裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

14日

水曜日

極上タンでしょう、ファインマンさん

刺身でも塩焼きでもおいしいですよ。

朝9時起床。二日酔いではなく、寝が絶対的に不足して全身がくたびれている感じ。風呂入り、ジュース飲んで体調整え、11時ころやっと朝食。ソラマメのスープ、ミカン。ブドー。母は明日から札幌へ。

雨は降っていないがさりとて晴れてもいないはっきりしない天気。私の体調も気分もまあ、そんな感じ。困ったもんである。

ウォーホル日記トイレ読書で読みつぐ。恋人(男)とケンカしてみたり、ジョン・レノンが殺されて、自分もそうなるんじゃないかとナーバスになったり。明木先生から『猟奇の社怪史』について丁寧なる感想のメールをいただく。来月かさ来月上京されるそうなので楽しみ。

1時に自宅を出るはずだったのが雑用々々で1時半になる。時間割へ『創』対談のために直行。岡田さんちょっと遅れたのでKさんと雑談、文サバ塾のこと。雑談しながらイメージが固まっていくというのは私の企画の特徴。今回もなるほどこうすればいいのか、と、自分で話しながら納得したり。

岡田さんとは腐女子について対談。やおいの本質は女性たちの、“女性である自分を徹底して疎外する男子同士のカップル”へのあこがれなのではないかという意見を述べる。これは以前からあっちこっちで述べていた持論みたいなものだったが、以前はそれが“女性としての自分の否定”から、女性疎外の世界を描くのではないかと漠然と考えていた。今日対談していて、これもまだ漠然だが、“疎外”というファクターが実は重要なのではないか、と思えてきた。男性のように、簡単に社会とのコミットを断って引きこもりになれるのと違い、世間との親和力が強い女性(ことにやおい系女子にはやたら美人だったり有能だったりする者が最近は多く、めったに社会が疎外してくれない)は自分を疎外してくれる状況に、実は意識下であこがれているのではあるまいか。

そこから発展して、代償を“ただ尽くし、貢ぐ”権利のみとして、(ホストとか、アイドルとかという)対象に、被虐的なまでに奉仕する女性特有の愛情につき、岡田さんいろいろ具体例を出して説明してくれて、非常にフに落ちる。“虫けらのように扱われる”というのはちゃんと“扱ってくれている”のであり、自分が無価値だと思っている(そう思い込むことで安心している)女性にとっては、なまじな厚遇より、虫けら程度の扱われ方の方がずっと満足のいくものなのかもしれない。“貢ぎ”属性女性の話も出た。岡田さん曰く、そういう属性の女性の日本における存在率は3人に1人であり、ベテランホストは来る客のうち、そういう女性かどうかを一瞬で見抜き、こりゃダメ、というタイプはハナから相手にしないとのこと。

2時間たっぷり雑談。出て、仕事場へ。オノといろいろスケジュールばなし、人間の好き嫌いばなし。夏コミの同人誌ネタ、やっと二つ思いつき作成にかかる。東京人Kさんからゲラファックス。東スポMさんからもゲラファックス。

京都の山田誠二さんから電話。今度の映画の衣装のこと。山田さんも鬱状態らしいので私もですよ、と言ったら
「唐沢さんは忙しすぎが原因」
と言われる。京都での映画撮影状況につき、ちょっと質問。某アイデアに対しいろいろサジェスチョンもらう。

昼飯を食ってなかったので腹が鳴る。出て、マンション下のそば屋で冷やしたぬきを食い、マッサージへ。揉んでもらうのは気持ちいいが、弁慶の泣き所を揉まれてひどく痛んだ。後で見てみると、左右とも、傷がついている。ゆうべ酔っぱらったときにどこかでぶつけたか、転んだかしたらしい。酔って全然記憶にないのだが。

帰りに西部デパ地下で買い物し、それから仕事場で佳声本、テープおこし原稿の推敲にかかる。内容は自分で読んでいて喜んでしまうほど面白いが、量が膨大なのを如何せん。BGMは小島麻由美『セシルのブルース』。昭和レトロ調の曲が心地よい。

今日はK子も仕事場泊まり。私もそうしようかと思ったが猫の世話をしろ、とメールがあったので12時半、帰宅。ざっと風呂を浴び、西武で買った薄切り牛肉を、麺つゆにウズラの卵を落としたタレで刺身風に食う。札幌のしゃぶしゃぶ屋で覚えた食べ方で、牛肉のいいのが安く売っているのが見つかったら、こうやって食べると美味。あと、ホタルイカとラッキョウ。ギネスビール、ホッピー。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa