裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

10日

日曜日

クンニリングスすれども統治せず

 政治には興味がない、アレだけじゃ。朝8時起床。ゆうべ寝る前にスカイナー鼻炎カプセルをのんだのだが、これが薬効アラタカに効いて、今朝はまるでクシャミが出ず。考えてみればおとついの晩は肩凝り用にとイブをのみ、鼻炎薬はのまずに寝た。やはりクスリは効くなあ、と薬局のせがれながら改めて思う。ただし、マオタイの二日酔いと鼻炎薬の相乗効果か、頭が多少クラクラする。朝食、オートミールとキャベツのスープ。サンデーモーニングは明日の鈴木宗男の証人喚問で持ちきり。江川卓が何事か意見を述べていた。この番組、スポーツ担当の江川や、政治経済にどれだけの識見を持っているのか知らない秋野暢子などにコメントさせるのがどうも、と思っていたが、この件に関してはたしかに全国民全マスコミから袋だたきにあった経験のある江川なら、鈴木宗男の胸の内が多少なりと理解できるかもしれない。

 母から電話。とりとめもなくいろんなこと。私の肩凝りは小青龍湯のめばいいと豪貴が診断したそうだが、毎朝のんでいて凝っているのだ。12時、クラクラが極限に達して少し寝る。30分ほどじっとしている。妄想がいろいろ浮かぶ中にいいギャグが出てきて、天上向いたまま大声出してゲラゲラ笑ったが、後から考えてみると大したものでもない。だいぶよくなったのでノソノソと起き出し、メシを食う。パックのごはんをレンジで温め、札幌から送ってきたサバの味噌煮と大根おろしで。これが滅法うまくて、水木しげるのマンガのように鼻息をならしながらアッという間に食べ終わってしまう。もう一杯食べようか、と思ったが肥満を鑑みてやめ、小さいセンベを二枚齧ってデザートにする。

 それから仕事。ゲラチェックなど雑用仕事がいろいろある。資料調べに書庫に入り一番奥の山の中からいろいろとひっぱり出す。あれ、こんな本買っていたか、と忘れていたようなのもあり、拾い読みしているうちに面白くなってきてしまい、原稿そっちのけで数時間、それに熱中。電話あったが出もしない(後でかけなおしてきたが鶴岡からだった)。せっかく時間をかけたのだからモトを取ろう、と乞食根性を出して扶桑社の『愛のトンデモ本』用の原稿をそれをもとに書き出す。ノッてきて、400字詰め10枚くらい書いてしまった。

 いかんいかん、もっと〆切のタイトなやつからやらねば、と、フィギュア王飛び込み原稿に手をつける。手の内のテーマなのでサクサク書いて、あと二行、というところで〆切にもう一日、余裕があることに気がつき、放擲。余裕があるときに急いで書くことはない。また書庫に籠る。数学者の吉岡修一郎が昭和26年に書いた文章の中に、“近頃のウェル・ブレッドな青年男女は”という文句があり、吉岡はこれを“エサのいい”と訳しているが、これは“WELL BRED(良い家で育った)”のことだろう。それをBREAD(パン)がいい、つまり栄養の足りている、という意味に解釈しているのである。吉岡だけでなく、この言い方は当時の本でよく見る。パンがいい、という方がそのころの日本人にはイメージが近かったのだろう。戦後いつごろまでの言葉だろうか。

 昨日のはせさん治氏の訃報、あちこちのニュースネットで見て回るが、“『鉄腕アトム』のお茶の水博士の声優で知られる”と書いてあるところが多い。あれは勝田久のはず。大もとの情報源が間違っているのだとは思うが気になる。それとも、何かでお茶の水博士役をやったことがあるのか?

 8時過ぎ、仕事場から戻ったK子と一緒に参宮橋に行き、クリクリで夕飯。蒸し野菜、羊のロースト、カジキマグロのオーブン焼きにクスクスまで食べて、かなり腹がくちくなる。K子といろいろ話す。なんだかんだあるが、結論はもっと稼がねばならぬということ。ワインにいい気分に酔い、帰り道、帰ったらフトンが敷いてあってすぐ寝られるんだ、ということがトテモうれしく感じられた。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa