裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

10日

水曜日

ゴリ霧中

スペクトルマンをどう攻略するか、まるでわからん(宇宙猿人ゴリ・談)

※『パチスロネオ』原稿 D社単行本マンガ部分原作 同人誌原稿 書評委員会忘年会

1960年代の大阪へ行く夢。別にタイムマシンに乗るとかでなく、
普通に行く。1960年代の広告雑誌(ウルトラマンの撮影風景記事
などあり)を読んでいて、記事中にあった、当時業界で有名だった
関身(せきみ)と言う変な名前のゴロに興味を持ち、ゴロならゴロ同士
詳しいだろうと、昔オノプロにつきまとっていたMと言うゴロの爺さんと、
1960年代の大阪に行く。Mは腹が減ったとブウブウ言い通し。
通りでタクシーを拾おうとするが、さすが商都で、次々拾われてしまい、
なかなかつかまらずイライラする。

朝9時半起床、好天。
朝食、カキ三片、リンゴ二片、ブロッコリスープ。
母は胡椒をいれすぎたというが、かえって刺激がある味で旨し。

B社コラム原稿、書き上げて送る。
スポンサーチェックがあるそうで、〆切が早まったもの。
同人誌原稿、まだ完成せず。
大丈夫か。
がりがりと書く。

若い頃、“テレビでこういう役をやってみたい”と
別に何の理由もなく思っていたのが、『セサミ・ストリート』の
“マッド・ペインター”。山高帽に馬面、何の脈絡もなく登場して、
あらゆる場所に数字をペンキで書いていく。それにカッカとくる
ハゲのおじさん(ジェローム・ラルフ)とのやりとりが、物静かに
進行するだけに妙におかしかった。
http://jp.youtube.com/watch?v=Xi-ODZ3ING0

ペインター役のポール・ベネディクト、70年代から80年代にかけて
『グッバイ・ガール』『フロント・ページ』など、端役であっても
やたらにいろんな映画で見かけておなじみの顔だった(あのご面相
だからイヤでも目につく)。12月1日死去の報あり、残念。
70歳とは意外に若かった。

昼は天ぷら弁当。モロッコインゲンが旨い。
同人誌原稿、一応まとまった量を編集のオノに投げ、
さらにD社マンガ原作を書いてK子とMさんに送る。
いかにも年末らしいあわただしさである。

訃報ばかり日記につけるのも何なのだが、グラフィック・デザイナー
の海老名淳氏が今朝、自殺したことをマイミクさんの日記で知る。
装丁家として名を知っていて、ついでにその関係で氏が
『針生』というバンドをやっていたことも知っていた。
私が知ったのは針生という友人が夜な夜なかけてくる長電話を
録音して、それに演奏をつけて曲にするというキテレツなアイデア
の曲で、それは私もその当時毎夜の某友人の長電話にヘキエキして
いたことがあったので、なるほど、こういう有効利用手段が
あったか、と感じ入って記憶に残ったのだった。
その海老名氏がマイミクさんの高校時代の友人であったことは
初めてその日記で知り、なんと狭い世界か、と呆れる。

海老名氏は新進グラフィック・アーティストとしてニューヨーク
ADC国際展や世界ポスタートリエンナーレ・トヤマなど、
世界中の広告美術賞を受賞しまくり、一時は年収7000万円
を稼ぎ出していたそうだが、神経を病んで仕事が激減し、最近は実家の
近くのコンビニでバイトをしていたという。
その落差はむしろシュールで、何となく『針生』の活動と
ダブってしまう。トガった感性の持ち主ほど、自分のそのトゲで
世間との摩擦を引き起こす。私などが馬齢を重ね生き残っているのは、
摩擦となるほどのトンガリも持ち合わせておらぬからかも知れぬ。
そう思うと有り難い。ご冥福をお祈りする。

5時15分、家を出て、R社に図版荷物を送ってから、丸ノ内線で銀座へ。
すずらん通り『天厨菜館』にて、朝日新聞書評委員会忘年会。
最初に本の選考をして、それから歓談。
A先生、M氏などと、昔のFAXや海外からの原稿輸送談義。

それから席を移し、H先生と演劇談義。
H先生は趣味で人形劇の劇団を主宰していらっしゃる。
コメディア・デラルテの話などで盛り上がる。
ぜひ、下北沢で一緒にやりましょうと話す。
西手新九郎だが、そこでハッシーから電話。
某件、来年に回しましょうという話。

天厨菜館、料理はまず、さすが。
フカヒレのスープ、北京ダックなど。
北京ダックは頭つきで出てきたのでちょっと感動。
上海ガニが食べたかったが今日はエビ。

二次会で店を移し、K先生やMさんと食談義、
来年の犬食い会の話で盛り上がる。
担当Nさん、犬と聞いてイヤな顔。
じゃあ、おれんちで蕎麦行きましょうと。
私も融通無碍ですなあ。
A先生のちょっとショッキングな挨拶などのことで
みんなワイワイ。

11時15分、ハイヤーで送らる。
年末の不況で、ビル街の窓の灯も心なしか少ない感じ。
帰宅、メールのみチェックして就寝。

*北京ダック(頭つき)

Copyright 2006 Shunichi Karasawa