1日
月曜日
阿藤海の手帳
阿藤海の娘が、昔の父の役者仲間の家を訪ねて歩くという感動の名画。朝、7時半起床。朝食、チリコンカンのパックをオーブンで温めて。テレ朝のスーパーモーニングの司会が今朝から前田吟になった。朝からあのダミ声というのは、すぐ慣れるんだろうがなにか異質である。メールチェック。読者から、SFマガジンのエッセイの中のケアレスミスについて指摘。ケアレスというもの、なぜこんなミスをしたか、後から考えるとまったくわからないところが面白い。
午前中はまず海拓舎単行本原稿。それから表の通りにある弁当屋に出かけて、炊き込みご飯弁当を買ってくる。食べながら、今日のオタアミ用のネタをダビング編集。毎回間際まで、“今回はこりゃ、ネタなしだあ”とか思っているのだが、ぎりぎりになると、何かかにか、見つかるものである。LD、DVD、ビデオと、いろいろな素材をダビングするたびに配線をつなぎ変えなくてはならず、やや面倒。弁当はやはりまずく、半分まで食って後は残す。そもそもそんなに食欲がない。
3時、時間割。光文社ライターMくんに、マンガ家の師弟関係という記事でコメントインタビュー。あちらの作ってきた師弟リストを眺めると、師匠の方に、“技術を言葉にして論理的に教えるタイプ”とそうでないタイプの二派があり、それによって弟子筋の作風がはっきりわかれるのが面白い。単純に言えば、言葉にして教えるタイプの方からは師匠とはまったく違ったタイプの才能が育ち、仕事の中から体感で覚えなくてはいけないタイプからは、師匠の作風を濃く受け継ぐ弟子が育つ。4時半までいろいろしゃべる。
帰宅してすぐ支度にかかり、5時、家をまた出て新宿ロフトプラスワン。改装後に足を踏み入れるのはこれが初めて。以前楽屋がわりにしていた個室がなくなり、その分客席が広くなっている。とはいえ、そこの席からは客席をかなり斜めに見ることになり、ちょっとつらいかな、という感じ。そこの楽屋が無くなったので、二階の倉庫みたいな、天井の低いスペース(スタッフルームと階段でつながっているのが、なにやら“隠れ家”“アジト”というようなイメージでいい)で。早く来ていた柳瀬くんとバカばなし。大阪の方の古オモチャ屋さんで、オタアミを呼びたいと言ってるところがあるそうな。
新刊を持ってアスペクトのK田さんが来るので、とりあえず25部ほどにサインをする。講談社のYくん、Nくんも来て、物販スペースに本を並べる。眠田さん、岡田さん来。岡田さんは腕を三角巾で吊っている。驚いて訊いたら、交通事故だったらしい。乗っていたベンツが大破したそうな。ベンツ大破というのはそれだけで凄い事故だということがわかる。岡田斗司夫がベンツ買ったと聞いたとき、オタクにベンツというのは似合わないな、と思っていたのだが、警察が“ベンツでなければ命がなかった”と言われたほどの事故だったらしい。命なくすところを腕の脱臼ですんだのだから、ベンツ必ずしも高くない。それでも“もう車は運転しない”と言っていた。
知り合い続々。開田さん夫妻、ひえださん、IPPANさん、福原鉄平くん、国営放送Yくん、それからJCMのM田くん、セブンシーズのM川くん。扶桑社Oくんと鶴岡が、今度私が仕事する女性ライターのBさんを伴ってくる。Bさんは岡田さんとも以前会っているらしい。彼女を囲んで話がむちゃくちゃにはずみ、柳瀬くんがひっくり返って喜んでいた。眠田さんが韓国のフェニックスキングというロボットアニメを開演前に流す。あまり面白くないのでネタには出来ないから、ということで流したのだが、途中で宇宙を飛んでいる宇宙船の窓を主人公がカチャ、とあけるシーンがあり、私と岡田さんが“うん?”と、引き込まれる。それから先、爆笑もののシーンが続き、眠田さんが“しまった、やっぱりみんなで見ると笑えるな、一人で見てるとこういうのは落ち込んでくるんで”とくやしがった。岡田さんは腹が減った、と柳瀬くんに牛丼を買ってきてもらう。私も昼飯が少なかったので小腹が空き、一個わけてもらって半分だけ腹に収めた。
7時半、開演。開場は以前のようにギチギチではないが、ほぼさっくり満員。二日連続公演の、今日は初日でネタ編ということだったが、久しぶりのアミーゴスなので話がはずみ、それがまたクイツキがいい。何回かギャグで手が来る。気持ちのいい客層である。ネタ的にはシンプソンズのSF大会ネタ(眠田)、CGアニメマンガ(岡田)、セバスチャンビデオ(岡田)、ジャンボーグA対ジャイアント(唐沢)。そこで休憩に入り、私は新刊のサイン。ウラグラと怪網倶楽部、それと同人誌新刊。それぞれ30部ほどにサイン。
で、後半。パワーパフガールズのネットの注意番組、伊勢田監督グッズ(眠田)。岡田さんはさっき楽屋で牛丼食い、さらに壇上でカレーライスとって食べていた。怪我の腹っ減らしというのは本当だな。いろいろ雑談盛り上がり。高橋敏弘ばなしがウケたのがよかった。岡田さんも眠田さんも、古書業界名物の高橋氏が特撮界名物の高橋氏と同一人物であるということに今日初めて気がついたらしく、岡田さんは何度も脱臼している右腕でテーブルをバン、とはたき、そのたびに“いててて”と叫ぶ。何か、3時間半があっという間に過ぎて、まだしゃべりたりなかった気がするくらい、今日は私の舌がよく動いた。
テンションあがってアドレナリンの血中濃度が増大したらしく、少しハイになったまま打ち上げに行く。眠田さんは明日に体力を温存するため、岡田さんは明日娘さんと『ロード・オブ・リング』を朝から観にいくので帰り、私ら夫婦、福原さん、開田ご夫妻、扶桑社Oくん、鶴岡、Bさん、それに柳瀬くんというメンツで青葉。Bさんがここでも話の中心で、共通の知り合いの話で柳瀬くんと鶴岡がもう、嬉々として彼女の話に聞き入っている。私も依然ハイテンション、酒は進むがものをあまり食べられない。鉄ちゃんが結婚出来ないという話になって、柳瀬くん(鉄ちゃん)が、“いや、それを言うなら怪獣マニアだって結婚できないじゃないですか”と言うと言下に開田さんが“そんなことはない。オレは結婚している。アンタはしてない!”と指さし、柳瀬くん、風船のようにヘナッとしぼんでしまった。1時半、帰宅して倒れ込む ように寝る。