裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

25日

日曜日

マーチャントの日記

 手塚治虫は商売人としての才覚もあったねえ。朝、7時半起き。起きたとたんに、風邪が治っていた。なんか不思議。ゆうべ風邪薬をどっさりのんで寝たせいか、何か時間の概念がおかしく、かなりグッスリ寝た、と思うと三○分も寝ていなかったりして、一晩中、奇妙な夢を見続ける。ネットのHPをリンクつながりでえんえんめぐる という夢。朝食、クロワッサンにレバペースト。

 日記つけ、週アスの図版ブツをK子に渡す。世界文化社のDさんから、風邪のお見舞いということで天然酵母のパンがどっさり届く。あと、やっと『挿絵画家鰭英朋』が届いた。注文からかなり時間がかかったのは、出版者がスカイドアなどという、あ まり聞いたことがないところだったからだろう。

 10時、家を出て、お台場ビックサイトで『トイフェスティバル』。会場をひと回りして事務局に行くと、岡田さんも額田さんもヒーヒーと言っている。郵便事故で、今回のフェスティバル限定商品のひきかえ券が届かなかったらしい。朝から苦情の山で、その応対に死にそうだったという。限定販売品について、“聞いていないぞ!”と文句つけてきた人がおり、“ネットと、『フィギュア王』では告知してますが”と言うと、“ネットもやらず『フィギュア王』も読んでいない者には生きる権利がないと言うのかッ!”と詰めよられたそうだ。限定フィギュアで“生きる権利”と言われても、そら困るだろうな。

 売り場をいろいろのぞく。可愛いメガネの女の子に、握手求められたりしてうれしかった。古いパチモンとかのぞいていたら、隣にいる客が“ワッ”と驚く。と、思ったらなをき夫妻だった。やはり兄弟、同じものに興味をしめす。藤井ひまわりくんと回っているらしい。昔、うちで使っていた鉄人の絵のついたスプーン、ディズニーのプラスチックカップなどを見て、なをき、うーむと感涙状態。

 パチモン系グッズ、なんだかわからない外国製人形など買い込む。総じて、私やなをきの世代のキャラクターものはもう、ほとんどが手の届かない値段になってしまっている。外人のコレクターが大枚の金でキャラクター商品を買い集めているのもあちこちで目についた。“高くなったねえ”と額田さんにボヤいたら、“カラサワさんに責任の一端はあるんですから”と言われる。紙モノはそうかもしれぬ。サインブースは、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』でロボット(ランド・カルリシアンの腹心)を演じたヒトのサイン会。去年聞いたハナシではマーク・ハミルが来るということであったのに、随分シボんだな。とはいえ、『ギャラクシー・クエスト』ではないが、こういうサイン会などで世界を回って食べていかれる、というシステムはそれはそれで結構だと思う。昭和ガメラの湯浅監督など、あちらのコンベンションでの待遇のよさに驚いていたほどだ。潮健児さんなど、日本にもこういうシステムがあれば一生食うに困らなかったであろうに。

 北原さんなどに挨拶。編集部の女性に天然酵母の豆パンをあげたら、評判が大変よかった。餡パンより上品な甘さである。2時、そこを辞して、青山により、少し買い物。家に帰って、バテたように(バテたのだが)寝る。電話数回あったが、出るたびに、FAXの間違い電話。

 夕方から原稿書き出すが、何か進まず。チンタラとなる。8時半、家を出て、東新宿。幸永でホルモン。今日も満員だったが、行ったらすぐ、入れ代わりに出た組がいたので助かる。例により極ホルモン、テールスライス、ゲタカルビなど。ホッピー二ハイ。冷麺。わきの席のカップルは入るとすぐにシビレを注文していた。シビレ好きなカップルというのもなかなか凄い。換気扇のフードからボタリ、ボタリと真っ黒な油が落ちる。店員さんに言って拭き取ってもらったが、帰るころにはまた、いまにもたれ落ちそうなまでにたまっていた。店員さんの肺にもこの油、たまっていまいか。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa