12日
火曜日
アンクリ・トリス
柳原良平、ヌードを描く。朝7時40分起床。朝食、サラダスパゲッティのペペロンチーノ。ミルク抜きのコーヒー、ポンカン半個。小泉首相は結局鈴木宗男をシッポ切りして見殺しにするつもりらしい。鈴木宗男一人をあまりに悪の権化腐敗の帝王に仕立て上げてしまうと、彼を切ったことで自民党も外務省も禊をすませたことになってしまう。ここらへん、野党とマスコミが鈴木いじめに走りすぎたためなのだが、そのことを辻元清美とかはわかっているのか。結局、日本人は誰か顔を持った個人が諸悪の根元で、それさえ倒せば全てがよくなるという、旗本退屈男や水戸黄門の映画みたいなストーリィ以外にイメージが出来ない。ああ、大衆文化国家なるかな。
シャワー使っている最中に筑摩書房Mくんから電話。文庫版後書きの催促。急いで書き出す。何かリキが入って、1時までかかって5枚。植木氏の解説なみの軽快さは出せなかったが、まあまあ、読みごたえのある内容には仕上げたつもり。あと青稿のチェック。本来青稿ではあまり大掛かりな修正を入れてはいけないのだが、読み返してやはり一人称の“僕”が気になり、全部“私”になおす。数年前の文章だが、改めて読んで、今の私のエッセイなどの構成とかなり変わっているのに驚く。原因はこの日記。これをつけ始めてから、はっきりと私の文章の性格は変わってきている。
昼は六本木に出て雑用仕事があったので、それを済ませて近くのラーメン屋に飛び込み。若いのが二人と初老の白髪男がカウンターの中にいる。てっきり白髪男が主人だと思っていろいろ質問したが、作りにかかったのは若い方で、おじさんはその若いのに指示を仰いでいるアルバイトだった。とんこつラーメンの店だが博多とんこつではないオリジナルである、とわざわざ貼紙がしてある。その他、やれ肉汁入りと肉汁なしは最初に言えとか、魚だしもあるとか、ギョーザとラーメンを注文したときにはギョーザの方を先に食えとか、貼紙がとにかく多い。以前博多で入った店もこうだったが、貼紙好きは九州の特徴か? 塩チャーシューを食う。まあまあの味。
明治屋で買物をして帰宅。海拓舎やらねばならんのだが、SFマガジンもいい加減切羽詰まっている。こちらからかかる。今日はパトレイバー試写の最終日だったが、行けず。これは最初から自腹切って劇場で観るつもりだったからいいが、JCMのMくんからの女子プロレス観戦の誘いも断っている。まことにもったいない。原稿ガリガリ。不思議とどこからも催促電話はかからず。あ、コミックスのKさんからはありました。
お仕事依頼、双葉社から『クレヨンしんちゃん』ムックで『オトナ帝国』につき、切通理作さんと対談してくれとのこと。応諾。それとこれはお仕事とは違うが太田出版QJ誌から、高橋敏宏のことについて教えてくれとの電話。私のマンガに“親の名知らずのT橋T明として出てきた人物である(あのときは私、彼がやっていた古書店から本を買っていたので名前をちょっと変えた)。インタビューしたいんだそうな。物好きな特集をするものである。
夜までかかってSFマガジン十枚アゲ。ワープロが途中でフリーズして、原稿用紙で2枚分がパーになるアクシデントあり。9時、新宿すがわらでK子と食事。ぼたんエビが甘くて大きくて美味だった。こないだ店をやめたジュンちゃんがケーキ下げて親方に挨拶に来た。明日、東京を引き払って故郷の長野の水産会社に就職するそうである。彼とも6年の顔なじみである。いろいろ話す。この店にこないだ、私のこの日記を読んできました、という客が来たそうだ。サバとアナゴがおいしかったと言って いたとのこと。