3日
木曜日
ナチスドドイツ
「ナチの戦犯隠れ家追われいまだに住(ジュウ)では苦労する」。朝7時半起き。朝食、キノコスープ煮。朝、週刊アスキー一本。首、まだ痛むが昨日よりはだいぶ調子いい。原稿書いている最中はテンション上がっているので感じないが、書き上げたあとで、ゆうべのんだ痛み止めが効いてきたらしく、しばらくボーッとして何も考えられない状態になる。札幌の豪貴からメールで、葛根湯のドリンクを三本、イッキ飲みするといい、と教えてくれた。
枕はずして寝ころがりながら、『ミア・ファロー自伝』など読む。再読だがオモシロイ。出てくるメンツがダリだとかシナトラだとかホロヴィッツだとか、もう有名人ばかり。それがみんな精神病。著者自身もかなりアブナイ。ホロヴィッツはどんな一流レストランに行っても同じもの(ヒラメと茹でたジャガイモにアスパラガス、プリン)しか食べず、食事をしている最中に必ずニューヨーク・タイムズを運転手に買いにいかせる。これを読まないと眠れないからで、店に入り席についた途端にタイムズはあるだろうか、と不安になる。家に客がくるとまず最初に天気のことをたずね、応接間で会話をしているときも十分おきに電話をかけて天気予報をきく。毎晩二本、ビデオで映画を見てから寝るのが日課だが、そのビデオはビデオ屋が毎日配達してくるもので、内容はまったく覚えていない。自転車を見かけると笑いがとまらなくなる。うーむ。ウディ・アレンも当然のことながらキチガイである。排水口が真ん中にあるシャワー室では怖くてシャワーを浴びることができない。ある家を指さして、ここは批評家のウィリアム・バックリーの家だ、と説明し、しばらくしてミアがその家の前で、ウィリアム・バックリーの家はここだったかしら、とつぶやくと、烈火の如く怒り出して彼女を罵倒する。で、結局が例の養女との不倫になるわけだが、その関係がバレたときの彼のセリフや態度がまさに彼の映画そのままと言った感じ。映画と現実が入り混じったような奇妙な感覚にとらわれる。
1時半、家を出てチャーリーハウスでパイコートンミン。2時、時間割で学陽書房Hくん。景気の悪い話いろいろ。青春小説を書いてみないかという話。非常に面 白そうだが、問題は執筆時間とこっちの情熱。もう少し気分をノセてくれてからにしたいと思う。モノカキなんて犬と同じで、おだてて褒めあげりゃチンチンでもおまわりでも何でもする。
一旦家に帰って、SF大会の準備など。4時、また時間割で講談社ウェブ現代Iくん。先日送ったサンプル原稿は鬼と言われる編集長も面白いと言ってくれたそうで、まず安心。ただし、ウェブマガジンだから、これから原稿のスポンサーを探さねばならないとか。いろいろ大変なんだなあ。暑いうちには連載開始を、ということなのでヨーロッパ旅行にぶつからないよう、原稿を書き貯めしておく必要もあるか。
7時、西荻窪で元・ユリイカ編集者のSくん、元・札幌の古書店主Hさんと待合せて、K子と一緒に食事。炭火焼肉。Hさんは『古本マニア雑学ノート』に出てくる、札幌・リーブルなにわの元店長さんである。こっちに単身で出てきて、いまは西荻でブックオフ店の店長さんをやっている。古本ばなし、書店経営ばなしいろいろ聞く。気をつかってくれて、最後の喫茶店までおごってくれたのはすまない気分。その替わりに、Hさんが娘のように可愛がっている、ブックオフ店員の“変な”女の子を、K子のアシスタントにちょっと使ってみてくれと頼まれた。