裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

24日

火曜日

ヤーレンソーランソーランソーラン、はるかな宇宙から

ソーランソーランソーラン、虹をこえてやってきた、ハイハイ。
(元ネタが古くてすまん)

朝6時半起床。さっさと入浴、日記つけ等済ます。今日は事務所に10時に昔なじみのFさんが来て会わなくてはいけない。9時に朝食、ブロッコリスープとブドー赤と黒二種、西洋梨二切れ。昨日の学研Nくんへのメールに、速攻でかなり前向きな返事が来ていた。大いに気をよくする。食べて家を出て、渋谷へ。ちゃんと出来るものだな。と思う。毎日このように出来ぬものか?

事務所10時かっきり。15分ころ、Fさん来る。いろいろと話。彼の言うオカルティック的内容には首肯できない部分多々だが、最初にこの企画を持ち込まれた当初に比べ、私の心情にかなり変化があり、気がつくとうなづいている自分がいたり。
「人間のつきあいにもその人その人の人生サイクルの合致が必要」
などにはことに大きく首肯する。

R社の企画のための作品リストのメモを作る。リストにあげた作品で現在手元にないもの、多々。アマゾン等で探しては注文。しかし、今月の支払いが膨大になりそう。K子にあらかじめ了承を得ておかねば。

弁当、事務所で使う。お菜は焼肉。食べながら新聞読む。産経新聞の社説に、昨日この日記でもとりあげた奈良の産婦死亡事件について、
「患者を救うのが、病院や医師の義務である。患者中心の医療の基本を忘れているから患者をたらい回しにし、患者不在となる。もう一度、医療とは何かをしっかり、考えてほしい」
と医者側を非難する内容の記事を載せており、ありゃと思う。案の定、ネットサイトで後でこの社説を糾弾するところがいくつも出来ていた。

仕事場の窓から雨の外を眺める。区役所裏に住み着いていて、近くのOLのアイドルになっている猫が、今日は一人(一匹、か)寂しそうにしている。唐突に思い出すが、フレッド・ジンネマンの『ジャッカルの日』で一番忘れられないシーンが、ジャッカルがパスポート偽造屋を殺したあと、外へ出て夕暮れの裏町を歩いていくとき、路上にいた猫が、ジャッカルが前を通り過ぎるところでいきなり毛を逆立ててフーッ、と彼にむかってうなるところ。音は無論聞こえないし、ずーっとロングで撮られているなにげないシーンなのだが、この偽造屋殺害が、映画の中でジャッカルが見せる最初の殺人。いま、人を殺してきた男の殺気を動物がそのカンで感じ取った、という、大変に象徴的なシーンだった。あの猫が、それまでノンキに路上にうずくまっていたのに突如背中を丸めて尾をピンと立て、ジャッカル役のエドワード・フォックスに向かってうなりだすのは、あれは仕込んだものだろうか。あまりに自然で、アカデミー賞ものの演技であった。

原稿書かねばならないのだが、R社のリスト作りに熱中してしまい、進まない。『通販生活』の取材が7日に大阪ということになる。6日が仙台(『蛇蝎姫と慚愧丸』公演)なので、当日仙台から大阪に飛ぶことになる。皆神さんが日記で書いている西成の店にも行ってみたいが二泊できるか?

4時、NHKのYくん。マンション下の喫茶&レストラン『ベラミ』で話いろいろ。某件、某々件、某々々件まで。途中橋沢さんから電話。橋沢さんもYくんも某件がらみで縁のある同士。そういう人間から電話がこういうときにかかる。不思議なものだ。それにしても某件、動けばこれで私の進めてきて形にしてきたものが一つのサイクルで完結することになる……と、ちょっと私も船山さんに感化されてきたか? 某々件に関しては参考意見程度のことを。某々々件に関してはまだ先の話だが実現すれば来年末くらいの目玉の仕事になりそう。

5時半帰宅、バーバラにNくんの話。Nくんへの私からのプレゼンはNくんが私に本当に依頼したかったものとは違うので、そっちの(本筋の)方での企画のこと。“何持っていったらいいかな”と言うと、すかさず、
「○○がありますよ!」
と、打てば響く答え。文サバのお手本みたいである。オノからの報告、明日の東大講義のあと、TBS打ち合わせ入りましたと。久々に飲みながらか。

雨、やや小やみに。帰宅、原稿、夕食。さだやんさんの日記に“こんな寒い日は白菜鍋”という記述があり、それがあまりにウマそうだったので、ちょうど仙台のあのつくんからいただいた白菜がまだ冷蔵庫に残っていたので、さっそく試みる。白菜と豚バラ肉、それに昨日の残りのタモギタケ。タモギタケのダシは本当に濃厚でうまい。資料用ビデオでシュワンクマイエルなど久しぶりに見る。『男のゲーム』、部屋のセットが独身男の一人暮らしの感じを見事に出していて笑う。

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