裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

5日

金曜日

ウルトラ超伝説アンゲロプロス

『旅超人の記録』

※年末進行原稿 ヘアカット 原田明希子ちゃんライブ

今日の夢は演技派のハリウッド女優の伝記。
老人ホームで働いていたが、そこのパーティーでセクシーな
服装をしたら、老人3人が悶絶死。首になって、付け髭とかつらを
つけて男装して働いているところを、映画のエキストラに
雇われ、そこで女性とバレたが、プロデューサーの目にとまり
デビュー。若いうちはハダカの役しか回ってこなかったが、
次第に男役で鍛えた演技が認められて……というもの。

朝9時半起床。
起きてもまだベッドの中にぐずぐずしていたい。
別に今朝は特に寒いわけではないのだが。
と、いうよりむしろ生暖かくてこの季節には不気味。

制作会社アマゾンから熱中夜話に関してのメール。
年明け早々の収録である。
週明けに打ち合わせ。

10時近く朝食、例の如くバナナジュース、トマトスープ、
柿三片。日記つけ、原稿。そろそろ火が付きはじめたものあり。
昼は弁当、お菜はローストビーフ。もっとも飯の菜には
上品すぎなのでノリの佃煮も添える。

2時、代官山にヘアカット。明日の収録に備えてだが、
新中野から行くと地下鉄で新宿、山手線で渋谷、東横線で代官山、
と乗り継ぎが三回もあり、気候もあってエドエドに着いたときには
全身汗ばんでしまった。

S先生にカットしてもらう。
前回来たときからかなり伸びてうっとうしくなっていたので、
思い切ってサッパリと短くしてもらう。
ゆず風味のリップクリームを勧められるので一本買う。
1800円也。

カット終り、ここに来たときの楽しみのひとつである代官山の
ピーコックで買い物。目的のひとつは見事ゲット、もうひとつは
残念ながら無し。
店を出たらいきなりの雨で驚く。携帯傘があるので濡れずには
すむが、しかし東横線乗り込むまでにはゲリラ豪雨的な勢いになった。
あの蒸し暑さはコレの前兆でありしよな。

渋谷からバスに乗り込み、帰宅。
1時間ほどダウン(気圧にて)。
起き出して原稿続き。
ふと思いついて、今日手に入れ損ねた食材、通販で検索。
これまでカタカナで検索してみて見つからずあきらめていたのだが
ふと、ヒラガナで検索してみたらズバリ、欲しかったものがあった。
部下がカタカナをヒラガナにゆがめたので予言が外れた、と強弁した
小島露観をふと、思い出したことであった。

年末訃報、イヤな予感的中で続く。
声優・俳優の寺島幹夫さん、死去との報。
http://www.sanspo.com/geino/news/081205/gnj0812051605026-n1.htm
若松孝二の映画では“丸木戸定男”というケッタイな名前の役を
演じていた。ピンク映画から180度転向して子供向けのアニメ
声優になったが、ベルク・カッツェのサディスティックな笑い声
などは、なるほど、この経験あってのことかと感じ入ったもの
である。……他の人が亡くなっても、カッツェさまだけは一人で
逃げおおせると思っていたのに。
黙祷。

8時半まで仕事、仕事関係連絡。
雨はだいたい上がった。
お腹をもたせるためにピーコックで買った黒豆納豆(黒豆千石という
商品名になっていた)で飯をかき込む。
8時半、家を出て阿佐谷。
中杉通りのライブハウス『NEXT SUNDAY』にて、原田明希子ちゃん
のライブ。少し押していたようで、前の梶原圭恵というバイオリニスト
の演奏から聞いたが、これもなかなかよかった。

明希子ちゃんの歌は初めて聞くが、歌唱力は麻衣夢みたいな
本職の歌手に比べれば素人っぽいところもある。
だが、さすが役者だけに、歌の内容がこっちに迫ってくるような
ところあり。要は表現力で聞かせるライブなのだろう。
ゴスペラーズの『うつぼかずら』(これは私も大好きな歌である)
にはちょっと痺れました。

明希子ちゃんの来年の舞台予定を聞いて、そのぎっしりであることに
驚愕。これはこっちの仕事には滅多に誘えないかも。
彼女と、そのお母さんに挨拶して帰宅。
夜食、母が御徒町のアメ横で買ってきたというカレイの塩焼き
で酒。

ビデオ『殺しの名画』(1946年)見る。
パット・オブライエン主演のフィルム・ノワール。
原作はなんとあのフレドリック・“火星人ゴーホーム”・ブラウン。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005ITD2/karasawashyun-22
オブライエンはノワールには珍しく、探偵でもなければギャングでも
ない、美術館のキュレーターという役。冒頭でミレーの『落ち穂拾い』を
絶賛し、ダリをクサして現代美術愛好家に詰め寄られるシーンあり。

何故か美術館側から敬遠されている雰囲気を感じる中、
母親が重病という報せを受け取り、汽車に乗って母の家に向かう途中、
列車事故にまきこまれる。だが、気がつくと彼は泥酔の状態で
美術館に運び込まれている。そして、誰もがそんな列車事故など
無かった、と言い、事実、新聞などでもまったく報道されない。
オブライエンは、この謎の事件の裏に、偽絵画を売買する巨大組織
の存在があることを突き止めるが……という話。
まさにフィルム・ノワールという名称が似合う、暗い画面が印象的。
全てが夜の闇の中で進行する、といった感じ。
ブラウンらしいトリックがラストにあるが故にちょっとクライマックス
のアクションが地味になってしまった感があるが、それはそれで。

ヒロインは『駅馬車』のクレア・トレバーだが、本作ではその
顔立ちや髪形のクラシカルな部分が目立って、あまり美女とは思えず。
美術館秘書をやったマリー・ウェアという女優が、小さい役だが
最後に重要な役割を果たし、しかも顔も服装も極めて現代的
(1970年代以降だったら絶対に騒がれるクール・ビューティ)
であって印象に残る。
クレバーが白ずくめの衣装、彼女は黒ずくめ。
46年という時代では白ずくめの方が絶対ヒロインだった。

残念ながらこの女優さん、IMDbにも何のデータもなく、
出演作はたった6本のみ。モデルとかが本業で、映画は余技だった
のかもしれない。不思議なのはこの作品の役名も本名(芸名?)と
同じマリー・ウェア、6本しかない出演作の半数にあたる3本での
役名が“マリー”。ちょっと気になった。

寝る前にFIREFOXの最新版をインストール。
新デザインの画面はちょっと扱いにくい感じ。

写真は明希子ちゃんのステージと、『殺しの名画』ポスター。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa