12日
月曜日
他人のファンタジーで相撲を取る
他人の創作したAFシリーズを受け継いで執筆すること。朝3時に目が覚め、しばらくフトンの中で輾転反側するが、また眠りについたら、今度は7時半まで熟睡。朝食はマカロニサラダサンド。朝刊を見るに、オアフ島で原潜と衝突・沈没した水産高校の実習船の事故の記事の扱いの馬鹿デカいのに一驚する。国内の事故だって9人程度の行方不明はザラにあるだろう。相手がアメリカ軍で、叩き放題ということでデカデカと扱ってるんだろうが、同じ日に福島だかどこかでやはり沈没した船の記事の扱いに比べて、いささか均衡を逸しているとしか思えない。
K子に弁当、オカズはジャガイモのキンピラ。午前中、なにもせず。いかんなあ、と思うが体が動かぬ。ロンドンに関する資料をひとわたり読めただけが収穫。昼は昨日の鴨湯豆腐の残りの汁に焼いた餅を入れ、雑煮にして食べる。出汁が染みて美味。
午後から、ナンプレとSFマガジン原稿。平行してやりだす。鶴岡から電話。対談本のオビ文のつけ合わせ。ライターの雑事に関していろいろ話。ライターとはエラそうなことを言うものに非ず、雑事をぼそぼそと片付けていくものなり。
結局、ナンプレのみアゲて、マッサージに行く。今日は太った、いかにも力のありそうなセンセイがグイグイと揉み込んでくれる。“だいぶ張ってますねえ”“お疲れのようですねえ”と言われて、少しいい気分になるのは病気自慢のようであまりよろしくない。とはいえ、せっかく来たんだから、ひどい状態になっていないとソンのような気になるのである。サウナに、コント赤信号の小宮孝泰がいた。私の頭の中のイメージはまだ『ひょうきん族』に出ていた当時のものだから、それにくらべるとだいぶ老けたなあ、という感じ。確か私と二ツ違いだから、まだそんな歳でもなかろうに(いや、もういいトシなのか?)。
K子の仕事場にとって返し、彼女のパソコン環境をいじってくれていた安達Oさんと合流、大久保グリーン食堂でクリクリの絵里さん、ケンさん、そのお友達の三人と会食。世界文化社のDさんがK子にメールで詳細なメニュー紹介を送ってきてくれており、それに従って注文。“焼き豆餅鍋”なるものを取る。豆をスリ降ろした、ゴ汁のようなスープの中で肉とキムチを煮るもので、不思議なおいしさ。ケンさん、Oさんと三人での映画論議となる。ケンさん『怪傑はやぶさ頭巾』なる映画の話をする。時代劇かと思ったら現代劇で、ビルとビルの間をマスクをかぶった正義の味方がロープにぶらさがってターザンのごとく飛ぶシーンがあったという。これ、筒井康隆が子供のころファンだったという、ハヤブサ・ヒデトの映画ではないか。実際に見ている人というのに初めて会った。