裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

18日

日曜日

ウェルズHG、フォー!

火星人はみんなゲイだぜ!

朝8時起床、雨音聞きつつ入浴。朝食はカットスイカとクロワッサン。“クロワッサンチョン助さん”とかつぶやきながら。

それからずっと自室のパソコンの前から動かず原稿。佳声本のものと同人誌用のもの平行で。資料をサイトからひっぱってきては、英米サイトが多いのでそれを翻訳ソフトにかけて、おかしいところを直して、という作業がほとんど。

昼食は以前西武デパートで買った、タイの汁ビーフンセット。肉団子と香菜はあるがモヤシ(もしくはニラ)がないのでダイコン葉を刻んで代用に。案外食える、というか、そこらの店のラーメンより美味いではないか。

11時ころから5時までずっと同じ椅子、同じ姿勢だったのだから、肩の凝るまいことか、ガチガチ。気圧も乱れて鬱が重度となる。

5時過ぎ、稽古場へ行く時間となり、西荻まで勇んで出かける。私は基本的に稽古と名のつくものはたいていキライなのだが、こういうときには稽古が救い、みたいな気分になる。特にこの数回の稽古で自分の役がどんどん出来上がっていくその充実感がたまらない。芝居は魔物、である。

西荻センター、到着してすぐに稽古はじまる。みんな発声練習したり柔軟体操をやったりしているが、基本的に私はやらない。柳家一琴師匠のミクシィ日記に
「毎回噺家グループは、談四楼師匠を中心に集まり、柔軟体操をするでなく、発声練習をするでなく、本番直前まで馬鹿っ話に花を咲かせ、本番が始まっても舞台裏で馬鹿っ話に花を咲かせ、休憩中に馬鹿っ話に花を咲かせ、終演後帰るまで馬鹿っ話に花を咲かせる。これが噺家の発声練習なのだ」
とあるのに感銘を受けたため……ではなく、単に日ごろの運動不足人間にとっては、柔軟体操なんかを感心にはじめたら、むしろそのせいで体が攣りかねず、発声練習で声を嗄らしかねないからである。

しょっぱなから私の場面。菊田貴公(たかこう、ではなくたかこ。女優さんである)扮する私の上司役とのところ、それから乾恭子扮する私の部下とのところ、佐々木輝之扮するコムテツと私のからみ、そして松山幸次扮する犬(!)と樋口かずえ扮する猫(!)と私のからみ。今日はほぼ稽古の8割が私関連のシーンで忙しいが、これに集中していると鬱を忘れる。

9時に解散、バスで荻窪まで。橋沢さんと偶然一緒になり、
「ちょっと飲んできますか」
と、近くの焼鳥屋へ。ワールドカップ、向いの店がテレビを入れて中継しているようで黒山の人だかり。もれてくる音を聞きながらカウンターのお客たちと(私たちは一席だけある奥のテーブル)“いま、どうなっているか”を、耳だけで予想。これが案外面白い。

どーっ、と歓声が上がるたびに、カウンターのお客が向かいの店をのぞきに行って報告してくる。
「前の試合聞いててわかったけど、“入りましたあ!”が日本のゴール、“入ってしまいましたあ!”が向こうのゴール」
などと話して知らぬ同士で盛り上がる。途中、すさまじいどよめきが起きたので
「これは入ったね」
と話していたら、川口がセーブしたことに対する歓声だった。ここが試合中一番の歓声の上がったところ、と思うと情けないが、それでもあれだけ試合前にあきらめムードのただよっていたクロアチアとドローに持ち込んだだけでいいではないか。

途中で菊田、松山、それに歌手役の麻衣夢ちゃんがのぞきこんできた。近くの店にいるというので、立ち寄る。麻衣夢ちゃんと松山くんはすぐ帰り、貴ちゃんと橋沢さんと三人でいろいろ話。私の演技の癖も橋沢さんに指摘される。なるほどねえ。12時過ぎ、タクシーで帰宅。雨にふられなかっただけでもいいとするか。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa