裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

10日

水曜日

Bカップハイスクール

 高校生でBカップはちょっと情けない(たぶん同じシャレ考えてるとこ多数)。朝方の夢で、芸術院会員の某氏に今度大金が入るので、その金を融通してもらって外国からマンガの版権を買って商売したいんだが、と相談を受け、外国マンガの日本での出版はまず儲からないからおやめなさい、と説得する夢を見る。さまざまな登場人物が全員知人とか親戚とかなのだが、それらが見事に性格に合わせてキャスティングされているのに感心しながら目が覚めた。体の具合おもわしくなし。といって、どこが悪いというでもなし。朝食はトースト半分に燻製卵。

 大橋巨泉、落合恵子、石坂啓、佐高信らが社民党叩きをやめよう、という集会を開いたとのニュースを見て呆れる。顔ぶれを見てもよくこれだけ私の嫌いな文化人ばかり集めたという感じだが(石坂啓を私は世界で一番、とは言わないが二番目くらいに嫌いだ)、大橋巨泉が辻元さんや土井さんを叩くのは可哀想だ、もっと悪い政治家がいる、山崎拓を叩け、などと言っていたのを見て、この男の政治センスのなさが浮き彫りになった感じがする。山崎拓の騒動は愛人疑惑で、道義的にどうこうという問題はあれ、犯罪でもなんでもない。辻元清美のアレはれっきとした犯罪なのである。ことの軽重がまるでわかってない。目立って叩かれるのも、社民党が普段、正義の味方的イメージを全面にアピールしているからこそ、その矛盾が目立つというだけの話ではないか。テレ朝の新コメンテーター井筒和幸は朝から茶の間に出てきていいご面相ではないと思うが、巨泉のこの言葉を“ありゃ偽善ですよ、悪いことは誰がやったって悪いんやがな”と切っていたのはよし。それにしてもどこのコメンテーターも、みんな揃って“こんなことが続いては国民は政治に失望して無関心になる”と言ってるが、本当かね? 私などは小泉内閣成立以来、こんなに政治って面白いものだったのか、と、毎朝新聞を見るのが楽しくて仕方ないのだが。それに、本当に国を憂うる者は政治が腐敗しきっているときに現れるって決まっているではないか。まあ、それがみんな一番怖いのではあろうが。

 フィギュア王の図版をバイク便で出す。荷物を取りにきた配達人がオタクの兄ちゃんで、私のマンションの玄関にいろいろ並んでいるグッズを見て大喜び。“うわ、コレ何ですか?”とか“どこ行けば売ってるんですか?”“高いんでしょうねえ”などとはしゃいでいた。それから仕事、最近の恒例で午前中は海拓舎コラム二本。昼は稲荷で。

 また食べると寝てしまいそうだったので買い物に新宿に出かけ、ビデオ屋をちょっと回り、伊勢丹に寄る。帰宅、メールチェック。四月からの編成変えで原稿の文字数などがレイアウトの関係上、いろいろ変更になる。原稿料の件につき、交渉していたところが数件あったが、どこもスムーズに了承してくれてホッとする。

 三時、時間割にてWeb現代Yくんと打ち合わせ。こちらは三時だと思っていったが、向こうは二時だと思い一時間待っていたらしく、帰ろうとしたところでうまく出会えた(あとで調べたら私の完全なカン違い)。図版ブツ渡し、今後の連載とその単行本化についていろいろ話し合う。『裏モノ見聞録』『怪網倶楽部』など、面白いところをランダムに紹介、というカタチではこのまま単行本を出し続けてはマンネリになるので、テーマを一冊分の分量ごとに絞ってはどうか、という話。あと、好美のぼるの話だの、何だの。裏ばなしもたっぷり聞かせてもらって勉強(何の)になる。月末にまた朗読の録音、二回目。一時間半ほど話して帰宅。

 と学会会誌の原稿を書かねばといろいろネタをあさるが、ちょっと考えがまとまらず。アニメージュ魂用のDVDを見直さねばとテレビの前に座るが、B級ホラーのものなどばかり見てしまってダメ。エロSF映画に笑いこける。

 結局何もかも半チクなまま、8時、K子と船山。主人がインターネットを始めて、自分の店のホームページを作ると張り切っている。プロバイダのことやコンテンツはどういうのを作るべきかなど、K子がいろいろ質問に答えている。ここの刺身は女性向けに量より種類を豊富にしてあり、今日はカツオにかんぬきサヨリ、タチウオ、甘鯛、カイワリ(鰺の一種)、ホウボウと六種もあった。かんぬきサヨリとはサヨリの太いもののことを言うのだそうである。いずれも仕込みの段階の塩のし具合が最高で身がしまってて美味。

 それからタケノコの煮物、甘鯛の天ぷらなどが出たが、まあこの店では普通、という味。特筆すべきは城下カレイ。出汁醤油を塗って焼いてあるからそのまま食べられるが、身がホクホクしていて、皮はむっちりと弾力があり、じわっと甘みが舌に染みる。ヒレの部分はカリカリとして香ばしく、小骨ごと食べてしまった。猫にでもなったかのごとくかぶりつき、頭と尻尾、それに中骨以外、食べ終わったあと何も残らない。ああうまいああうまいと馬鹿のように連発しながら食べる。もっともお値段もいつもより三割増しくらいだった。城下カレイも高級魚だが、ネットで調べてみたら、かんぬきサヨリなんてものは一般人の口にあまり入らぬ料亭向きの素材、とあった。ううむ、私らごときの食べるべきものでなかったか。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa