裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

5日

月曜日

断食おけさ

 食わぬ同士が小皿叩いて断食おけさ。朝7時05分起床。入浴、こないだ嫌らしい音を立てて悪夢のモトとなったバスタブの蓋はK子によって取り片付けられた。もともとわが家では風呂には蓋はしないのであった。7時半朝食。インゲンとカブのサラダ、サクランボ。これまでラズベリーをミキサーにかけて血圧用の飲み物を作ってきたが、サントクに冷凍ラズベリーが入らなくなり、もとのアミールSに戻る。

 8時25分のバスで通勤、うちの仕事場のマンションの周囲一帯の歩道は赤いレンガタイルが敷かれており、美観を保つ役割を果たしている。アムウェイ前にも敷かれているが、うちのマンションの管理費からも、幾ばくかの費用が出ているのだろう。このレンガ道が、先日の都の下水管工事の際に、無惨にも真ん中を切り取られ、その後を真っ黒なアスファルトで埋められた。電動ノコの切り跡は残っているし、埋めたアスファルトの端っこはボロボロとあたりに散らばっているし、美観もへったくれもあったものでなし。まあ、美観整備の際にこういう事態が起こることを想定していなかったのも悪いが、公共工事という名目の下にここまで強引な工事と、粗雑な後始末 をしてうっちゃっておくという神経がそもそもひどい。

 メールチェック、せがわまさきさんから、『幽』のマンガ評(『バジリスク』を第一回でとりあげた)の感想メールが届く。喜んでいただけたようでうれしい。せがわさんも、怪談マンガを描こうとしていた時期があった、というのはちょっと意外な情報であった。あの作品を怪談マンガとして取り上げるという、山風忍法なみにアクロバチックな論を展開した原稿だったが、思わぬところで的を射ていたわけだ。せがわさん曰く“(私の原稿を読んだ)副作用として小山春夫版の『甲賀忍法帖』を読みたくてたまらなくなり、日下三蔵さんにお借りしました”とのこと。……『幽』のマンガ評論コーナーは表紙に名も出ない扱いの小ささであるが、とりあげた作家さんからこれだけ面白かったと言って貰えればまあ、書いたかいはあったかと思う。

 雑用多々あり、郵便局へ出かけたり銀行へ行ったりなんだり。1時弁当を使い(サバ粕漬け焼き)、2時半に時間割。講談社Web現代Yくん。まず頼んでおいた買い物を受け取り、代金支払い。それから、連載打ち合わせ。現在のコラムもすでにアクセス数は以前の連載レベルに達しているとのこと。で、これが終わった後のことを少し打ち合わせる。島優子さんの朗読コンテンツの件を持ち出してみたら、思ったより簡単に“あ、いいですねえ”とOKを得た。ちょうど、以前にあった朗読コンテンツが終わったところで、音モノが欲しかったところだそうだ。そこから先のこともちょいと話すが、発展も見込めそうである。問題はスケジュール。ちょうど録音時期がうわの空の一ヶ月公演にぶつかる。これをどうするか、ちょっと要確認。

 帰宅、ワールドフォトプレス『Memo男の部屋』原稿。後半部分を先に書いて、それから前半(ツカミの部分)を書くという変則的な書き方で。で、全部書き上げて全体を通して読み直して、ラストに冒頭とリンクさせたオチをつけ、全体がひとつにまとまるように安定感を持たせ、最後に行数を調整して完成。その書き上げる行程のプロっぽさが快感である。内容はいかほどのものを語っているわけではないが。

 村木さん、島さんに朗読の件、メールで連絡。NHKから岡田さんがらみで番組出演の依頼。生放送ということになるのだろうか。ちょっと気になる部分もあるので、メール返信で問い合わせ。6時半、新宿まで出る。タクシーの運転手、まるで明後日の方角を“こっちの方が早い”と主張して進み、途中で間違っていたことに気がついて逆戻り。料金を受け取らなかったのは潔し。サウナ&マッサージ。汗がぴゅうぴゅうと吹き出し、体重を計ったら、入る前に比べて3キロも減っていた。減りすぎではないか? マッサージは50歳くらいのおばさん。私の手を揉みながら、
「あら柔らかい、何にも仕事なさっていないような、いいご身分の手ねえ」
 と言う。いやおばさん、今日び、手が荒れるようなお仕事ばかりが大変なお仕事なのではないのですよ、と思うが、こういう思考が大変に懐かしい。笑ってしまう。

 9時、帰宅。今日も家族三人の夕食。サバのトマトソース、アサリと水菜の小鍋、破裂の人形さんから到来の薩摩揚げ。ご飯は焼いた豆腐を菜にして食う。夏の簡単総菜ぽくてこういうのもいい。例により『アタックNO.1』と『エイトマン』観賞。 それにしても蒸す。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa