3日
土曜日
マジシャンほうろうき
いつの間にか尻の毛まで抜かれていました。
朝6時半起床。入浴し、K子が買っておいたサンドウィッチで朝飯。着替え、荷物などまとめ。マッドハッター衣装は最後まで迷ったが持っていくのをやめた。かなりの荷物になるし、アリスがいないのに帽子屋だけいても、何のコスプレかわからぬ。普段着のシャツの他に、黒のシャツ、ネクタイなど“唐沢俊一のコスプレ”衣装のみ用意する。
K子と8時、家を出て、地下鉄新宿三丁目で都営新宿線に乗り換えて九段下。ちと肌寒い曇り空であるが、去年の、暑くて客席が臭いと苦情が出る憂いは今年は少ないだろうとK子と話す。しかし肌寒いが湿気はあり、じとっとしている。
すでにスタッフ、三々五々会場に入って作業している。楽工社のHさん、Kさんなどがと学会書籍を搬入中。構成の植木さん、舞台監督のI矢くん、細かくいろいろ指示だしたり、会場のスタッフと打ち合せしたり。私は今年は壇上でのコーナー司会とマスコミ対応のみなので気が楽だが、それでもいろいろと対応せねばならぬことあり。壇上、楽屋、ロビーを忙わしく行き来する。大会番長のIPPANさんは今回は統括ということで楽屋にでん、といることに。と、いうか、風邪で体調思わしくないらしく、しかも今日は発表も兼ねるということで大緊張で横になったりしている。
受付作業をK子、眠田さん、眠田さんの奥さん、najaさんなどが行っている。眠田さん、奥さんを私に紹介しようとするので私も奥さんも驚く。オタアミの頃から知りあいなのだ。眠田さん曰く
「もうしばらく顔合わせていないからお互い忘れたかと思った」
と。お互い、そう印象の薄い方でもない。非・会員であるTaka@モナぽさんもビデオ撮影準備の手伝いを。同じく非・会員ながら大賞の正式記録係である熊本大OBのさざんかQさんら『天動説』のお三方も楽屋入り。エロの冒険者さんは博多からの参加。ぴんでんさんも来る予定が、親族の御不幸があって不参加になったのは残念。
しら〜さん、じんひろしさんは警備の連絡をとりあい、K川さんが上映器材を運び込んできて、高橋のび太くんが設置。ちょっとアクシデントあり、OPムービーを上映しているのを聞いたら、デモテープで入れた音が入っている(私のナレーションで読み間違っているところがそのまま入っている)。聞いたら、マドが植木さんに送った完パケのDVDに、デッキが反応しないと言う。何とかやってみるとのことだったがさてどうなるか、ちょっとドキドキ。
物販のコーナーが最もイキイキとしていて、角川書店の人や三才ブックスの斎藤くんも来て、コミケ風にものを並べたりなんだり。S井くん夫妻はと学会グッズの扇子を売り、本郷さんはエルメス本、メイド服姿(でファブリーズを持っている)のひえださんは自分のおまじないの本を。バーバラも当然白衣姿でならび、例のエカチェリーナ(青山のサイン会で物販してくれた)子にハーマイオニーのコスプレを今日はさせていた。開田さんがそれらの光景を片端からビデオにおさめている。
談之助さんはグレイのお面をかぶり、あやさんは背中に黒い後光(開田裕治の手作りというのが凄い)を背負ったフラットウッド・モンスターのコスプレ。声ちゃんはアダムスキー型UFOのコスプレという凄いもの。てっぺんの部分が帽子に、窓のある部分が胸に、円盤部分がスカートになっている凝りよう。ゲネ始まりが遅れたのは、PAをやってくれるはずのKさんが来てないためで(後で報告があったが御家族に不幸があって連絡が取れなかったとのこと。家族の不幸が同時期に重なる。大東両先生が御不幸ということにならなかったのはせめても)、片瀬くんが代理を務める。
ゲネ終わって楽屋で弁当を使う。弁当は仕出屋からとったもので親子丼と豚丼。豚丼を食べる。案外うまい。と、いうか、楽屋で弁当をきちんと食べたのはトンデモ本大賞独立以来4回の歴史のうち初めて。これまでは大会の全体構成と司会と、それと自分の招待したゲストの応対との三つのストレス要員にさいなまれ、食欲などわきようもなかった。
お客は順調に入ってきて、物販も盛況な模様。少し楽工社のブースに立ってサインなどもする。光デパートさんが買ってくれた。声ちゃんの知人で、埋蔵金ビデオを監督したAさんも来たので挨拶。オノとマドが来たので、楽屋に案内。DVDの読み取りに関しては、“何とかなるかも”との植木さんの回答。
橋沢進一さんは某美女と一緒に。あとTBSのI井くんとイニャハラさんが来てくれていた。もう一人、小西克也の『ストリーム』のDが私のファンで、誘ったので後から来るとのこと。佳声先生の息子さんのかずおさんもいて、先生からの伝言を。やや緊張する内容。善後策を立てる。それからぎじんさん、笹公人さん、ぴろりさんモタイさん、どどいつ文庫夫妻にちんちん先生。高須院長の息子さんも御夫婦で。凄い顔ぶれ。あとで院長と西原りえこも来るとのこと。ぐれいすさんは昨日、声ちゃんからの電話で来場表明。去年は私が司会だったこともあり、担当の編集や知人友人にだいぶ招待状を出したが、今年はちょっと数を控えた。来たかったのに招待状が来なかったという方はまことに申し訳ない。
会場には山本会長監修の『DestroyAllHumans!』のデモDVDが流れていたが、楽屋でその様子を見た会長曰く
「気分悪くなる人が出るんじゃないかな。画面がグルグル回って、僕も、監修のためにずっと見ていて気分悪くなったもの」
と。ちなみに会長は第二回、第三回と同じ服で来ていて観客にツッコまれていたが、さすがに今年は違った。みんな“あれをユニフォームにすればよかったのに”と。受付からは“今年はアベック客が多く、女性比率が高い!”との報告あるも、スクリーン裏からのぞきみる限りは最前列でこのデモ映像を喜々として見ているのは完全なオタク層。
あっと言う間に時間せまり、やがて開幕。無事、DVD使えて(TBSのメンツも招待しているし、ホントにホッとした)私のナレーションでオープニング映像が流れ、ラストの
「こ、こちらに向かってくる! うわああああああ」
の後、声ちゃんがアダムスキー型UFOでくるくる回りながら登場、“トンデモ本大賞授賞式、始まるよ!”と。大ウケ。で、司会の談之助さんとあやさん登場。コスプレにまたドッとわく。その紹介で私が最初の『と大学東京』の講義の司会を。
「トンデモ本大賞も今年で15年目でございまして、最初は私も“と”の唐沢さん、と呼ばれていたのが最近は“へ(ぇ)”の唐沢さんとなりまして、おいおい“ほ”になろうかというところでございますが、なにしろ、ウチは会長が“ロ(リコン)”でございますので、まだ“は”と“に”が残っている」
と、と学会版『会長への道』をひとくさり。
後は発表者にまかせる。明木先生、原田先生、それからプロレスのマスクで顔を隠したIPPAN先生と、三人。明木先生が『電車男』翻訳の台湾版と上海版の比較(台湾の方がはるかにオタク度が高い翻訳をしている)、私も司会席で爆笑、最後に“日本統治時代のこれも遺産でしょうか”と。次の原田先生が古代史史料の作り方講座、尿を使うというのがコツ。私のコメント“疑わしい史料を見た後は手を洗った方がよさそうですね”と。最後のIPPAN先生のマンガにも手を洗え、というネタがあったのは偶然。
全員きちんとウケをとって大変結構だったが、も少し自分もからめばよかった(壇上にずっと出ていたんだから)というのが反省点。あと、明木先生のマイク使いのうまさが際立ちすぎて、他の二人の声が聞き取りにくく思えたかも。また書画カメラなどに写す資料は、例会であればともかくこういう発表会では最初からコピーしておくのが望ましいと思う。
つつがなくこのコーナー終わって、休めるかと思ったらもう会長のコーナー、ここでも壇上に他の運営委員たちと並んでコメントしなければならない。……今回も暇がそんなにないじゃないか、という感じ。もっとも、出ただけで、コメントはほとんど植木さん(ちゃんと候補作を全部読んでいるのは会長と植木さんだけ)や皆神さん、永瀬さんにまかす。候補作の中では、量子力学と株式を強引にくっつけた『量子ファイナンス』(前田文彬)がインパクトあり。あと、番外コーナーで会長が紹介したオーパーツコミックアンソロ本の並木伸一郎氏の顔が、それぞれの作家で違いすぎ、善人顔からジョジョ顔まで、というのがウケていた。
ここで休息、投票時間。楽屋に入場者数の報告があり、去年より100人以上、動員数がアップしたという。壇上では逆光でよく客席が見えなかったが、確かにこれまではかなり余裕のあった二階席がほぼ、満席になっている。午前中にIPPANさんから入りのスピードが極めて速いという報告を受けて、
「二階席も埋まるかな」
と言ったら、彼らしく慎重に
「いや、そうはいかんでしょう」
という読みだったが、見事に埋まった。思えば第二回の大賞授賞式で初めてこの会場を使ったとき、一階席は満席だったが二階席はガラガラで、
「ここの二階席を一杯にしよう、という目標が新たに出来た」
と植木さんなどと話しあった。使用三回目にして、しかも今年でこの千代田区公会堂が取り壊しになる、というギリギリで目標が達成できたのは嬉しい限りである。
と学会にはそりゃイベント慣れしている面々も多いが、基本的には趣味のサークルに過ぎない。それがこれだけの会場を満杯にして、大禍なく、大ウケをとっている。これがどれだけ凄いことか。ただ、そうなると今度は以前の学校祭ノリを復活させたくもなる。ここらへんはイベントの魔魅の二律背反だろう。あと、今回はいろいろ開催前に意見の衝突があったり大東両先生の急の入院とかがあったのが、スタッフの頑張りを逆に増幅させている。危機感はやはり何事も大事。
休息時間、その満杯の二階席でいろいろあいさつ。ぐれいすさんが興奮して言うところでは、あのオーパーツ本の、ジョジョ風並木さん描いていたのは、なんとぐれいすさんの元アシだった人だとか。野口千里という人だそうである(後でぐれいすさんの日記で知ったが、その晩野口氏を呼び出して飲みながらそのこと話して、“写真とか編集部から史料に貰わなかったの?”と訊いたら、“菅原文太のイメージで”と言われただけだった、とか。並木氏が文太か、と笑った)。
杉ちゃん&鉄平も招待していたが、オノの言うところでは杉ちゃんはいま梅ちゃんのツアーに参加して全国回っており、鉄平くんは今日風邪引いて来れず、事務所のMさんのみ、ちょっと顔を出して帰ったそうである。
西原、高須院長と挨拶。去年のウチワの礼も言っておく。あのウチワ以来、“6月9日は包茎の日(そのココロは“むく”)というのがマスコミに定着し、
「あれはどこから広まったんですか?」
という問合せが西原のところに来るそうだ。
「伝説を作るというのはいい気分だねえ」
と西原。子供の運動会を抜け出して駆けつけたというjyamaさんには、打ち上げを誘っておく。彼女曰く“山本会長のあまりの早口に驚いた”と。そう言えばもう十年以上前、われらが会長が始めて会長としてラジオ出演! ということでみんなで聞いて、その翌日のと学会HP(ホームページではない。パソ通の“ホームパーティ”である)への書き込みに曰く
「早口のにいちゃん、でした」
で、後半。談之助と獅篭が壇上に上がり、大東両先生のビデオを流し、その紙切りの腕を見せる。大須演芸場に毎日来て“毎日婆さん”と楽屋で呼ばれている老婦人が毎日ガンダム紙切りを観ているうちに、モビルスーツに詳しくなり、お題を、と言われると“アッガイ”とか言って、たまたま入っていた若い客がどういう世界かと仰天していた、というのが何度聞いても面白いネタ。で、今日はその代演ということで獅篭の『ガンダムたがや』。これもネタは前聞いたときと同じながら、“落語として”聞かせる力量が格段にアップしたためいちいちウケていた。もっとも、ネタであるガンダム、パロディもとである『たがや』、両方知っている層がたぶん日本で最もたくさん集まっている場所だと思うので、ウケるのはアタリマエ。
これを終えて、また壇上に会長や皆神さん、志水さんらと並び大賞発表。二位の『わが闘争』(角川春樹)にダブルスコアの差をつけて『量子ファイナンス』が受賞。コメントを求められたので
「普通トンデモ本というのは間違ったことを書いているからトンデモ本なのですが、この本は量子力学、株式の解説、どちらもほとんど間違っていないのに、組み合わせの強引さでトンデモ本になった珍しい例だと思います」
と言う。そこで威風堂々が流れ、司会の二人から閉会宣言。映し出されたエンディングビデオにもちゃんと笑いと拍手があった。よしよしとホクソ笑む。
その後吉例の写真撮影大会があり、片づけに入る。大阪のあすやんさんから送られた花や、TBSその他から送られたお菓子の始末でK子がキーッとなって、
「来年から差し入れは商品券に統一させよう!」
とわめいている。そんなあなた、と笑う。K子のキーッ止まらず植木さんもちょっとヘキエキして応酬していた。ヘキエキの戦い。
しかし、まあ楽屋のゴミに関しては別として、この大会の凄いのは毎年どんどんトラブルが少なくなっていることだ。と学会員は(なにしろと学会に入ろうというくらいだから)みなある程度以上の常識と知識を有し、かつ人生経験豊富なメンバーが多いというのが大きな理由で、失敗はあっても、その失敗を学習して、次年度大会には必ず、その対応策がMLなどで考慮されるからである。今回はそれに加えて、公会堂のスタッフの熟練も大きかった。三回もやっていると、進行が頭に入っており、高座やマイクの出し入れにきちんと人がついて、スムーズに動く。来年はまた新しい会場になるのでこれがリセットされてしまうのが惜しいが、私が構成・司会を三回で降りたのもそれで、人間、慣れが生じると今度は油断、弛緩が目立ってくる。次回で会場が変わるというのも、いいことなのかも知れない。
あまりにスムーズに時間通り運んだので、余裕を持って6時半から、と予約していた二次会場の秋葉原『万世』地下『呉越同舟』にまだ1時間以上時間がある。ロビーでファンやマイミクの皆さんと挨拶。サイン求められた本の中に『古本マニア雑学ノート・2冊目』が二冊もあった。およそ私の本の中でも現在一、二のレア本であるこれを持ってくる人が二人もいる、というのがこの会のお客を象徴。
オノマド夫妻とjyamaさん誘い、タクシーで先に秋葉原に行き、一階のテーブル席で雑談。と学会各メンバーの声帯模写など披露。jyamaさんもマドも今日はK子初体験ということで、オバケ屋敷に入る子供みたいな“見たいような怖いような”という感じの表情。しかしその後やってきたK子は二次会の人数予想が当たって会計がうまく行きそうなのでご機嫌であった。あくまで当社比、だが。
そうこうするうちに三々五々、会員たち集まってくる。やはりメイド喫茶に行ったメンツもいたらしく、1時間半くらいのタイムラグは、秋葉原での打ち上げにおいては何の支障にもならないらしい。奥の席をTBSの三人に取り、主要メンバーと挨拶。会長はすぐ大阪に帰ってしまったが、打ち上げに会長が顔を出さない、というのもと学会の伝統にもはやなりつつある。で、ビールが回ったところでIPPANさんに乾杯の音頭をとってもらって、二次会開始。IPPANさん、今年は楽屋に基本いて体力温存していたか、去年ぶっ倒れていたが今年は元気。
jyamaさんは来る途中、ガの鱗粉にかぶれたとかで、カーディガンを脱いでタンクトップ姿になる。脇でjyamaさんのことをTBSスタッフに説明していたオノ曰く
「彼女は酒が回ってくるとエロ主婦になります」
で、彼女が上着を脱いだところで
「ほら、頭の上にエロ靄が立ちはじめました」
と。『ストリーム』のDは本当に私のファンであるらしく、顔を紅潮させていた。こういう業界人もいるんだなあ。
「昼の番組持たせてよ」
「頑張ります」
と会話。
獅篭もそこらで参加、一軒打ち合せをしていたそうな。あと、天動説のenоさんからは『サボテン焼酎』なるものをいただく。アロエ焼酎のような味だったが、烏羽玉の形をした容器が面白い。蓋が花になっている。
そこらで、西原りえこ、高須先生を伴って来場。
「なに? 後半聞けなかったんだけど、何が大賞?」
「量子ファイナンスだよ」
「わーやっぱり! アタシが絶対そうだというのに、院長は角川春樹だって言い張るんだよ! 一般人には量子力学ネタは難しくてわかんないだろうって」
「と学会のイベントに来る客は一般人じゃないんだよ」
と。獅篭に西原を紹介したら、獅篭、マジに大ファンだったらしく、それこそ一般人なみに興奮しまくっていた。西原も、
「ああ〜、あんた、モーニングからいなくなって、ドコ行ったかと思っていたらちゃんとやってたか〜」
とうれしそう。獅篭はアガリまくりでツーショットを撮らせてもらい、急いで地上に走る。地下は携帯が圏外なので名古屋在住のマンガ家たちに自慢のメールを送るためだそうな。
私もサイン求められていくつか応じていると、
「なー、十何年前にゃさー、アタシたちがサイン求められる身分になるなんて思ってなかったよなー。お互いよく生き残ったなあ」
と西原、また長老モードで割り込んでくる。こういうところ、ちょっと飛び離れた連想だが手塚治虫的なところがある。他にもちょっと、いつぞや以来西原に気をつかわせている某件の話。なぐさめてくれつつ、心配もしてくれる。
そこへjyamaさんが来るので、
「俺のファンで、子持ち人妻」
と紹介したら、西原、ニヤリと笑って
「危ないよー、やりたそうな顔だけどね、ファンだからってこういうオンナに手をつ
けると、キ・ケ・ン・だ・よ」
と、サイン用のペンで私の頭を叩き、さらにしゃがんで股間あたりを叩いて
「や・っ・た・ら・ダ・メ・よ」
と。何を考えておるのか、この女は。
もっともそういう西原も、彼女がギョニソ作っている会社の社員だと言ったら、ギョニソ大好物! 私のソウルフード! と、二人でやたら盛り上がってイッた表情比べだとか乳揉みあいとか、すっかりお互いエロ化していた。つきあいきれん、と天動説の席へ。さざんかQさんに
「こないだの”御利益尼崎”はよかった」
と日記タイトルを褒められる。
高須先生をI井くんイニャハラさんに引き合わせる。久闊を叙すというところ。なんと高須先生、私が深夜放送していること知らなかった。またCMお願いしますよ、と全員でねだっておく。『ストリーム』のDの白い服の背中にサイン。西原も呼んで彼女にもサインさせ、獅篭にもさせる。まんだらけで高く売れそうなシャツになった。
「来年のトンデモ本大賞のPA引き受けます!」
と感動で彼が口走ったので、すぐ言質とってI矢くんに名刺交換させる。これで来年はプロがPAだ! とI矢くんもバンザイ。いや、打ち上げもいろいろやっているがここまでと学会の二次会で狂乱のものになるのは珍しい。
もっとも、来年のことについて、IPPANさんや植木さんと、ちょっと真面目な話もちゃんとした。来年からの会場となるイイノホールは千代田公会堂より席数がやや少ない。あふれた客をどう扱うか、が問題になりそうである。
「でもまあ、もうそんなに増えないと思いますが」
とIPPANさん言うが、今日の客入りも予想を超えたからな。油断は出来ない。
IPPANさん、
「しかし、なんで今年は告知もそうしなかったのに、こんなに入ったんでしょうね」
と。確かに、その理由探しは難しい。口コミで認知度があがったとしか思えない。あとはローソンチケットを使ったので、前売り券を買いやすくなったということか。
あっと言うまにイナゴの如く会場の食物も食い尽くし(ローストビーフがなかなかの味)、二時間半の貸しきり時間も過ぎて散会。食べたりない気分なので、有志を誘ってチャイナハウス、と有志募集したら14人も名乗りをあげた。みなみなタクシー乗り合いで幡ヶ谷まで。タクシーは植木さん、原田さんと乗りあい。原田さんご機嫌でやたら大きな声でしゃべり、話も糞便を使って古美術品のニセモノを作る方とか、人肉食とかに及ぶ。タクシー運転手さんに植木さんが“すいませんねえ、変な話題で”とサラリーマンらしく気を兼ねてあやまると、年配の運転手さん
「いやあ、とんでもない。さっきからお三人の話が面白くてためになります。こちらから聞き賃を差し上げたいくらいだ」
と。さすが年期が入っている運転手さんはうまいですな。
チャイナハウス、開田さん夫妻にデシ人間のOくん、エロさん、たれ軍曹夫妻など先に到着していた。しら〜、ひえださん、気楽院さん、すなむしさんなどのメンバーに私ら加わって、ワイワイ。QPさんが店内にいるのを発見してそれも取り込む。さらには家で子供と夫が、と言って帰ったjyamaさんまで自転車で駆けつけた。いいのか、子供と夫。みんな、まだテンションが醒めやらないのだろう。マスターがまた見せてくれた熊の掌にjyamaさん感激。中華風にこごり、豆苗の炒め物、シュウマイ、鳥の香草揚げ、エビチリ。リーメンとチャーハン。今日はさすがに蟻酒は遠慮しておく。
12時前にはそれでも帰宅できた。いやはや、長い一日であった。