裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

23日

木曜日

新年進行真っ最中

 朝8時起。朝食、トマトとシーフード、リンゴ。私は皇室護持論者であるが(問題がないと言うわけではないが、“世の中は問題ないものばかりであってはいけない”主義者である)しかし、年末のこの時期にまるまる一日、世の中のシステムがストップしてしまう状況にいろいろイラつくたびに、“しょうもないときに生まれたなあ、今の陛下”と思わざるを得ない。

 それでも最近はこの日を“休みではない”ことにして、仕事するところも増えてきたようである。そういうところのひとつである井上デザインが原稿待っているので、来年2月発売のG舎のレディース突っ込み本の解説、シコシコ書く。そのあいまに週アス一本。

 ライター不況はまだ続いているようで、誰ダレが食えなくてバイトをはじめた、彼コレは田舎に帰った、ソレソレはサギまがいのカルチャー講座をやっている、などというウワサが次々と舞い込んでくる。新書創刊ラッシュだから売り込み先もあるだろう、と思うが、やはり不景気の中の一挙逆転をねらう進出だから、どこもソレナリのネームバリューがないといい顔をしないようだ。雑誌の景気のいいときはライターは花形である。しかし、単行本(新書や文庫も含む)となると、事情がまるで違う。カンバンで客が呼べる人が求められるのである。
「あなたの名前で原稿依頼がくるようにしなさい。あちらこちらに露出しなさい。実力より先に名前です。まず、名前を売りなさい。実力はあとからつく。しかし、名前はいったん売り損ねると、なかなか売るチャンスがないんです」
 と、私はことあるごとにモノカキ志望者に言っている。邪道であることは承知の上だが、これが一番確実な、仕事取りの方法なのである(もちろん、仕事につながる売名とそうでない売名があるが、これは一応原則論)。信念とか理想とかを持つのは結構。しかし、食えなければ、理想もハチの頭もなくなるのである。ライターと名乗りたいなら、その仕事で稼ぎ、メシを食い、家族を養えるまでになること。その上で優れた仕事をすることが才能。食えないというのは才能をどうこう言う以前なんだよ。

 昼はK子と、こないだのカツの残りを煮カツにして食べる。風邪はほぼ、治った模様だが、まだ油断できない。結膜炎は、治りかけらしく、目ヤニが出る出る。予定表を見ると、明日は国会図書館の営業最終日。資料調べに行かねばならなかったのだがたぶん、無理だろう。

 テンション、後半になるにしたがってアガり、原稿用紙にして二○枚、バリバリと書き上げる。世の人どもは休日で外で楽しく遊んでおるのであろうに、好きじゃなくちゃ出来ない仕事だよなあ、これ。7時、アガリ。ホッと息をつく間もなく、買い物に出かけて夕飯のしたく。

 9時、夕食。地鶏のみぞれ鍋、カニとキュウリの酢の物、マグロのづけ丼。アニの二十一、二十二話。瀬谷慎二の作画は少し落ちる。昔の貸本少女マンガみたいな絵がいくつかあった。湖から蕗子さまの腕がにゅーっと延びて菜々子の足をつかむシーンに爆笑。半魚人かおまえ。あと、テックス・アヴェリーのアニメなど数本見る。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa