裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

13日

月曜日

オスカー・ワイルド『ニャロメ』

ケムンパスの首を皿に乗せて持ってくるニャロメ。

※『ワナゴナ』収録

朝6時半起床、入浴、洗顔。朝食は自室で(今日は母は日光に朝早くから旅行)。チーズ入りパンとコーヒー、ブドウ、ポテトスープ。食べながらネット少し。私がらみでちょっとコメント欄が荒れているブログがあった。見ると、例の人物で苦笑。もう十年も前の発言の、まるで再録かと思ったほどの相似形。

8時に家を出る。佳声先生からお借りした雨ウチワ持って、新宿までタクシー、山手線で五反田。駅から歩いて15分のホテルルートイン五反田。9時集合に5分、遅刻。オノに迎えられる。

ロビーで半田健人くんとマネージャーNさん、ディレクターUさん、司会役の鉄平くん(コメディアン)などと打ち合わせ。半田くんのノリがかなりいい。やがてメイン司会の中川翔子ちゃんも来る。マイクロに乗って、最初の撮影場所の戸越に向かう。私はマイクロバスが好きで、これに乗って現場に向かうと思うだけでワクワクしてしまう。

やがて現地着、銀バス(二階建てバス)に乗って、オープニングを収録。この番組、私出演の回で第8回目になるが、オープニング画像がやっと完成したという。銀バスは某ショップの持ち物を借りているそうだが、さすがに目立って、通行人がみんなジロジロと見ている。高速には入れないし、あまり路肩を走ると並木の江だがバシバシと当たって、収録にならないそうだ。

それから、私も乗り込んで今回のオープニングを撮る。実際に戸越近辺を走らせて撮るのに驚いた。ラジオドラマの雑学をちょいとばかし。その後、翔子ちゃんを写メする。昨日までの大阪で写メにはまってしまった。今日はこれをはじめとしてやたらパシャパシャ移しまくって、翔子ちゃんに笑われた。彼女と、ブログ日記のことを雑談。彼女は日に何度も掻き込まないではいられない依存症、私は一日分の日記がやたら長くなる依存症。依存症同士で話が盛り上がる。

それから、ほど近いスタジオに入る。メイク終えた半田くん、橋沢さん、レイパーさん、渡辺さん揃っている。しょこたんはレイパーさんとは顔見知りだったようで(「“レイパー”って名前、NHKじゃ放禁ですよね!」と言っていた)、しかし彼がマイクパフォーマーとは知らず、
「手品師だと思っていた」
そうである。渡辺さんは例によりマイペース、橋沢さんとのボケ&ツッコミにみんな大笑い。

ざっと打ち合わせ、すぐ2階のスタジオに入って撮影。上の階では『ミナミの帝王』の録音をやっている模様。まず、橋沢、渡辺、レイパー、半田が揃っているところに私がしょこたん、鉄平を連れていって、私のスタッフと言って紹介する。

それから打ち合わせのシーンになり、ラジオドラマの定番であるホラーミステリーを作ろうと提案。橋沢さんに、私が以前送った基本ストーリィ(もちろん、これはナイショ)にいろいろ周囲の人がわがままな要求をつけ加えていく。

それから半田くんが音楽をつける。これが“こういう風に”という注文にどんどんと応じていく。翔子ちゃんの目が尊敬のまなざしになっていった。しかも昭和歌謡の濃〜いうんちくつき。翔子ちゃんも今の歌謡曲がダメなのだそうだ。美男美女が熱く山口百恵と『漂流教室』について語り合う姿を見て、ちょっと得をした気分。それにしても中川翔子の好奇心と向上心、そして人からものを学ぼうという素直な姿勢には毎回感服。売れる子はやはり違うわ。半田くんもその意気込みをかったか、凄い提案をしょこたんにしていた。

そこらで弁当タイムで休息。半田、翔子ちゃん、私に渡辺さんも加わって、四人で昭和ばなしいろいろ。半田くん曰く“昭和40年代を語る場”を作りましょう、と。一方で鉄平くんはレイパーさんと、口マネ擬音の練習。今回の収録はとにかくリラックスして出来る。半田くん含めて、メンバーの大半が私の選定で、まったく友だちたちとワイワイやっているノリで作っていられるからだろう。みんなで記念写真撮影。しょこたんが
「ブログに載せてもいいですか」
と。オノ曰く
「橋沢さんがしょこたんブログに登場する時代になったとは」

で、台本やっと出来上がり、橋沢さんの演出で収録開始。私は冒頭とラストのナレーションを担当。しょこたんがヒロイン、半田くんが謎の洋館の主人で実は……という役・兼音楽演奏、渡辺さんはCM要員、レイパーさんと鉄平くんが効果音。鉄平くんは昔同居していた外国人にムチの音を口でマネる芸を(芸か?)教わったというのでそれをすぐ採用。

橋沢さんが例のアブトロニクスの声をやったらしょこたんも半田くんも知っていて
「えーっ、あれやっていた人なんですか!」
と驚いていた。かなりの知名度である。渡辺さんが
「おかしいな、放送回数じゃ“コンパクト・ミート・ラグジュアリー”の方が多いはずなんだが」
とくやしがっていた。

リハやってみるが、少ない人数で入れ替わり立ち替わり、かなりのドタバタになって絵面としても面白いと思う。最初はまだぎこちなかったが、次の録りでは全員、凄い上達ぶり、得に翔子ちゃんは最初の噛み噛み、出忘れという状態から、一回でコツをつかんではっきりと“巧く”なっている。ラジオでは一番の経験者の渡辺さんも感心していた。で、本来は二回目を本番にしようということで、おまけに翔子ちゃんが今日は夕方からの隠し芸大会の稽古でケツカッチンなのだが、やはり欲が出てきて、ホントのギリギリでもう一回収録しましょう、とUディレクターに言われるまでもなく全員、そのノリで、もっとよくしよう、もっと楽しもうと前向きの姿勢でいる。

調整室の中で橋沢さんが時間や台詞の指示を出すのだが、収録時間と残り時間(8分)がほぼ重なるという緊張感で、さらにアドレナリンが放出され、まるで学芸会のノリでどったんばったん、スリラーの中にレイパー佐藤の十八番、ロボコップやバルタンがちゃんと入っている。雨ウチワもちゃんと活躍。しょこたんの悲鳴が響き、最後に渡辺さんの
「……この番組は『ワナゴナ』の提供でお送りしました」
という台詞が終ったところで、ジャスト8分!
誰か曰く
「007映画なみのスリリングさだった」
と。まさに。もっとも、最後の一瞬のジングルが切れたが、これは台詞の読み忘れの空白が一箇所あったので、そこをつまめば充分入る。

ケツカッチンのはずのしょこたんも含めて、調整室で視聴。いちいちのキメのところでオオウケ、大拍手わく。しょこたんの悲鳴がCMで切れて、またいでまた悲鳴、というシーンが大傑作。全員が満足げで、“楽しかった、またやりたい!”と言ってくれる。企画した私も実に楽しんだ。こういう仕事ばかりだといいなあ。

それから渋谷までマイクロで送ってもらい、居酒屋『奥座敷』でモヤシくん、YAGIさん加えて、橋沢さんと私の同人誌用対談。レイパーさん、渡辺さんも参加。ここらでこないだからの疲労がちょっと出てきた。対談が最後は雑談になって、ケーシー高峰の話など。渡辺さんは何と途中で“じゃ、打ち合わせがあるので”と出ていったが、終わってまた戻ってきた。オノから事務所に仕事のFAXが来ているから、と言われたがもう酔ってイヤになり、放り出して橋沢、YAGIと二軒目。寿司屋に入り12時までなんだかんだ。仕事楽しかった反動か、肉体の疲れのせいか、ちょっと鬱が入ってきてしまった。仙台〜大阪ときて翌日がこれじゃバテて不思議はない。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa