裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

3日

土曜日

カニバル浜口

食人だー!

※幻冬舎原稿 あぁルナ稽古

朝8時半起床。惰眠なんだろうか。体の疲れか睡眠時間だけがやたら長い。入浴、九時朝食。『ぶらり途中下車の旅』、太川陽介が旅人だった。ほぼ同い年(向うがひとつ下)だけに、今、どれだけ仕事しているのかとか、非常に気になる人である、ルイルイ。

アマゾンのぞいてみる。『三丁目の猟奇』、やたら順位が高い(一時は300番台)。猟奇ものはやはり強いか? まあ、何にしても結構なこと。トップページにてアフィリエイトしているので、まだ買ってない方、よろしく。

ネットニュースで女性関係の話題、いろいろ。飯島愛、3月で引退、宇多田ヒカル離婚、にも驚いたけど哲学者・池田晶子死去にはちょっとショック。週刊新潮の彼女の連載、以前は『死に方上手』というタイトルだったはず。

それにしても美人だった。三島由紀夫は“知的美人なんてものはない”と言っていたが、彼女を見るまで生きていたら意見が変わったのではないか。私が(と、いうより世間が)初めて彼女を見たのは1991年9月『朝まで生テレビ』の『宗教と若者』で、オウムの麻原尊師や幸福の科学の景山民夫と一緒に出演したとき(当時30歳)だったが、景山民夫が、宗教を信じて何がよかったのか、という田原総一朗の質問に、
「神を信じるようになってから、公園を散歩していて、犬のウンコを拾って始末するという行為をごく自然に行えるようになったんです」
と答えたとき、
「えっ、宗教って犬のウンコ拾うことなんですか?」
と彼女が反応し、それが自分で気に入ってしまったらしく、番組の間中、口を開けば“犬のウンコ、犬のウンコ”と繰り返していて、美人の口から“犬のウンコ”という言葉が連発されるのに、テレビの前でひっくりかえって笑ってしまった。ビートたけしがギャグで、
「『朝生』で池田晶子見ながらオナニーしていたら、いまイく、というところで下村満子のアップになってしまって……」
と言っていたが、このときのことだったのではないか。

そんな圧倒的な第一印象だった彼女だが、その後読み聞きする彼女の“哲学”には、抜群に鋭いし面白いのだが、どうもひっかかるものを感じていた。いや、哲学用語を羅列してしか哲学を語れないバカたちに比べればはるかにましでわかりやすく、頭のいい語り口ではあったのだが、それだけに、哲学というものの本質が、結局は“自分とは何か”という問題が一番大事で、余のことほとんどが“自分の内省に関係ない、どうでもいいこと”である(から考えない、世間の出来事とかを考えて悩んだりしている人間というのは馬鹿なのではないか)と極言すれば言っている、ナルシストでエゴイストな学問である、と、極めて明瞭にしてしまったような気がする。そして、それが哲学というか、人間の本質なのだ、というそのことをこれほど直截な言葉で繰り返し語っている女性も他にいなかった。誤解を恐れないというか、他者からの誤解も含めて、そのようなことにかかずりあっている暇はない、とクールに言い切られてしまっているような、そんな気がした。彼女のファンという人たちにも、池田風に誤解を恐れず言ってしまえば、似たようなナルシズムとエゴイズムを感じるのである。

とりあえず、自分で下のようにズバリと言っている人なので、冥福を祈るというような言葉はかけないでおく。
「死ぬということは、人が本質的にものを考え始める絶好のチャンスなのである」
……これは末期ガンにかかった若者が、自分のその様子をテレビで公開し、多くの声援が寄せられた、というニュースを見て、“せっかく“死”と向かい合うチャンスだったのに、今の若者は世間に甘えて、意味のないはげましの言葉などをかけてもらうしか望まない”と言いきったときの言葉。勇気、というより蛮勇のあった女性だった。

幻冬舎原稿にずっとかかりきり。昼は母の室でカレー蕎麦。母のこだわりで、ルーなどを使わず、蕎麦の出汁にうどん粉とカレー粉の溶いたのを加える、純昭和風カレー蕎麦。泣ける。

4時、自宅近くの某所にて某人と会談。ちょっと話していたつもりが一時間。家に帰って荷物まとめ、荻窪まで。地域区民センターにおいて、あぁルナティックシアター『アストロ劇団』稽古。ひさしぶりの稽古参加だったが、入っているはずのセリフがトンでしまって迷惑をかけた。つまみ枝豆さんが不参加になったのは残念だったが、代演で坂本ちゃんが全日参加。丁重に挨拶されて恐縮。

終って荻窪駅まで来たとき、シヴさん、ナベちゃん、コンジキくん、松ちゃんなどから、“どうです?”と誘われる。こういう誘惑には弱いのでもちろん、つきあう。しかし、今日のメンバーは全員、非・あぁルナ。こういう客演陣から誘われると妙に嬉しい。さすが金曜日で和民とか満員。つぼ八に入る。ジンギスカンの唐揚げ、ポテト餅など、つぼ八と言えどメンバーさえ楽しい連中ならそれなりに満足。シヴさんはまたここでも豆乳マンゴサワーなどというきびの悪いものを頼んでいた。

話題いろいろ、舞台装置の話、稽古場取りの話など。11時過ぎ、ひと足先に帰宅して、もういっぺん台本のおさらい(読んだのみ)し、寝る。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa