3日
木曜日
Oリング・フォー・コロンバイン
アメリカにおけるOリング治療の流行についてのドキュメント。朝、7時半起床。テンションあがらないので朝食を『大江戸捜査網』のテーマ曲を聴きながら作る。燃える燃える。およそ時代劇ドラマのテーマ曲中、最高の名曲の一つであろう。作曲者の玉木宏樹このとき27歳、“絶対に時代劇のテーマが作れない奴を連れてこい”というプロデューサーの命令で選ばれたということだが、天才だったのだなあ、という思いしみじみ。最近は“身体によい音楽、悪い音楽”とか言いだして、やや、トンデ モの世界に近づきつつあるか? という感じだが。
朝食、ソラマメとミニアスパラを蒸して、それと生マッシュルームサラダ。果物はサクランボ。最近は7月すぎてもサクランボが食べられる。ソラマメもかなり長くある。長崎の幼児投げ落とし殺人事件の被害者の名前が駿であるため、テレビのレポーターやナレーターがみな“シュンちゃん、シュンちゃん”と繰り返し、落ち着かない ことであった。
『壁際の名言』増刷用チェックもう一度やって付箋貼り。10時45分、海拓舎H社長取りにくる。誤植が多いのは、校閲に初めてのプロダクションを使ったから、とのこと。いま、手元に一冊しかないので、引き替えにもう一冊もらう。カバンからおごそかに取り出したH氏、“貴重なものですので”と。K子にはチェック本のカバーを 渡して、HPの新刊情報コーナーにアップしてもらうよう頼む。
昨日半分書きかけた『あなたの血が欲しイーイーイー!』の冒頭宣言文書き上げ。やはりこういうのは一気の書きくだしが理想で、一晩置いたために、前半と後半であきらかにテンションに差が出てしまった。全面的に書き改めようかとも思ったが時間 なく、このままK子にメール。引き続き、個々の作品解説文に入る。
昼は近所のモスバーガーでチーズバーガーと照り焼きバーガーを買い、カロリーゼロという(本当か?)ダイエット・コーラで。食いながら原稿を書きたいためであったが、資料読み込みにやはり時間がかかる。電子辞書を引きながら『GHASTLYTERROR!』『TALES OF TERROR!』など、アチラのホラーマンガ研究本を読む。いずれも以前ざっと読んでいたものだが、辞書引きつつ丁寧に読むとまた、いろいろ考えさせられるところあって面白い。いよいよ馬鹿マンガの重要性(これは私のような馬鹿好きな趣味の者にとってだけではなく、マンガという世界全体の構築にとって)が見えてくる。いや、ことはマンガに限ったことではない。文化全般において、馬鹿作品は大事な役割を果たしているのだ。『馬鹿文化論』として、 どこかできちんとまとめたい。セミナーでも開いて講義するか?
掲示板で、日記の間違い記述指摘。キャサリン・ヘップバーンの出演作に『ブラニガン』と書いたが、あれは『オレゴン魂』の間違い。どちらもジョン・ウェインのシリーズもの2作目なので(『ブラニガン』は厳密には前作『マックQ』とは関係ないけれど、同じ刑事もので)ついウッカリ筆がすべった。キャサリン・ヘップバーンと言えば私の母の世代でもうベテラン女優で、『若草物語』のジョー役は母にとっては彼女ではなく、ジューン・アリスンなのであった。そう考えると、今まで存命だったというのがなかなか凄いことだと思える。母にとってのキャサリン・ヘップバーンの代表作は、すでにオールド・ミス役を演じていた『アフリカの女王』である。
原稿、3時50分にメール、これで夏コミ用原稿はあと、立川流座談会起こしを残すのみ。4時、時間割にてアスペクト日記本打ち合わせ。K田さん、ササキバラゴウさん、パイデザ平塚くん。美術出版のA氏(この日記の読者)が送ってくれた“裏モノ日記論”をプリントアウトしたものを渡して読んでもらう。日記を本にまとめて出版する、というのは、第三者から見れば“いい気にナリヤガッテ”的な風にどうしても見えがちで、そこらへんを、こういう第三者からのこの日記を論じた文を入れることで薄められるのではないか、というのがねらい。K田さんもササキバラさんも、賛成してくれる。日記のチョイス打ち合わせしばし。こういうのはサッサと乱暴に決めるべきもので、これもいいんじゃないか、いやしかしそうなるとこれも、とやってい ると、結局チョイスの意味をなさなくなる。
打ち合わせ終わり頃にK子も来て、自分の方の仕事打ち合わせをササキバラさん、平塚くんとはじめる。7時ころ終わり。帰宅途中に、顔にぽつりと大粒の雨。家に入るとたん、という感じで本降りになる。気圧が急速にグーッと下がり、いてもたってもいられなくなって、横になる。『美少女の逆襲』のちくま文庫版の資料など読んでいたが、いつしか気を失う、という感じで沈没。目が覚めたら、もう9時ちょっと前になっていた。胸が苦しく、頭がフラつき、胃腸がムカムカする。気圧の乱れによる 不調の中でも、これまでで最大のもの。
まだ降り続く雨の中、傘さして花菜へ。K子が来るのを待つ間、ビールをグラス半杯、クーッとあけると、だいぶ胸が軽くなって、楽になる。ふうと息をつく。K子も雨の中を来る。ソバの芽のおひたし、アサリのバター蒸し、厚揚げ、豚ぷらおろしなど。梅干入り焼酎ソーダ割り二杯。最後にモリを一枚。後ろの席の客が、アサリバタを食べたあと、“この残った汁がもったいないから、これで何か作って”と注文。K子が“スパゲッティは?”と言うと、大将、パスタがそう言えばあったかな……と探していた。作ったのかな、あれ。