8日
火曜日
もしも月経がアガったら
元唄知ってる人、いるのか。朝7時半起き。朝食例の如し。小青龍湯、マリオンカルシウム、百草胃腸薬、プラセンタ錠などの夏バテ防止用薬ゾロゾロと服む。座談会依頼のメールなど対応。SFマガジン原稿用資料、書庫にもぐって探す。そろそろ世間は夏休みか、知人や仕事先などから、しばらく旅行に行ってますとか十日間ほど連絡取れませんなどという通知くる。窓外の街も心なしか静かである。
11時ちょっと過ぎ、井上デザイン平塚くん来宅。ウェブサイト手直しのこと少々打ち合わせ。盆あけくらいにホンのちょっとリニューアル。平塚くんからこのサイトへの注文、“最近、料理のレシピがあまりないですね”。がんばって書くことに致しましょう。
昼飯は麦飯にタクアン、コブのツクダニ、ナスの味噌汁。暑さギラギラというさなかに散歩に出る。骨董家具の店を回るが、60年代調のものにやはりクラッとくるのはインプリンティングかねえ。青山ABC冷やかす。買いたい本はあるが暑くて、重い荷物を下げて帰る気がしないのでパス。文庫の棚で『古本マニア雑学ノート』、かなり動いているようなのを確認して、帰宅。そしたら幻冬舎Sくんから、売れ行き好調とのことで早々と増刷通知あり。初版の奥付は“8月15日”になっているから、まだ初版も発行されないうちに増刷発行なわけである。なんだかタイムパラドックスのようだが、何にしても売れてるということはケッコウ。
4時、時間割にてメディアワークスTくん。単行本打ち合わせ。製作費と定価のかねあいでやりとり。私は現今のサブカル本の価格が低め設定であることにかなり不満を抱いており、文学書なみの定価をつけても売れるものは売れる(売れないものはいくら安くしても売れない)と思っているのだが、やはり営業は高めの値段(今回の本はカラー写真がたくさん入るのでカネがかかるのだ)つけることにかなり臆病になっている。まだ今回は結論出ず。雑談で東浩紀氏のウワサ、いろいろ聞く。東本書いてみませんか、と言われるので、そのうちに、と答えておく。
5時過ぎ、新宿でサウナ一時間。汗流しながら瞑想。次の本の構成をもう一度練りなおす。考えてみればもう、出版予定がかなりのダンゴ状態である。貧乏症で、来た仕事をなんでもひきうけるからこうなる。仕事がつまってないと安心できないというのはよくないんだがな。
高橋治『大地が厨房だ』(集英社文庫)読了。過激的本物指向というか、大量流通製品を作るもの、用いるものへの舌鋒が容赦ない。ビン詰めのダシでソウメンを食っているわれわれ(読者)に“そのビンを頭にぶつけて、あの世へどうぞ!”などと書く。ハマチの刺身について“大体、東国育ちはあんな薄気味の悪いものは好まない”と切って捨てる。味覚は関西、という意見に異を唱え、“薄口みたいな塩っ辛い醤油が”使えるか、とタンカを切る。著者は酒を飲まない人のようで、“大体、酒を口にする人間の舌ほどいい加減なものはない。これは私の積年の持論であって、断乎、それを撤回、修正する意思は持ち合わせていない”などと吠える。これで読者はついてくるのかいな、と読んでいて心配になるほどである。しかし、これくらいガンコにものを主張する人間の言だからこそ、そこに信頼感が生ずることも確かである。
9時夕食。昨日、船山でもらってきた自家製の天つゆを用いてソウメンを食べる。これなら高橋治も納得するだろう。他に夏らしくニガウリと豚肉の炒めもの、カジキマグロのトマトシチュー。ビデオで大映映画『白蛇小町』。毛利郁子の蛇女優シリーズ第一弾で、第一弾らしくそれほどグロでもなく、退屈。毛利郁子は助演であって、主演は『赤胴鈴之助』シリーズでもコンビだった中村玉緒、梅若正二だが、梅若のセリフ回しのヘタクソ極まることに仰天する。
・今日の料理 カジキマグロのトマトシチュー
厚手の鍋にオリーブオイルをたっぷり敷き、タマネギのみじん切りと、ニンニクをひとかけ入れる。オリーブオイルに香りが移ったら、カジキマグロの切身を入れて、ゆっくり鍋をゆすりながら、切身の表面が軽く焦げるくらいに熱する。鍋にトマトの水煮、白ワイン少々、コンソメスープを足し、二十分ほど煮る。味をみて、魚醤(なければ醤油)少々、コショウで味つけ。オリーブオイルをケチらずたっぷり使うと地中海の味になる。