裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

5日

月曜日

吾輩はね、コーディアル

どこで決算が粉飾されたか、とんと見当がつかぬ。

※『ピンポン!』出演 カタログハウス打ち合せ フィギュア王原稿 アストロ稽古

朝7時半起床。迎えが9時半なので急いで食事を、と母に頼んであったので、8時半、朝食(実際に出来たと知らせがあったのは8時15分)。イチゴ、リンゴ、ミルクティー。

アンリ・トロワイヤ2日に死去。95歳。モスクワ生まれのロシア人で、ロシア革命でフランスに亡命した経歴の持ち主。当時の白系(共産主義〜赤〜でない)ロシア人はフランス文化にあこがれ、フランス人のような生活をずっとしていたという。確かにトロワイヤの小説は完全なフランス人の小説だった。『女帝エカテリーナ』の面白さはドイツ生まれでロシアの女帝となった“熱く、野蛮”な女王の人生を見つめる、フランス人の冷静で皮肉な視点にあったし、
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その視点が死体とか幽霊という存在に向けられた『ふらんす怪談』(河出書房文庫。澁澤龍彦訳)の小粋な味も、フランス人ならでは、というものだった。
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フランスにかぶれるあまり、フランス人以上にフランス的思考や視点を身につけていた人だったと思う。

服をととのえ9時半、玄関でオノと合流し、迎えのハイヤーに乗ってTBSへ。車中、スケジュールのことなど。TBS、勝手知ったる……とどんどん入り、指示された控室兼打ち合せ室に入るが、ロビーでADさんがやはり待っていたようである。当たり前か。

ディレクターが、以前『ウッちゃき! ナンちゃき!』で私を何度か起用してくれた人だった。あのころはまだ、トリビアにも関わってなかったし、よく私などを使ってくれたものである。当時は当時で、大部屋みたいなところに入れ込みになったのに腹を立てていたものだったが。

『ピンポン!』、いつもは当然ながら福澤朗アナが司会だが春休み中ということで安東弘樹アナが綜合司会。同じコメンテーターは山田花子さん。打ち合せが行われるが、どんどんニュースに噛んでいってください、というので、思いつくまま関連雑学を述べたらディレクター、“へぇ”と感心してくれるので、悪ノリしてしまう。

オノにauからグーグルにつないで検索してもらって、デンマーク王女が王室カメラマンと再婚、のニュースにからめて、イギリスで同じくカメラマンと結婚した王女は誰だったっけ、と調べる。
「スノードン卿で調べたらわかるよ」
とググらせたら、マーガレット王女とすぐ判明。au便利だなあ、と今更のように感心。

で、本番。スタジオに並んだ奥さんたちの前で人さし指を立てて“ピンポン!”とやる。黒づくめに鉄人のネクタイという異様な服装の男がこういうことやって、お茶の間は引かないか?

鉄人のネクタイはもう十五年前くらいにK子に買ってもらったヨウジヤマモトのもの。目立つと見えて、番組内でも言われた。二畳新聞コーナー、打ち合せのままにいろいろ突っ込みを入れて、一応受けたので調子にのってさらにしゃべったが、やりすぎかな、とちょっと反省。パリにオープンしたメイド喫茶、という話題に、
「フランス人は案外おたくで、『グレンダイザー』が『ゴルドラック』というタイトルで放映されたとき、最終回はウソかマコトか、視聴率100%とったと言われている」
という雑学を披露したら安東アナ、
「『グレンダイザー』ってのはマジンガーZ、グレートマジンガーに次ぐマジンガーシリーズ三作目ですね!」
とやけに詳しいツッコミをしてきたのに驚く。

本日の私のヒットは川内康範先生の森進一に対する怒りに
「しかし、川内先生と言えば『月光仮面』で、あの番組のテーマが“憎むな、殺すな、許しましょう”ですからねえ。許してあげたらいいと思うんですけどねえ」
というコメント。ただし、通じたかどうかわからず。

木村郁美アナの奇麗なことに感心。山田花子の、楽屋では何にもしゃべれないタチなのに本番ではカメラが最も多く“山田さん顔から”ととっていたほどいい表情をする、そのプロ根性に感心。いろいろ、どの道でもプロは違う。

番組終わり、タクシー出してもらって渋谷の事務所へ。メールチェックいくつか。日活から『鉄人28号 白昼の残月』公開初日のトークの依頼。もちろん、鉄人ネクタイまでして普及につとめている身としては大喜びで引き受け。

白夜書房のパチンコ雑誌から原稿依頼。
「ぜひとも先生の玉稿をたまわりたく」
とあった。なるほど、パチンコ雑誌なら玉稿に違いない。もっとも、私の原稿はパチンコのことに関してではないが。

フィギュア王原稿、だだだと書く。時事ネタから雑学系へと視点を移行させて、そこから一般とはちょっと違う切り口の視点を引き出すという、私の原稿の王道のパターンなので、書いていて安心。

夕方、カタログハウスFさん打ち合せ。細かい文言の訂正がいくつか入る。商品というものの扱いはやはり慎重の上にも慎重なのだなと、半ば感心、半ばは呆れ。マイナスになってもいかんが、プラスになりすぎてもNGとは。商品展開の規模を聞いてオノが驚いていた。

そのあと、急いで荻窪へ。『アストロ』、稽古場での最終稽古。昨日の通しの中でひっかかっていた部分の抜き出し。ラストシーン、大事なセリフをまかされているのだが、立ち位置がまだうまくとれない。
ナレーションをいくつか録音。休演の日、私の代演をやってくれるKくんにかける悪の側のセリフを私がいれる。悪人笑いを久しぶりに出来て、気持ちよかった。私は悪役が本当に好きなんだなあ。

終って、ハッシーが“稽古打ち上げ行きますか!”と誘いをかけてきて、一旦はノりかけるが、幻冬舎Nさんの原稿のこともあり、辞去。新中野でキムチつけ麺と生二杯入れてから、原稿執筆。12時チョイ過ぎに完成、メール。テンション下げるため、ホッピー。メール見ていたら折り返しNくんからナオシ指示。結論部分をもう少し膨らまして欲しいとのこと。やはり100万人向けの原稿は難しい。了解は了解だが明日午前中、と返答して寝る。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa