裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

3日

火曜日

ウィアードでござる

 悪趣味怪奇コメディー番組。朝7時半起床。と、言うより仕事で早く出るK子に起こされる。5時間しか寝ていないし、ゆうべの紹興酒がまだちょっと残ってるので、頭がフラつく。朝食、オニオンスープ、ポンカン半個。風呂を熱くして入って、意識をシャッキリさせる。快楽亭から電話。今月の歌舞伎座をご一緒しましょう、とこないだ(八起で)誘われて、じゃあ席をとっておいていただけますか、と頼んでおいたのだが、なんと花道をはさんで右と左というマニアックな席がとれたそうな。

 仕事にかかる前にネットをちょっと回る。中野貴雄がいよいよサイトを開いたらしい。なにかさらにどんどんディープな世界に入りこんでいってる感じがするが、『サワリーマン金太郎』『花弁の忍者桃影』とか、作品名はちゃんと中野貴雄していて安心。と、言うか『花弁の忍者』にはただただ感服。ダジャレが単なるもじりでなく、作品名としてのカタチを成している。『クインビーハニー』で怪人アンブレラを演じた里見瑤子のPG(ピンク映画情報誌)の表紙写真が掲示板にあったが、これが“ばさばさぁー、覚悟するばさぁー”などとキレた演技していた同じ子か? と驚く。去年、後楽園で一緒にお仕事したときにちょっと話したが、“私も長野出身なんで(清内路の)花火、見てみたいですー”と言っていた。来年はさそってみるか。
http://shinjuku.cool.ne.jp/n_tko/

 ネット書店で数日前注文した資料本、おとつい書庫を調べたらなんと出てきた。少し高い本だったので、あわてて取消を依頼したのだが、注文してから何日かたっていたので、取消を受けてくれるかと思っていたら、今日、承りましたとの返事。ホッと する。気軽に注文できるだけに、こういうこともありがちになる。 昼までに一本、翻訳を送り、外に出て、チャーリーハウスでパイコートンミン。それから時間割で講談社Yくんと打ち合わせ。好美のぼる本の朗読、それから連載の今後の予定など。帰宅して、また翻訳。60年代のB級怪奇マンガなのだが、セリフがどうにも露骨でとにかく大げさ。自分の美貌にうっとりしている女が
「美しいわ……想像も出来ないくらい! 美の化身だわ! 悪魔の美しさよ! 何物にも比べられないわ! 私は地球上で一番の美女なのよ!」
 などと言う。そこまで言わなくても。4時にやっと全ての翻訳、終わる。

 4時半に家を出て、六本木。もう外は夕暮れである。六本木通りが混んで、40分以上かかる。銀行でカードの引き落とし分を引き落とし用口座に振り込み。それからABCで買い物、さらに明治屋。帰宅して、作品解説二本分書き上げ、さらにと学会MLに、明日の会場下見について意見アップ。

 永瀬氏から電話。下見について。仮押さえしてある会場の、映像機器設備に少し不安があり、そのことでしばらく話す。永瀬さんは、普段例会でやっている方式をそのまま大会場で行う際のめんどくささに頭を悩ましているようだ。いや、会場でのセレモニーとしての発表なら、こういうテがありますぜ、と、ちょっとアイデアを述べておく。ナルホド、そういう風にもできるな、と向こうも盲点だったよう。

 9時45分、夕食。鶏肉団子とキャベツのスープ煮、イカとワケギの酢味噌和え、アナゴと里芋の煮物。DVDでまた『サインはV』。この当時のドラマはちゃんと季節ネタでクリスマス、年末、正月と律儀にネタを作る。もっとも、シーズンオフなのでこういう話でつなぐしかない。ゲストになんと後の人間国宝、柳家小さん。ラーメン屋の親父という役で、息子が歌手志望なのに根性がなく、レッスンをやめてしまうことに腹を立てる。この息子役が本職の歌手で、『カコとミキ』のミキ(ミキ中町)だそうだが、当時の歌謡曲はわれわれ夫婦、かなりカバーしているつもりだったがまるで知らない。ミキ中町で検索しても、この『サインはV』出演者でしかヒットしないし、カコとミキでも三件くらい。代表作『0時20分発夜行列車』のジャケ写は
http://www.torori.com/reijinijyuu.jpg
 で見られる。紹介していたサイトによると、このジャケ見開きに載っていた彼らのデビューまでの経歴が凄いそうだ。うう、読みたい。誰か持っている人がいたら、教えてください。

 正月の話では、久保田さち子の祖母役で立原博が出ていた。アノネノオッサンの高瀬実乗の付き人だったという古い人である。古川ロッパ、柳家金語楼、キドシン、堺駿二など、昔は喜劇人というのは婆さん役を必ずといっていい程、持ち役にしていたものである。青島幸男のいじわる婆さんを経て、少し若返って慎吾ママに文化的伝統はつながっていく。社長役の十朱久雄は『青春とはなんだ』の校長先生役以来、こういう“ちょっと気は弱いが理解ある年長者”の役はお手の物。そう言えばインスタントラーメンのCMで、この人がただラーメンを食べるところを映して“♪校長先生も食べていた、食〜べていた、食べていた”という歌が流れるやつがあったが、あれは何というラーメンだったかな。見終わってK子は寝る。私はB級ホラーもののアンソロジーなどを見て、焼酎三杯。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa