裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

5日

木曜日

通の鬱

ああ、そばにたっぷりツユをつけて食いたいなア。鬱だ(ちなみに回文)。

朝雨音を聞きながらベッドの中でウトウト。酒を飲まずに寝た(缶ビール小一本は飲んだが)のだからも少し目覚めがいいとかなんとか、何か御利益があってしかるべきだと思うのだが。もっとも体調不良はこのすさまじい低気圧のせいだろう。

入浴、ひげそり。よく考えると毎日面倒なこと。談志が初めてひげ面で高座に上がったとき、
「ひげを剃るッてのも実にめんどくさい。女のメンスと男のひげとどッちがめんどくさいか」
と言っていたが。

9時15分朝食、コーンスープとオレンジ、ブドー。オレンジの実がしまっていて固い。日記つけ、11時半に家を出て、雑用ちょっと、それからタクシーで赤坂TBS。途中でオノから何回か電話、最初はTBS上のレストランで食事しながら打ち合わせ、ということだったが雨の日の昼でレストランがごった返しているので、スタジオでやりましょうということになったと。

第4スタジオでI井、イニャワラ、オノのメンバーで新番組『唐沢俊一のポケット』内容打ち合わせ。ゲストをどうからませるか、ということで。深夜路線を残すところと変えるところ。リスナーの投稿の扱い、ブログのスパムの扱い、企画コーナーをどうわざとくさくなくやるか。ゲスト紹介もいかにそれっぽくなくやるか。放送の前々日に毎回打ち合わせの飲みを入れるか、とか。

1時半、花まる終えた海保さんスタジオ入り。岡山放送向けの番組のオープニングとエンディングのみ収録。岡山での放送のみ日曜の午後9時放送で、局の都合で第一回はいいが第二回が放送できないので、特別編集版を流さないといけないという。そのI井くんの説明を、私も海保さんもなんべん聞いても理解できず。I井くんもよくわかっていないような感じ。まあ、とにかく収録しましょう、という感じで始めるが、なぜか私も海保さんもノリノリで、テンポがいいというよりはちょっとハイ気味のテンション。ギャグもたっぷりと入る。海保さんは番組終えたばかりで“温まった状態”だからであり、私は気圧によ低テンションの反動か。

それやこれやで、じゃア明日から、ということになり、ハケ。傘を持って来忘れた(ちょうど家を出るときにやんでいた)ので、近間で昼飯を、というのでネパール料理屋『マンダラ』のランチ。ダール豆カレーとマトンカレー。お冷やがただの水道水で、氷も入ってないのは理由あってか(カレーの味が氷水で減退してしまうから、とか)か、それとも単なる怠慢か、気になる。

タクシーで渋谷。一旦事務所へ。バーバラ来ている。彼女連れ立って時間割。KさんHさんたちエージェンシーの人と、恵比寿GPの公演のことで打ち合わせ。最初の話ではGP自体のプロデュースという話だったのが、エージェンシーサイドでのプロデュースという形になる。なるほど、報告に時間がかかったのはソレか、と思う。どういう形にしても、公演が出来ればこちらはそれでよし。総予算と、入場料との兼ね合い、必要経費、ギャランティ、告知方法など、さまざまなことにつき、突っ込んで打ち合わせ。出版関係やイベント関係での告知はまず、こちらのルートで大丈夫。ラジオも使えるだろう。ネット関係告知をバーバラにまかせるか。

5時半まで打ち合わせて、事務所へ。しかし外出の多い日。小梅さんなど関係者にメール。ネットを散策していたら、『探偵ファイル』にみずしな孝之さんのインタビューがあった。その中の言葉が印象的。
http://www.tanteifile.com/tamashii/index4.html
「激励であろうと叱咤であろうとリアクションが頂けると言うのは嬉しいです。 昔、勘違いしてた時期は、良い意見にしか耳を貸さなかったのですが、その暗黒時代を通過して自分がかなり大したことのない人間だと自覚してからはファンの方に手紙やメールをもらったりサイン会や公演で実際に読者にお会いできるのは 何事にも変え難い喜びでして、これだけが、いまの活動を支えていると言っても過言ではないと思います」
勘違いしっぱなしの奴も本当に多い、としみじみ。

6時、雨の中渋谷ネクサスへ。4回目の文サバ塾講義だが、実に4回のうち3回が雨。雨男は誰だ? 一週空いたこともあり、聴講者が減るんじゃないかと心配だったがちゃんと席が埋まる。受講生たちの熱気、頼もしい。イラストレーター志望で、自分のブログの企画でテレビやラジオ出演もあるという人がそのファイルを見せてくれた。なかなか面白い。こういう人たちにチャンスをつかむコツを伝授できる講義をしていかねばと思う。

本日の講義、テーマは“多様化する媒体の利用法”だが、ほぼ文筆業とテレビ、の話になる。あと、実体験を基本にして、経験値の大事さを話す。講義後の質問がひっきりなし。こういうのはうれしい。

本当は今日、懇親会の予定だったが明日も早いことであるし、原稿もあるし、オノの提案で次週延ばしにする。で、終ったあと、“メシだけ食っていこう”と、三人で有明鮨に入るが、うまそうな馬刺やアナゴについ、酒を入れてしまい、おかわりおかわりで、以前行ったときと変わらぬお値段だけ飲んで食ってしまった。ダメダメであるな。
隣の客がタバコを吸って、その吸い殻をよくもみ消さずに灰皿に捨て、その煙がもうもうとこちらの席にただよってくる。米澤さんの件があった直後で、こっちも神経質になっているのかもしれないが、主人に言って片づけてもらう。うまそうに吸っている人に文句言うのは申し訳ない気分にもなるが、しかし吸わない人間にとっては拷問なのである。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa