裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

30日

水曜日

地方人バロムワン

♪みんなで呼ぼうバロムワン〜新幹線(あるいは長距離バス、飛行機他)で来るぞ、バロムワン〜。朝、3時に目が覚め、輾転反側。もっとも4時から6時にかけて、断続的だが深い眠り。夢はずっと、力士の番付表からミスプリントを探すという細かい作業をパソコンでやっているというもので、神経的に参る。気のせいか、奥歯もシク シクする。

 朝食、先日作ったレンティル豆の煮込みとドイツパン。長野からいただいた桃。冷夏のためか、例年のものよりやや固いが、甘さは抜群。注文していた書籍数冊届く。そのうちの一冊、早川書房『食べる人類誌』(フェリペ・フェルナンデス=アルメスト)をパラパラ読む。カニバリズムの語源は、カリバ(カリブ人。食人の習慣を持つと考えられていた)という語をコロンブスがカニバと聞き間違えて、人喰い人種をカニバルと呼んだからだと出ている。私はずっと、カニバルはカーニバル(謝肉祭)から来た言葉だと思っていた。だって、松岡正剛がそう書いていたのだ。信じてしまうであろう。言われて見れば、carnivalとcannibalではスペルも全然違う。確かに、カーニバルはラテン語のcarnem levare(肉食を断つ)が語源なのだから(異説もいくつか)、cannibalに変化する、というのは無理がある。こんなことをカン違いしたまま佐川一政問題などを語っていたかと思うと 赤面の至りである。

 2時、外へ出て買い物。いろいろ物色して、結局買わず。昼食は兆楽のミソラーメン。3時に帰宅、ササキバラさんにチェックゲラ後半部分渡す。あと、前半部分で出ていた疑問点チェック。日記の中の表現(ことにダジャレ中)で出版物としては不適当と思われる言葉があるのをどうするか、という問題。極力残すが、やはり人道的に コレハ、というところ一カ所、手を入れることにする。

 ササキバラさん帰ったあと、出版社各社とメールその他で連絡いくつか。マガジンファイブ社には明日渋谷で会うことに。ちくま文庫からは、手直しが遅れている『美少女の逆襲』より先に『トンデモ一行知識の逆襲』を文庫にしたい、との件。テレビのこともあり、その方がいいだろうと返答。原本に赤入れたゲラ元本を、週明けに渡すことにする。フジテレビM氏からは、昨日留守録にまた電話しますとあったきり、 まるで音沙汰なし。

 日記本差し替えダジャレ、差し替えは楽だが代替の受けを考えるのが難しい。うーんと考えて、元ネタ以上に笑えるのをやっと考え出した。これはこれでヤバいのであるが、まあ許容範囲内。すぐMLにメール。これで今回の日記本、私の仕事分担部分は、あと後半ゲラの疑問点チェックを残すのみ。最初この日記本作成に踏み出したときは、いったい本当にまとまるのか、まったく先行きが見えなかったものだが、意外 にスピーディに完成にこぎつけたものと感嘆。

 ちくま文庫からメールがあったのが幸い、これも出します出しますと言ってそれきりになってしまっていたトンデモ落語本の章立て案、急いで作って出す。その関係で立川談生のサイトをのぞいたら、なんと“談笑”に名前を改める、それも家元に許可貰ったから今日にでも、とか書いてある。談生は立川流では縁起の悪い名前なので、字を変えたか。不吉な名前を敢えて名乗っているというところに談生らしさも感じていたのだが。一方、志加吾のサイトは真っ白けで、ただメールアドレスが一行、表示されているのみ。もっとオマツリ騒ぎで名古屋に繰り出すとかすればいいに、と思うのだが、本人にしてみればそれどころじゃない、というところか。噺家の了見としては、身に降りかかるシリアスな出来事全部を全部シャレ、と開き直ってはしゃぐのが本来、というのが絶対、談志の美意識だと思うのだが。

 8時、おすそわけの桃を持って下北沢『虎の子』。恒例、あのつくんから到来の野菜の会。と学会からはI氏、T氏、K子の関係でM氏とM嬢、それに私ら夫婦と開田あやさん、加えてとみさわ昭仁さんの8名の大一座。茹でトウモロコシと枝豆がオードブルで、大根と豚バラの煮物、茄子とトマトのラタトゥーユ、キャベツとイカワタの炒め物、青トマトの刺身、インゲンと挽肉のハンバーグ風などなど。冷夏と言えどどの野菜も甘し、ことにインゲンは絶品。I氏持参のワイン二本、それに喜久酔。話題いろいろ、エンヤのCDはなぜああ何枚も出ているのか、一枚聴けばみな同じではないか、などと暴言す。暴言と言えば今日も開田あや、“明日は天気だから!”と、気圧族でないとわからん理由でトバしていた。コミケの打ち合わせなどもして、桃をみなさんに分配、それから茄子、ジャガイモ、大根などをいただいて11時半、おひらき。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa