裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

14日

水曜日

エコエコアザラシ

 油まみれのアザラシを救おう。エコエコアルジュナ、というのもある。まあ、どちらにしてもタイトルにするほどのシャレじゃない。朝7時起き。夢の中で連載原稿を一本、最後までアゲる。情けない。ホントに死ぬぞ、こういうことしてたらと思い、起き出すが、なんと昨日に比べて体調ぐっとよろしい。昨夜の鳥スープが効いたか?朝食、サーモンとマカロニサラダ。

 体調回復の理由はやはり天候にあるらしい。すっきりと晴れあがり、気圧が高く、非常にさわやか。能率がそうなると極端にあがり、K子に弁当(和風ハンバーグ)など作った後、午前中だけで対談本コラム五本、十二枚半、スラスラとアゲる。毎日このぺースで書ければあっという間に金が貯まるんだけどなあ。砂漠にでも行って書きたいくらいだ。

 それ終えて、雑誌キャプション原稿ひとつ。電話数件。いずれも軽くクリアして、口笛吹きたいような気分で、参宮橋でチャーシューメン食べ、その後新宿に出る。北海道新聞用の書評本を買いに出る目的だったのだが、その前に前から探していた家具を見ようと思い、丸井や伊勢丹などデパートを回る。ところが事務用のものがどこにもなく(新宿も渋谷もスカしたリビング家具しか置いてない)、怒って本を見るのを忘れて家に帰ってしまう。

 帰って缶コーヒー飲んで気分を変えて、SFマガジン。これもスイスイと行き、8時にはアガる予定、と目算していたら、道新編集部Mさんから本、どうなりましたと電話。すっかり忘れていたことに気がつき、あわてて外へ飛び出し、パルコブックセンター、大盛堂書店など回るがいいのなし。これに8時まで時間使ってしまう。仕方なく、手持ちのものを扱うことにして、帰って書名のみ(図版を入れねばならないので先に伝えておかねばならない)メールし、またSFMに戻る。結局、K子と8時半待ち合わせの予定を三○分繰り下げてもらって、なんとか完成。メールして、それっと飛び出して、東新宿、幸永。今日は珍しく空いていた。

 ここ、開田裕治夫妻も十日に一度くらいの割合でやってきており、そのうちカチ合うだろうと思っていたのだが、今日K子が“幸永行くの〜”とメールしたら、“あ、ウチもそうなんです”ということになり、四人で食事会となる。うめえうめえとホルモン、豚骨、豚足、テール、豚バラ、冷麺など。あやさんも気圧支配下人間で、昨日はまるで原稿書けなかったという。二人とも今日は逆にハイプレッシャーハイで、彼女はマッコルリ、私はホッピー、がぶがぶやってガツガツ食い、しゃべるわしゃべるわ。うまいものも数あるが、ここのホルモンや冷麺ほど、食っていて満ち足りた気持にさせてくれるものはちょっとないのではないか。麻薬がまぶされているのではないか、とさえ思う。おまけに、罪悪感感じるほど食って飲んで、一人四○○○円。

 帰ってメール確認。SFマガジンのは送られていなかったこと、判明。こっちの手違いか。やはりハイになってるときはイケマセン。小野のひとみちゃん(姪)から、自主制作CDのジャケイラスト、描いてくれる人を紹介してほしいとのメール。送られてきたグループ『3B(スリービックリ)ズ』の写真のインパクトはスゴかったです。あ、インパクと言えば(強引)、インターネット博覧会大ゴケで糸井重里氏雲隠れ、とかいう噂ですね。御愁傷さまです。などとハイなままフトンに潜り込んで、二見書房『このマンガにハマる!』2001年版の神田森莉の『2001年版マンガ界マル非重大ニュース』を読んでたら、そのハイっぷりに、私のハイなどカスみたいなものだ、と思えてきた。バガボンドの印税を計算して(五億二四○○万円)、“今あたくしの預金残高が二万二七九四円しかないんですが(実話)、どーしたらいいんでしょうねえ? 金貸してください井上雅彦様!”などとやる自暴自棄マンガはまさに神田森莉の真骨頂。

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