4日
日曜日
焼き野菜、洗い野菜
焼肉のお供に、フレッシュ野菜をカット・洗浄を全てすませて袋詰め、あとは焼くだけ! いつの日にも、いつの日にも、野菜を食べようよ。朝6時半起床。7時半朝食。枝豆とレタスのサラダ、ズッキーニのポタ。優雅と言えば優雅な朝食である。読売新聞日曜版を見ていたら、私が写真に写って載っていた。このあいだの『幽』のイベントの記事で、私と山田さんが壇上にいるところの写真であった。別に名前とかは出ていなかったが、着ていった千字文シャツはなかなかグラフィックな効果はあった のだな、と確認できたのはよし。
8時20分のバスで通勤。さすが日曜はスイスイと行き、座席も空いていて気分がいい。今日は2時から新宿で芝居観賞なので、急いでWeb現代『知らなきゃよかった!』原稿。しかし、このテのものは何の苦労もなく書けるものだ、と自分でも半ば呆れつつ感心。正午までに6枚半、ざざざざと。体調も精神状態も必ずしもよくはな いのだがな。
書き上げて、弁当使う。焼肉とネギ入り卵焼き。もそもそと食べる。1時、家を出て新宿まで。花園通りサンモールスタジオにて、タッタタ探検組合公演『マニハニ2〜夢見るマニハニマン〜メカ堪忍袋の逆襲!!』。タッタタ探検組合の谷口有・あおきけいこ・キクチマコトの三人は、うわの空一座の『水の中のホームベース』に客演しており、そのお芝居の質の高さに驚き、今回、ご招待受けたのを幸いに観にきたも の。
裏口の、せまい階段のところに、延々と長蛇の列。なんとか入って、すぐに最前列の席の一番端っこに座る。椅子席がほぼ満席ということもあったが、こないだのうわの空ライブの様子を見て、客が最前列席から詰めていく、ということが、こういう小劇場の上演にとり、どんなに有り難いことかがわかったため。もっとも、座布団席と なると、体力の問題でちょっと遠慮せざるを得なくなるが。
お席お繰り合わせ、の役は坊主頭の濃い大阪言葉の係のお兄ちゃんが努める。これだけで一種の開演前のにぎやかし役になっているのがいい。アベック客などが来ると“はい、愛し合うこの二人のために、みなさん、なんとか並んで二席、あけてさしあげてやってや! 頼んますわ!”とやる。苦笑しながらも席を詰めざるを得ない。
結局十分押しで開幕。初めてみる舞台で“2”なのでどうかな、と思っていたが、ストーリィ自体は非常に単純で、すぐに話の中入っていけた。ここはいかにも小劇場芝居らしく、あまりセットを作り込まない。と、いうか、二段になった舞台と、椅子にも台にもなる長方形の箱が三つ、それだけ。あとはスライドで中近東らしい光景とか、戦場シーン(プラモデルの戦車などを映す)が場面切り替わりのたびに映写されて、場所の設定をする。冒頭から出演のキクチマコトが、これまで観た『非常怪談』とも『水の中のホームベース』とも違う、テンション高い芝居をやっていてちょっと驚く。そのあといろいろあって、場面はあおきけいこが女王としておさめるマニハニ王国へ。この国をかつて乗っ取り、独裁国家ミリンダをうち立てていた元・大統領がマニハニに伝わる魔法の石、レスカの力によって倒され、追放となった、というのが前作までのストーリィらしい。現在は地下にもぐり、権力の奪還を狙っている元・大統領に、やはり前作で暗躍したカルト宗教団体の教祖・堪忍袋が協力し、レスカ石を奪うことになる。この、堪忍袋の役を谷口有がやっているのだが、とにかく、彼の存在感が凄い。出てきたとたんに、それまでストーリィ説明に流れがちだった芝居全体の雰囲気がガラリと変貌する。モロに吉本風の大阪弁でのやりとりと、飛び、跳ね、走り、踊り、固まるといった体技の魅力。それを受ける元・大統領役の山素由湖という女優さんも達者で面白い。彼女は『ソムリエ』とか『教習所物語』の脚本家・堅田 正剛氏のやっている劇団『方南ぐみ』の人らしいが。
戦隊ものの設定とか、『天空の城・ラピュタ』的なファンタジーとか、それっぽいものを躊躇なく(悪く言うと節操なく)取り入れてまとめた感じのストーリィには、取り立てた新しさはないが、それだけに子供にもわかりやすいのだろう、観客席の子供たちの笑いが印象的だった。私ももちろん、大いに笑う。笑う芝居に来たのだから徹底して笑うのが正しい楽しみ方である。圧巻は、元・大統領によって改造されたメカ・堪忍袋が、女王たちの前に立ちふさがるシーンで、ここの谷口有のキレた演技がすさまじく、あおきけいこたち他の登場人物ほぼ全員が、彼の悪ノリにマジで右往左往して逃げまどう。さとうゆい(小学生の役で、常にランドセルを背負っている)を舞台の隅に追いつめ、ランドセルにささっている縦笛を何とも言えない表情で口にくわえ、“フオ〜”と吹くシーンでは彼女の表情が本気で嫌がっているように見えて、 もう抱腹絶倒。
うわの空の紀伊國屋客演で見せた三人の、ベクトルを内側に向けた演技から、私はタッタタの芝居を、もう少しおとなしいものだと思っていた。はあ、こういうモノであったか、と、いささかの意外性で見終えたことであった。人物配置や、その見せ方などにもう少し丁寧な練り込みや、クサい芝居の部分での、いい意味でのしつっこさがあれば、もっと完成度の高くなる舞台だとは思う。“あ、ここもったいないな”と思える箇所がいくつもあった。堪忍袋というキャラも、ただ単なる退場をさせるので はなく、再々登場へのヒキが欲しいところ。
出て、昼間の新宿一丁目近辺を歩いていたら、“あら!”と声をかけられた。見たら、このあいだ店にお邪魔したばかりの“いれーぬ”のノッポさん。マンションがすぐ近くなのだそうだ。買い物に出たところだという。また行くから、とタケちゃんに 伝えておいてもらう。
帰宅して、今度は『フィギュア王』原稿。以前に書いたミニコラム原稿をもとにした内容だが、素材をどんどんつぎ込んで、まったく違うテーマを語る原稿に仕立て直す。新たに入れる素材が、これがまた自分ながら面白い。精神状態よくない方が原稿は好調、というタイプなのか、オレは? 最近、これだけ長期の鬱は珍しいので(だいぶ快方ではあるが)、いろいろな方面に迷惑かけているかもしれないが、原稿の質だけは向上しているような気がする。
8時、完成させてメール。バスで帰宅。自宅での夕食、9時。開田さんが能登土産で持ってきた野菜類あり。カブのスノモノ、イカとカブ菜の炒め物、自家製トンボーロー饅頭小一つ、ニラ玉。最後のご飯は納豆で。焼酎飲んで、いい気分でフラフラと寝につく。