裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

1日

月曜日

ハサミジャガー仕方がない

 てにをはの問題なのです(金田一耕助・談)。以前の“海はカメバズーカ、山はカメバズーカ”と対になるダジャレ。朝、7時半起床。昨日、昼あれだけ寝たのだから夜は寝られないかと思っていたらちゃんと朝まで目も覚まさずに寝られた。寝過ぎではないか、という感じもする。晩年は星新一のようになるか。

 朝食は生ベーコンサンド。一行知識の過去データログを平塚くんに作成してもらって、それを昨日、フジテレビとS社に送ったが、S社から開けないとの報告。一方、扶桑社から『愛のトンデモ本』の印税率の暫定報告が送られてきたが、このエクセルデータがうちではなぜか開けない。

 空模様パッとせず、気圧は乱れがち、精神状態が不安定で、小さい仕事をちまちまとやりかけては、また放り投げる、というようなことを繰り返す。精神を奮い起こそうと麻黄附子細辛湯のむが、汗をかくばかり。

 昼は外出、交番前の(本当は交番後ろの)兆楽で、ギョーザと半チャーハン。いつもしきっているオバサンとその旦那(なのか?)が休みをとっているらしく、アジア系のお姉ちゃんが対応しているが、やはり慣れないことでミス続出、調理場のおじさんがブツクサ言いながら手伝っていた。東急本店地下でアミールSなどを買って帰宅 し、暑いので冷凍のビワをデザートがわりにつまむ。

 文藝春秋編集者のMくん(以前からの私のファン)から、トリビアの泉がらみで対談の依頼。そのトリビアの泉スタッフからは、さんざデータを送れと言ってきて(高視聴率ではあるが慢性的ネタ不足なのである)、いざ送ってみると、届いたんだか届かないんだか、開けたんだか開けなかったんだか、うんだものがつぶれたとも言ってこない。忙しすぎて迅速な応対が出来ないのかもしれないが、なんとも困ったもの。

 講談社ウェブ現代原稿にかかるが、これもさっぱり進まない。気圧のせいか、昨日の酒のせいか。送ってもらった秋田書店の時代劇マンガ専門誌『斬鬼』を読む。巻末に秋山呆榮氏の紙芝居『丹下左膳』のダイジェストが載っている。H氏の周旋であろう。ああ、ロフトの紙芝居も準備しなくちゃ、と思いながらも体動かず。長野伊賀良の木下さんから電話、10月の花火大会のこと。鯉は今回も食べますよね? エエ、もちろん食べます、白鳥さんの蕎麦は? いや、そりゃもうもちろん、と、食べる話のときだけ元気が出る。白鳥さんの蕎麦というのは、店の前に立っている親父のコンクリート像が三遊亭白鳥に似ているというので、いつの間にかそういう呼称になってしまったもの。

 扶桑社からは別メールで印税詳細届く。まずこんなものか。某社、印税の支払いが遅れているとのこと(経理兼社長のK子の報告)だが、そう言えばこないだからピタリと連絡がない。ちと不安である。そのK子が、今日は銀座で夕食をしようという。なんで銀座かというと、毎朝の二十世紀食べくらべ(畸人研究の今さんが楽しみにしているそうだが)で、いよいよ銀座千疋屋の梨を買うので、だそうだ。7時半に家を出て、8時三越前で待ち合わせ。

 千疋屋の梨はさすがに一個千円したそうで、K子、いささか興奮気味。梨で興奮する女も珍しい。彼女と、いつか植木不等式氏と行った銀座7丁目のソバ屋、いけたにへ行く。ここは深夜まで営業しているので、時間を気にせずに飲み食いが出来る。蕎麦味噌、蛸の甘辛煮、それからサンマ刺しなどで。基本的に江戸前で煮物などは味噌と醤油と砂糖がふんだんに使われており、薄味好みのK子は不満げ。最後の蕎麦は盛り合わせ蕎麦で、田舎蕎麦と普通の蕎麦が盛り合わせになったもの。食い足りないので、生粉(きこ)蕎麦というのももう一皿追加。どれもうまいが、絶賛にはもう一歩か二歩、足りない感じ。まあ、長野の末廣庵(例の白鳥の蕎麦屋である)などを知ってしまうとな。味も場所も手頃なところの花菜の閉まったきりなのが、なんとも気になるところである。事情をご存じの方が日記読者にいらっしゃったら、情報をお寄せいただきたい。酒はさすがに今日は生グラス一と、燗酒一合のみ。帰宅して10時ころに寝る。本当によく寝る。

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