人』は檀一雄、『家畜の人』は沼正三。

※同人誌原稿

朝7時頃目が覚める。
二日酔いひどし。
ふと思い出して確認するが、衣装バッグが見当たらない。
あちゃあ、また酔ってなくしたか、と愕然とする。
オノにメールしたら、ブリックに問い合わせてみます、とのこと。
昨日はひどい酔っぱらい方であったが、しかしそれにしても。

9時半、朝食。
バナナジュース、コーンスープ、柿。
自室に戻り、同人誌原稿を書く。
年内にやらねばならぬこと山積なれど、時間がどんどん少なく
なっていく。

テレビ東京の番組『よろセン!』で、何とか言うアイドルが
ヒトラーを礼賛したとか言って話題になっている。すぐ
YouTubeで見てみたが(こういうところ、今の時代は
凄い)、当の女の子もそのグループの子も、いいとか悪いとか
いう前にヒトラーという人物を全く知らないらしい様子に愕然。
台本を書いた放送作家も、番組を録っていたプロデューサーも、
たぶんヒトラーという名を出したら騒ぎだす奴がいるかも
しれない、という危機感も感じなかったのだろう。
ヒトラーを偉人と言おうと虐殺者と言おうと勝手だが、
時代の過ぎる中での風化がここまで来ているということに
愕然とせざるを得ず。

昼は弁当、豚と小松菜の麻油炒め、あと焼きタラコ。
同人誌原稿書き足し、なかなか調べものばかりで先に進まず、
ややイラつきあり。

サントクで買い物、今日の夜食用のツユク(スユク)用の豚ロース
を茹でる。ニンニク、セロリの葉、ネギなどと一緒に茹でて、
その後、クッキングペーパーで包み、重しをかけて冷蔵庫に入れ、
水分を抜く。
その、茹で汁がグラスに一杯程度の量残ったので、椀に移し、
塩と胡椒を加えて飲む。ベラボウに旨い。

某番組で石田一先生をゲストにお願いしたのだが、石田先生が
最近、その健康を気づかわれていたフォレスト・J・アッカーマン
4日に死去。92歳。以下、産経新聞の訃報記事より。
「SFを意味する“Sci−Fi(サイファイ)”という言葉を発案した。
ロサンゼルス生まれ。ホラー専門誌の編集長を長年務め、5万冊以上
のSF、ホラー関係の書物などを持つ有名な収集家だった。
小説「華氏451度」の作家レイ・ブラッドベリを見いだしたことでも
知られる。(共同)」(6日)
最近は業界でも忘れられた存在になっていたとか、金に困って
コレクションを売りに出していたとか、悲しいニュースがいろいろ
流れていて気になっていた。70年代のSF映画ブームの時には、
デパートで『アッカーマン展』が開かれたほどの有名人だったのに。

『ドラキュラ対フランケンシュタイン』や『スリラー』など、
カメオでいろんな映画に特別出演することの多かった人だが、
何と小説にまで特別出演している。0011ナポレオン・ソロシリーズ
の中の『ソロ対吸血鬼』。ここに、“「J」の後にピリオドなしの”と
説明が入る、フォレスト・Jアカーマンとして登場、話をひっかき
回していた。ちなみにこの作品、ホラー映画のパロディものなのだが
意外にソロ・シリーズの中では一番の佳作だったりする。
ぜひともクリストファー・リーをゲストに映像化してほしかった。
作者はD・マクダニエル。

結局原稿、半分くらいしかあがらず。
またまた『ダーウィンが来た!』『篤姫』という国営放送路線。
『篤姫』、今回はお涙、お涙。視聴率30%はいくかとのこと。
時代考証とかでうるさいことを言う連中(電話とかも凄かったろう)
のことを聞かなかったのが勝因だろうと思われる。
通俗歴史紙芝居、でいいのだ。
司馬遼太郎の『花神』について、山口県の郷土史家が、
「村田蔵六という主人公の名前以外全部フィクション」
と言い切っていて、“小説なんだからこれでいい”と言っていた
のが思いあわされる。
さっきのヒトラーではないが、イメージはどうあれ、
「そういう人間がいた」
と一般家庭人が知る、ということが大事。
「正しくない人物像のドラマであれば無いにしかず」
などというマニアの意見は百害あって一利なし、である。

ツユク、アミの塩辛をまぶしつけて食うと抜群の旨さ、これまで
何回か作っているが今回が最高の出来。
明日の写真撮影まで取っておくのにかなりの努力を要するほど。
他にベイクド・ポテトにバタと母の札幌土産の塩辛をまぶしつけて。
これも美味。

時代考証無視の極北たる『仮面の忍者・赤影』の卍党編を見る。
忍者と言えば伊賀・甲賀だが、この赤影は飛騨忍者。
飛騨忍者という呼称は横山光輝が考案したものだろうか。
最初は『伊賀の影丸』の、『半蔵暗殺帳』に登場した名称であったと
思う。実際には美濃忍者、美濃流忍術使いという名称であの地域の
忍者は知られているが、美濃忍者でなく飛騨忍者という“響き”を
とって採用したあたりが横山光輝のセンスかもしれない。“飛”の
字も忍者のイメージにふさわしい。“美濃の赤影”ではどうも
パッとしないのである。

一方の卍党は甲賀忍者で、白影は彼らの秘密を探りに甲賀の里へ
と行く。甲賀の里というのは滋賀県甲賀市。“こうが”ではなく、
“こうか”というのが市名の読み方のようだ。ウィキで調べたら
面白い記述が。
「隣接する三重県伊賀市とは、伊賀と甲賀に因み忍術対決が行われる。
負けた市は勝った市のPRポスターを1年間掲示することになっている。
2007年3月の対決では伊賀市、2007年11月の対決では甲賀市がいずれも
市長による直接対決で勝利している」
“忍術対決”って何?
『甲賀忍法帖』みたいな勝負か?

*写真はアッカーマン

Copyright 2006 Shunichi Karasawa