裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

28日

日曜日

ひかりものの小唄

 どうせあいつはシメサバよ(寿司ネタシリーズ第二弾)。ひかりものの国から正義のために、というのも思いついたが、別に思いついたからエライとかいうわけでもない。朝、8時半起床。朝食は貝柱粥、二十世紀。ここ数日の新聞を読み返す。原退陣に、長島、王などの口調の煮え切らないのに対し、星野、広岡などはきっちりと球団批判をしていて明解。とはいえ“煮え切ったこと”を言えるのは巨人との関係がいま現在薄いからであるわけで、別に星野や広岡の方が偉かったり賢かったりするわけではない。ので、これは答えられない人にのこのこインタビューに行く方が間違い。しかし、広岡の“なぜ長島がもっと原をかばわないのか”という意見は今回の問題の核 心をついているような気が。

 午前中は日記つけたりダジャレ考えたりでダラダラ過ごす。ダラダラは次の仕事のためのテンション蓄積のため、と言い訳しつつ。SFマガジン11月号、こないだ、変名でSFマガジン初登場を飾った桐生祐狩さんがビジュアル・ショート・ショートで小説でもデビュー。彼女らしくイヤな話をさらりと。最初に載ったとき、S澤編集長がメールで“桐生さんの文章、いいですね”と言ってきたので、“最近の日本SFの妙な優等生的こぎれいさを崩すためにも、彼女を今後活用してくださいよ”と答え ておいたのだが、さっそくの抜擢でちょっとうれしい。

 昼は外出して新楽飯店で五目やきそば。甘じょっぱい、昔ながらの味。食べながら『サンデー毎日』読む。他誌に増して露骨な反米反小泉雑誌であった。その反米記事一色の誌面の中で、岩見隆夫が『サンデー時評』でしっかりと“「一国安全主義」で通用するのか”と、安全確認でモタついて自衛隊をイラクに派遣しないことが国際的孤立を招き、ついにはもっと大きな不利益につながるということを言っているのに、 ちょっと感心する。

 家に帰って横臥し、しばらく休む。いろんな考えが脳内を過ぎる。ウトウトしてしまい、気がついたらもう5時近くだった。K子から電話で、一緒にロフトへ行こうというので、準備を。ロリコントークだが、いや、荷物の重いこと。改めて写真集とか というのは厚い紙を使っているのだな、と実感した。

 行ってみたらまだ、昼のトークのスタッフが残って、自分たち製作のビデオを見ているというので、楽屋で待つ。談之助さん来て、やはり荷物が重い々々と言う。斉藤さんといろいろ雑談。開店待ちでもうかなりお客さんが並んでいるが、いつものカラサワさん企画に来ている人たちと様子がだいぶ違うという。“ロリはねえ、それ一筋と言う人が多いですからねえ”と。私(唐沢ファン)なら窓口が広い人でないとやっ ていけないのだが。

 やがて開場、このあいだ(と、言っても三年前)にも流した美少女ビデオを上映しておくが、これも三年前と同じく、入場した人々、互いに会話も交わさず、ただじっと、という感じでスクリーンに見入っている。斉藤さんが面白くてたまらない、という感じで楽屋に戻ってきて、“いやー、全員前屈姿勢で同じところ一所懸命見つめてて、変ですー”と。注文がさっぱり状態らしいので、楽屋にあった拡声器で、
「このビデオはメイン上映物ではありません! まだライブははじまっていません!きちんと注文をお願いします!」
 とやる。“新宿警察のものです、会場にいる皆さん、動かないでください”とやろうかと思ったが、心臓麻痺でも起こされてはいけないので遠慮しておいた。

 ライブ内容はいちいち伝えるのもタルいので略。談之助さんは現在のロリ界情報、私は昔なつかし『シベール』『のんき』などの同人誌を紹介し、70年代末〜80年代のロリ文化の流れを中心に。今あるものは大抵、その当時から萌芽がある。昔話を排除するものに現代はわからない。あと、“今回は文化としてのロリコンがテーマなので、政治むきのネタはやりません”と最初から言っておく。私は政治むきの話を否定するのではない。これは語るうちに少女の魅力、というものとはどんどんかけ離れたテーマになってしまう。TPOの問題である。ラストにちょっとだけ話すに止めたが、それでもそこだけ取り上げてなんだかんだ言う奴は必ずいるだろう。これは虫み たいなもので、仕方がない。

 客席の9割は埋まっていて、奥のカウンターにまで客がいたが、私のライブの常連が4割、ロリ好きが3割、あとはわからん、という感じ。ぺあマガジンが持ってきていた本類もほとんど売れず、笑いは頻繁だったのにドリンク・食事などの売上げも、前回の紙芝居のときの半分以下。ロリはロリにしか金を使わないか、と苦笑。福原鉄平くん、啓トラ宏之くん、その他裏モノ、と学会関係者多々来てくれていた。終わったあと、閉店準備している店内で、『Pマン』の制作者のY氏に出会う。来月の4日に、ここで新作上映とスタッフ・出演者交えたトークをやるそうだ。今日はその下見だとか。こないだコミケでいただいた新作『Pマン・サイバー美少女0指令』は、これまでのPマンとは一線の豪華な作りで、特撮の凝り様が自主制作モノとしては感涙的。出演者も飯塚昭三などという豪華なヒトを揃えていて、ああ、メジャー特撮は下火だが自主制作界で特撮の火は燃えているぞ、と思わせる。
http://www.pman-net.com/cyber0/loft/

 例によって『青葉』に行こうとしたら休み。久しぶりにお好み焼き屋の『大阪屋』でK子、談之助夫妻と。斉藤さんも来て、何かロフト開店当時を思い出すような、アングラ系のライブでよかった、とのこと。最近のロフトはメインのカルチャーに何の違和感もなくリンクしている風なので、も少し地下っぽい雰囲気のあるライブをもっと出来ないか、と考える。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa