2日
水曜日
ひとつツンドラ母のため
タイトルに意味はない。朝7時半起床。寝違えたか首のあたりが痛い。朝食、ハモン・イベリコを田舎パンに挟んで。イベリコというのはスペイン語でドングリのことだそうで、ドングリをたらふく食わせて太らせた豚で作った燻製ハム。宇多田ヒカル倒れたとか。ストレスだろうなあ。鶴岡から、“機能はショッパイ授業ですいませんでした”と電話。今日はブチ切れて飛ばすそうである。ただし、私は仕事。
おとつい、神山町を歩いたら、八月一日開店の本屋があった。広告が新聞に挟まっていたので見ると、ブックオフ店である。名前が“闘牛百科書店”。場所柄だけに東急百貨店のパロディなんだろうが、なんちゅう名前だと思ってチェーン店を見ると、どこのもみんなふざけたような店名がついている。高田馬場にあるのが“キノコノクニヤ書店”。祐天寺のが“あたた書店”、学芸大学が“本とうです”で、荻窪と西荻にあるのがそれぞれ“象のあし”“ねこの手書店”。いったいどういう者が経営して いるのか?
十時に部屋掃除のおばちゃんが来る。仕事場は私以外手を触れられないので関係なく仕事。薬局新聞一本。某社編集Tくんから電話。某社で出す予定だった共著本(私も執筆)が、某社の都合で出版できなくなったので、他の出版社にどこか周旋をお願いできませんか、ということ。ちょっと当たってみましょう、と返答しておく。
原稿をバリバリと書く。三本くらい童子信仰(わ、こんな文字にいきなり変換)である。目がすわってくると同時に首の凝りがひどくなってくる。痛みはあまりないが首が上に向けられない。水を飲むときは背中ごと仰向けに反る。『大いなる幻影』のエリッヒ・フォン・シュトロハイム状態である。寝違いか、目の疲れか、肩凝りが首にあがったか、それとも何か別の原因か。コンドロイチン錠をのむ。昼はお茶漬け。
4時、時間割にて海拓舎Fくん打ち合わせ、書き上げた分の原稿見せて、今後のスケジュール確認。Fくん、テープ起こしの原型をほとんど留めていないのに驚いていた。雑談しばし。家へ帰って、首をいたわりながらさらに仕事の続き。パソコンの上にかけてある時計を見るのがひと仕事。某社Tくんに電話。今朝相談を受けた出版周旋の件、ひょんなことから引き受け手がスンナリ決ってしまったのである。向こうも早いのに驚いていた。こういうこともある。太田出版のと学会本、担当書の選定に入る。いろいろと今後の計画など考えるが、考えるより手を動かすことだ。考えすぎる奴というのは、考えることで何かが達成できると思い込んでいるが、実は考えるという行為は行動の阻害以外に役立っていないことの方が多いのである。
仕事用ビデオ、数本飛ばしながら見る。『エンサイクロペディア・オブ・ホラー』のダリオ・アルジェントインタビューの吹替えが青野武で、これが大爆笑の傑作。週刊読書人用原稿書き上げて、7時半、家を出て、青山で買い物、それから神宮前まで歩く。今日は神宮外苑で花火大会、どどどど、というとどろきが耳に響く。首が痛いので上を見上げられず、今年の花火は音で聞くだけ。K個がハナコで選んだ、青山のSEIZANという寿司屋。二日続けて寿司だが、ここはダイニング・バーといった感じの店。カウンター八席、テーブル一組という小態な店である。つまみのサンマ刺しや桜海老は大したことなかったが、ネタに煮はまぐりがあるのがうれしい。二回頼む。酔っ払うにつれ、首の痛みは薄らいでいく。すだち焼酎を三バイ、生ビール、吟醸酒。帰って痛み止めのんで寝る。夜中に喉が乾いて起きたが、念のためもう一度痛 み止めのむ。