26日
火曜日
まぼろしの紫外線
紫外線が見えた? そんなバカな。朝7時50分起床。まだ眠い。寝が足りてないのではなくて小雨のぱらつく気候のせいだろう。朝食、オートミールに青豆のポタージュ。新聞を隅まで読むが、辻元問題、読売の攻撃的な論調に奇異感を抱く。ここ、そんなに彼女がキライだったか? 余録欄に、釈明書について“久しぶりに胸の悪くなるものを読んだ”などと書いてある。鈴木宗男のときはまあ、こういう政治家をマスコミが袋叩きにするのはありがちなこと、と思っていたが、ツイ先日まで正義の味方だった人物がこう手のひらを返して罵倒されるというのは、辻元サンにはお気の毒だがジャーナリズムの本領まさにここにあり、という感じで面白いったらない。
エアコン、完璧に故障。暖房を入れようとしてもずっと霜取りの状態のまま。ホームエステートに電話し、折り返しメーカーから電話。明日伺う、ということでよろしいでしょうか、と言うので“今日は寒いんですがねえ”と哀れっぽく言うと、“なるべく暖かいものをお召しになって”とか言う。K子が白くてふわふわした、ちょっと着ているとこを見られるのが恥ずかしいような上着を出してくれた。パソコンはメモリいじったらまあ、今日は普通に作動する。
日記つけ、すぐWeb現代やりはじめる。ずっとニュースを脇で流していたが、辞職勧告決議案を出してくれという主張は、自分からやめるのではない、国会にやめさせられるのだ、というカタチにこだわっているということだろう。・・・・・・どこかで聞いたというか、これは三鷹ういサンが“私が自分で関係を切ったのではない、角川に切られたのです”と主張しているのとおンなじではないか。こういうパーソナリティの人物というのは案外多いように思う。落ち度があったと認めることを拒否し、ただ組織が決定したことには従うという形式を踏んだだけだ、とすることで自分のプライドを保つ、というやり方である。プライドの基礎が自身の中にある、いわゆる“強い人”と世間から思われている人ほど、いざこういう場に連れ出されると他人の迷惑を考えずにゴネる。人間にとり、みんなの意見に流されやすい、主体性のなさが逆に社会性につながるものなのかもしれない。
1時、10枚強、書き上げてメール、昼は参宮橋でノリラーメン。メンマもつけてもらったががこれはなくもがな。わきの商店街で買い物。ここもずいぶん変わった。十数年前、結婚してここに居を構えたときには死んだような街で、家具屋に行ったら鉄人28号の本放送時のころの茶碗だの湯飲みだののデッドストックがぞろぞろ出て来て仰天したものだ。四半世紀、棚の商品を入れ替えてなかったことになる。
帰宅、海拓舎原稿。仕事関係メール数件、インタビュー依頼などの電話。QJから図版の件でまた電話。昔担当だった編集が退社して別の働き口を探しているにつき、その面接先への紹介メールの返事など、雑事多々なり。廣済堂のIくんは六本木で初めてトツゲキラーメンを食い、衝撃を受けたとか。
6時ころ、辻元清美議員辞職の報が流れる。こうなると、あれだけのキャラクターが惜しい、という気になる。私は人間社会は寄席であると思っていて、いろんな芸人がとっかえひっかえ出てきてくれないと面白くない、と考えるものである。粋な芸人もいれば野暮だがにぎやか、というのも要る。色物は絶対必要だし、女性も出ないと高座が華やかにならない。上手い芸人ばかりだと聞いていてくたびれるので、その合間々々にはそれほど上手くないのも挟んでおくのが、気の利いた席亭の腕である。昔ある演芸番組のプロデューサーから、演芸批評家の悪口を聞かされたが、批評家というのは上手い芸人しか見ようとしない。あれでは木を見て森を見ずになって、寄席は衰退してしまう・・・・・・と、彼は嘆いていた。私はそれを、ヨノナカのあらゆるところに敷衍して考えたい。世間には辻元清美を必要とする人々がいる。もちろん、鈴木宗男を必要とする人もいる。そのニーズの多様さに対応するために、あれだけの数の国会議員がいるのである。国会議員全員が清美や宗男になってしまっては大変だが、その両端が共に存在しているところに国会のフレキシブル性がある。
7時半きっかりに辞職会見、リアルタイムで流していたのはNHKのみ。ここらへんは流石である。涙を見せぬ会見は、大泣きの鈴木宗男と対照的。ここまで正反対だというのが実にいい。共に辞職して、コンビで政治漫才をやったらいいのではないかと、いや、これは半ばマジで思う。記者団の“これじゃ会見になってないよ!”という、オノレに絶対的正義を背負っての糾弾の声、やはり響き醜くし。かつての辻元サンの声がそうであったように。
8時、NHK前のソバ屋花菜。思った通り、番組変更やなにかで職員は局に足止めで、空いている。その後、三々五々入ってきたが。寒いので湯豆腐に豚ぷらおろし、ブロッコリを豪快に半分に立ち割って蒸したやつ。ソバがちょっと腹にきつかった。生小二ハイ、吉乃川二合、そば湯割焼酎一パイ。K子と、須雅屋の奥さんの貧乏エッセイのうまさなどの話題。新しく入ったバイトの若い男の子が、以前うちで使っていた黒田くんにソックリでちょっと驚く。